低金利が続く日本において、銀行にお金を預けておくだけでは資産はほとんど増えない。コロナ禍で将来への不安が高まったこともあり「投資(資産運用)を始めたい」と考えるサラリーマンも増えただろう。実際に投資を始める前に、投資方法や注意点について確認しよう。

目次

  1. サラリーマンが投資をする際に気をつけたいポイント
    1. 長期投資を心がける
    2. 分散投資を心がける
    3. 手数料は厳しくジャッジする
    4. 収入の柱はあくまで本業、本業を圧迫しない
    5. 「節税できる」を投資の主目的にしない
    6. 正しく納税(確定申告)する
    7. 勤務先の規則に抵触していないか注意
    8. すでにマイホームを購入していたら、不動産投資をしていることと同義
  2. サラリーマンの投資として検討したい商品
    1. 株式
    2. ETF
    3. 投資信託
    4. 不動産
    5. ロボアドバイザー
    6. REIT
    7. FX
    8. 暗号資産(仮想通貨)
  3. サラリーマンの投資として検討したい手法
    1. インデックス投資
    2. 一般NISA
    3. つみたてNISA
    4. iDeCo
  4. 収入を上げるための「自己投資」も重要

サラリーマンが投資をする際に気をつけたいポイント

サラリーマン,投資
(画像=PIXTA)

サラリーマンが投資をする際に気をつけたいポイントには何があるのだろうか。

長期投資を心がける

サラリーマンが投資をする際は、長期投資を心がけよう。特に上昇トレンドで複利効果を発揮させると効果的だ。複利とは、投資から得られた利益を再投資して利息を計算することだ。上昇トレンドでは投資期間が長いほど、複利効果も大きくなる。

機関投資家の場合、運用期間が決まっていたり、四半期ごとに成績を開示しないといけないなどの制約がある。また、時価総額が小さすぎる銘柄には投資できなかったり、投資期間や投資対象に制限がかかったりすることも多い。その点、個人投資家には縛りが何もない。好きな投資対象に、好きなだけ長期投資ができることは、実は大きなメリットだ。

分散投資を心がける

サラリーマンが投資をする際は、分散投資を心がけよう。分散投資は、投資対象や投資手段を多様化させることで、資産運用に伴う価格変動リスクを低減させる方法だ。

分散投資には「商品の分散」「地域の分散」「通貨の分散」「時間の分散」などがある。一つの投資対象に集中して投資してしまうと、首尾よく上昇したときは良いが、思惑に反して大きく下落してしまった場合、大きく資産額を減らしてしまう。

築き上げてきた資産が大きく減ってしまうと、経済的なダメージはもちろん、精神的なダメージも大きい。このような状況を避けるため、分散投資を心がけるようにしよう。

手数料は厳しくジャッジする

投資に関する手数料は厳しくジャッジしよう。手数料は、確実に運用パフォーマンスを蝕むものだ。1回ごとの手数料はたいした金額ではないかもしれないが、5年、10年、20年と時間が経った際に、それまでの手数料の高低は運用パフォーマンスに大きな影響を与える。

同じ金融商品であっても購入する金融機関によって手数料が異なることもある。しっかりと比較して、手数料が安い金融機関での購入を検討すべきだろう。

収入の柱はあくまで本業、本業を圧迫しない

投資によって「お金にも働いてもらう」ことは重要だが、サラリーマンにとって収入の柱はあくまでも本業(会社勤務)だ。したがって、必要以上に投資に傾倒してしまい、本業の時間や体力を圧迫しないようにしたい。

「節税できる」を投資の主目的にしない

投資商品や投資方法の中には「節税できること」をセールストークにしているものもあるが、多くのサラリーマンにとって、節税できることを投資の主目的にしないほうが良いだろう。

節税商品のリスクとして、税務当局の見解次第では否認される可能性があること、一時的に税金を圧縮できても、その商品を売却したときに発生するキャピタルロスが税圧縮効果を上回ってしまう可能性があること、などが挙げられる。

節税商品を真に有効活用するには、高度な税務知識や金融知識が求められる。税負担をできるだけ低くすることは資産運用において重要なことだが、その分野に相当詳しくない限り、「節税できるから」と安易に節税商品に飛びつかないほうが良い。

「安く買って高く売る」ことによって、利ざやを取るのが投資の大原則だ。節税効果が望めるとしても、それはあくまでも副次的な効果と捉え、その投資対象が「安く買えそうなのか」「将来高く売れそうなのか」をしっかりと吟味したい。

正しく納税(確定申告)する

投資商品や投資方法によっては、確定申告が必要になるケースがある。「これくらい申告しなくてもバレないだろう」と思っていても、金融機関は税務署に「顧客の損益を記載した支払調書」を提出することを義務付けられている。そもそも意図的な税金逃れは犯罪だ。

意図的でなくても、制度や仕組みを知らないことで、意図せず脱税をしてしまう可能性もある。自身が行っている投資の税務知識はしっかりとキャッチアップして、正しく納税(確定申告)しよう。

