「先行きが不安定な今だからこそ、1円でも多くお金を増やしたい」と考えている人も多いのではないだろうか。そこで、長期保有している株式を小さいリスクで有効利用できる手段として関心を集めているのが、証券会社が提供する「貸株制度」だ。

目次

  1. 貸株制度とは?
  2. 貸株に対するよくある誤解
    1. 貸し出し中は売却できない?
    2. 配当金や株主優待をもらえない?
    3. 信用口座を保有していると貸株サービスを利用できない?
  3. 貸株制度の4つの注意点
    1. 1.証券会社が破綻した場合、貸株を失う
    2. 2.配当金が配当金相当額(雑所得)になる
    3. 3.権利を失効するリスクがある
    4. 4.貸し出せない株式もある
  4. 貸株に適している人
    1. 長期視点でしばらく売却する予定がない人
    2. 配当や優待がない銘柄を保有している人
    3. 貸株金利が高い銘柄を保有している人
  5. 「オマケ運用」に最適?

貸株制度とは?

貸株制度
(画像=PIXTA)

「貸株制度」とは、個人投資家が保有株式を証券会社に貸し出すことで、レンタル料(貸株金利)を受け取れる制度である。証券会社は借り入れた株式を機関投資家などに貸し出して、そこで得た金利が個人投資家にレンタル料として支払われる仕組みだ。

貸株金利は証券会社や貸株の銘柄、日によって変動するが、通常は0.1~0.2%前後である。需要の高い銘柄は、10%を超えることもあるという。超低金利時代において、小さいリスクで利益を獲得できるチャンスだと考えると非常に魅力的な投資だ。

例えば、時価300万円相当の株式を貸株金利0.1%で貸し出すと、1年間で3,000円の貸し出し金利を受け取れる。大きな額ではないが、銀行預金などよりはるかに金利が高い。

貸株に対するよくある誤解

「貸株をしていると損をすることもあるのではないか」との不安から、ためらっている人もいるだろう。貸株に関する誤解を解き、お金を増やすチャンスを活かすためにも、仕組みを理解することは大切だ。ここからは、最も一般的な貸株の誤解を見てみよう。

貸し出し中は売却できない?

「貸し出していると売りたいときに売れない」というのは大きな誤解である。ほとんどの貸株サービスは貸出期間が設定されておらず、自由に売却できる。好きなときに注文を出すと自動的に貸株が解除されるため、面倒な手続きも不要だ。

配当金や株主優待をもらえない?

貸し出された株式の名義は証券会社に移るため、本来は配当金や株主優待を受け取る権利が失効する。しかし、権利確定日に貸株が自分の口座に返却されるように設定しておくことで、株主優待を受け取れる。

貸株のコース設定には、「貸株金利優先」「株主優待優先」「権利取得優先」の3つがある。配当金と株主優待の両方を確実に受け取りたいのであれば、「権利取得優先」を選ぶと良いだろう。

最近は、権利確定日だけ貸株が自動的に返却されるサービスを提供している証券会社もある。また、配当金は配当金相当額(雑所得)として支払われる。

信用口座を保有していると貸株サービスを利用できない?

信用取引口座と貸株サービスの併用を禁じている証券会社もあるが、最近は併用可能なサービスも増えている。

貸株制度の4つの注意点

ここまで読むと、貸株制度は「リスクを最低限に抑えて利益を得たい」という人に最適のように思えるが、以下のような注意点があることも理解しておく必要がある。

1.証券会社が破綻した場合、貸株を失う

投資者保護基金による補償対象(証券会社が破綻した場合、投資家一人当たり最大1,000万円を補償してくれる制度)ではないため、利用している証券会社が破綻した場合、貸株が戻ってこないといったトラブルが発生する可能性が高い。

現在、日本においては主に大手ネット証券会社が貸株サービスを提供しているため、トラブル発生のリスクは低いと考えられる。しかし、リスクがゼロではないことを念頭に置いておくべきだろう。

2.配当金が配当金相当額(雑所得)になる

前述したとおり、配当金は雑所得に区分されるため課税対象となる。そのため、税金控除の対象になる、株式などの譲渡損と通算できない、申告分離課税に区分されないなど、場合によっては貸株サービスを利用することで、手取り額が減ってしまうこともある。

3.権利を失効するリスクがある

権利確定日をまたいで貸株を行うと、株主優待や総会での議決権、株主提案権等の権利を失効するリスクがある。

前述したとおり、ほとんどの貸株サービスでは権利が失効しないよう、権利確定日に貸株が返却される設定ができる。しかし中には、長期保有特典のあるものなど適用されないものもある。証券会社により条件が異なるため、事前の念入りな確認が必要だ。

4.貸し出せない株式もある

例えば、NISA口座で保有している株や単元未満株、外国株式は貸し出すことができないなど、すべての株が貸株サービスの対象になるわけではない。

貸株に適している人

メリット、デメリットの両方を把握した上で、どのような人が貸株に向いているのかを見てみよう。

長期視点でしばらく売却する予定がない人

長期保有銘柄をただ寝かせておくだけではもったいない。子どもや孫の将来のために株式を購入する人も多いが、長期間保有するのであれば、貸株サービスで金利を得ることも検討したい。

配当や優待がない銘柄を保有している人

配当や優待がない銘柄であれば、配当金や権利の失効などを心配することなく、より気軽に貸し出すことができる。

貸株金利が高い銘柄を保有している人

繰り返しになるが、貸株金利が高い銘柄を貸し出せば、大きな利益を狙うことも可能だ。一例として楽天証券の2021年5月17日のデータから、貸株金利が高い銘柄トップ3を見てみると、テラ(15.25%)、SUNASTERISK(9.25%)、ロゼッタ(8.00%)と、いずれも非常に高い。

「オマケ運用」に最適?

対象となる株式さえ保有していれば、誰でも簡単にできる資産運用法だが、本来大きな利益を狙うために設計された投資商品ではないことを念頭に「オマケ運用」として賢く利用すべきだろう。

また、証券会社によりサービスや利用条件が異なるため、自分に合ったサービスを選ぶことも重要だ。