勤務先の規則に抵触していないか注意

サラリーマンが投資をする際は、勤務先の規則に抵触していないかを注意しよう。従業員の副業を禁止している会社もあるためだ。一般的に、有価証券の投資は副業と見なされないが、不動産投資は意見が分かれるところだろう。

資産管理会社を作って、自分を役員にする場合も注意が必要だ。資産管理会社であろうと、勤務先以外の役員に就任することには変わりがない。こちらも、勤務先の規則に抵触していないかよく注意しよう。

すでにマイホームを購入していたら、不動産投資をしていることと同義

すでにマイホームを購入しているサラリーマンの場合、それは不動産投資をしていることと同義だ。マイホームを不動産投資と呼ぶことには、違和感を感じる人もいるかもしれない。

仮にあなたがそのマイホームを自宅用ではなく、賃貸用として購入し、賃料を得ていたら、それを不動産投資と呼ぶことに異論はないだろう。したがって、不動産を保有しているということは、自己使用していようが他人に貸していようが、不動産に投資をしているということに他ならない。

マイホームは家族が安心して暮らせたり、精神的な拠り所になったり、経済価値とは異なる価値を持つことは確かだ。ただ、不動産(=マイホーム)価格の変動によって、自分の資産額も変動する。すでにマイホームを購入しているサラリーマンの場合は、それを踏まえて分散投資のポートフォリオを組むと良いだろう。

サラリーマンの投資として検討したい商品

投資商品にはさまざまなものがあるが、サラリーマンにはどのような商品が向いているのだろうか。

株式

株式とは、株式会社が資金を出資してもらった人に対して発行する証券のことだ。投資においては、一般的に上場株式を指す。サラリーマンが株式投資をする際は、自分が所属している業界や、よく知っている会社の株式を購入すると良いだろう。

サラリーマンとして勤務していれば、その業界や業界内の会社には詳しいはずだ。その業界において、今後どの会社が有望かなどの知見は、プロであるファンドマネージャーよりも詳しい可能性がある。インサイダー取引にならない範囲で、その知識をフル活用するべきだろう。

ETF

ETFとは、TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価といった株価指数、金価格などの指標に連動するように、投信会社によって運用されている金融商品だ。ETFを活用するメリットには、分散投資ができること、少額から投資できること、コストが安いことなどが挙げられる。どれもサラリーマンにとってはうれしいメリットだ。

投資信託

投資信託とは、投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などで運用し、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品だ。

投資信託のメリットには、少ない金額から購入できること、分散投資できること、専門家に運用を委託できること、高い透明性があることなどが挙げられる。特に、銘柄選定や売買タイミングなどを専門家に委託できることは、多忙もしくは専門知識が乏しいサラリーマンにとってうれしいメリットと言えるだろう。

不動産

不動産を購入し、値上がり益を狙ったり、賃料を受け取ったりする投資方法だ。自己使用しない収益不動産の場合、不動産投資ローンを組んで購入することが一般的である。

サラリーマンの場合、年収や勤続年数にもよるが、比較的金融機関からの信用力が高く、ローンを借りやすいことが多い。そのため、サラリーマンという属性を活かした不動産投資は、サラリーマンが検討したい投資の一つの選択肢になるだろう。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとは、資産配分や商品の選定、発注、リバランスに至るまで、資産運用を自動で行ってくれるサービスだ。

詳細は各社によって異なるが、運用開始時にいくつかの質問に回答すると、自分にあったポートフォリオを提案してくれて、そのポートフォリオに沿って運用を自動で進めてくれる。こちらも、多忙もしくは専門知識が乏しいサラリーマンが検討したい運用方法と言えるだろう。

REIT

REITとは、多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産を購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する金融商品だ。株式のように売買できるが、法律上は投資信託に分類される。

少額から投資ができるため、「不動産に投資をしてみたいが、ローンを借りて物件を購入するのではなく、少額から手軽に始めてみたい」という人にはおすすめだ。また、都心の一等地のハイグレードビルや、大規模なホテルや物流施設など、個人投資家では購入することが難しい物件に手軽に投資できることも魅力の一つだ。

FX

FXとは「Foreign exchange」の略で、外国為替証拠金取引のことを指す。外国為替に投資する運用方法の一つだが、一般の外国為替取引とは異なり、通貨の現物売買を伴わず、差金決済にて取引を行う。為替相場の変動による為替差益だけではなく、通貨ペアの金利差に伴うスワップポイントを受け取れるケースもある。

FXのメリットには、売り買いどちらからでも取引を行えること、24時間いつでも取引できること、レバレッジをかけて取引できること(個人の場合は最大25倍)などが挙げられる。特にレバレッジをかけて元手以上の取引ができることは、FXの最大の特徴と言えるだろう。もっとも、レバレッジはリスクも増大するため、扱い方には注意が必要だ。

暗号資産(仮想通貨)

暗号資産とは、インターネット上でやりとりできる財産的価値であり、日銀ホームページによると、次の性質を持つものと定義されている(※1)。

(1)不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
(2)電子的に記録され、移転できる
(3)法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない(引用終わり)

代表的な暗号資産には、ビットコインやイーサリアムなどがある。暗号資産は一般的にボラティリティ(資産価格の変動幅)が非常に高い。だからこそ一攫千金を狙うことができるとも言えるが、相当この分野に詳しくない限り、資産のほんの一部を振り向ける程度に留めておいたほうが良いだろう。

※1 日本銀行 公表資料・広報活動 「暗号資産(仮想通貨)とは何ですか?」

サラリーマンの投資として検討したい手法

ここまで、投資で気をつけたいポイントや具体的な投資商品について学んできた。ここからは一歩踏みこみ、サラリーマンの投資として検討したい手法を見ていこう。

インデックス投資

インデックスとは、市場の動きを示す指数のことだ。例えば、日本株式の代表的なインデックスには日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)が挙げられる。米国株式の代表的なインデックスにはNYダウやS&P500がある。

インデックス投資とは、これらの指数に連動するETFや投資信託へ投資をすることだ。サラリーマンの投資において、インデックス投資が有用である理由は、以下の2つが挙げられる。

1つ目に、すでに分散が効いていることだ。例えば日経平均株価のインデックスファンドに投資した場合、自動的に日本を代表する225社に分散投資したことになる。手軽に分散投資ができるのは大きなメリットだ。

2つ目に、あまり労力がかからないことが挙げられる。個別銘柄に投資をする際は、銘柄についてよく調べる必要があり、また投資後も定期的に発表される決算書に目を通す必要がある。インデックス投資であればそれらが全く不要ということではないが、個別銘柄に投資をするよりは、労力がかからないと言えるだろう。本業を圧迫しないように投資を進めるべきサラリーマンにとっては大きなメリットだ。

一般NISA

「NISA」は、NISA口座にて売買した金融商品から得られる利益が非課税になる制度だ。NISAには一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAが存在する。

一般NISAは2014年1月にスタートした。一般NISAでは毎年120万円の非課税投資枠が設定され、最長5年間にわたり、株式・投資信託等の運用益が非課税となる。非課税投資枠は最大600万円だ。

株式・投資信託等の運用益には、原則として20.315%の税金が課されるが、NISA口座であれば、この税金がかからない。サラリーマンでないと一般NISAが使えないというわけではないが、通常の口座で売買するよりも利益が出たときは手残りが増える。投資をする場合は、ぜひ一般NISAを含めたNISA口座の利用を検討しよう。

つみたてNISA

つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度だ。新規投資額は毎年40万円が上限で、非課税投資枠は20年間(最大800万円)となっている。保有している間に得た分配金と、値上がりした後に売却して得た利益(譲渡益)が、購入した年から数えて20年間課税されない。

一般NISAと比べると、毎年の非課税金額は少ないものの、非課税期間が長いため「今はまとまった資金がないので、少額ずつ積み立てしてきたい」といった人におすすめだ。なお、一般NISAとつみたてNISAは、どちらかしか選択できないので注意しよう。

iDeCo

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度だ。60歳になるまで資産を引き出すことができないデメリットはあるものの、「掛金」「運用益」「給付を受け取るとき」の3点に関して、税制上の優遇措置が講じられている。

確定拠出年金の掛金は、全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、課税所得額から差し引かれることで所得税・住民税が軽減される。

金融商品の運用益は、前述のように20.315%が課税されるが、確定拠出年金内の運用商品の運用益については非課税扱いとなる。運用益が非課税になる点は、一般NISAやつみたてNISAと同様だ。

給付を受け取るときは、所得控除を受けることができる。受給年齢に到達して、確定拠出年金を一時金で受給する場合は「退職所得控除」、年金で受給する場合は「公的年金等控除」の対象となる。

「掛金」と「給付を受け取るとき」の税優遇があるため、一般NISAやつみたてNISAより税優遇は強力だ。60歳まで資産を引き出すことができない流動性のデメリットを踏まえつつ、上手に使い分けていこう。

なお、一般NISA、つみたてNISA、iDeCoに共通して言えることだが、前述のように、節税が主目的になってしまい、投資対象の選定がおろそかになってしまっては元も子もない。それぞれの非課税制度で購入する資産はしっかりと吟味したい。

収入を上げるための「自己投資」も重要

ここまで、サラリーマンが投資をする際に気をつけたいポイント、サラリーマンの投資として検討したい商品、サラリーマンの投資として検討したい手法などについて解説してきた。

投資(資産運用)も重要だが、一方で、収入を上げるための「自己投資」も同じくらい重要だ。サラリーマンの場合、資格を取ったり、語学力を上げたりすることで収入を増やしやすい。昇給や昇格、転職での高待遇につながりやすいためだ。

そのため、手元のお金を資産運用に回すのではなく、資格学校や語学勉強、その他のスキルアップの経費に回すという選択肢もあるだろう。特に年齢が若い人は、それだけ自己投資の回収期間が長いため、高齢の人に比べて、自己投資の“利回り”が高くなりやすい。

資産運用と自己投資のバランスをよく考えながら、資産管理を進めていこう。