住宅ローンを活用してマイホームを購入した人の多くが、住宅ローン減税を利用しているはずだ。住宅ローン減税はお得な制度だが、減税期間が終了したあとは、繰り上げ返済をしてなるべく早く残債を減らすべきか、当初の予定どおり返済を進めるべきか、決めかねている人も多いのではないだろうか。

そこでこの記事では、住宅ローン減税期間が終了したら繰り上げ返済をしたほうが良いのかどうかについて考えてみたい。

目次

  1. 住宅ローン減税とは?
  2. 減税期間が終了したら繰り上げ返済すべき?
  3. 繰り上げ返済をしないほうが良い3つの理由
    1. 1.借入金利が低い場合、大きなメリットがない
    2. 2.手元資金を厚くして選択肢を増やす
    3. 3.運用に回すという選択肢
  4. あらゆる選択肢をテーブルに並べたうえで検討しよう

住宅ローン減税とは?

住宅ローン減税,繰り上げ返済
(画像=PIXTA)

「住宅ローン減税」は、正式には「住宅借入金等特別控除」という。住宅借入金等特別控除は、住宅ローンを借り入れて住宅を取得する際に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度だ。

具体的には、住宅ローンを利用してマイホーム(建物・土地ともに対象)を新築、購入、増改築などした場合、毎年末の住宅ローン残高または住宅の取得対価のうち、いずれか少ないほうの金額(上限4,000万円)の1%が10年間に渡り、所得税額から控除される。また、所得税から控除しきれない場合には、住民税からも一部控除される。

なお、消費税率10%が適用される住宅の取得、かつ居住開始時期が令和3年1月1日から令和4年12月31日の場合、減税期間(控除期間)が10年から13年に延長されている(詳細条件あり)。

住宅ローン減税は誰でも利用できるわけではない。新築住宅を取得する場合は、年間の所得金額が3,000万円以下であること、床面積が50平方メートル以上であること(条件を満たせば40平方メートル以上でも可)、10年以上のローンであることなどが必要だ。中古住宅を取得する場合は、また異なる条件がある。

減税期間が終了したら繰り上げ返済すべき?

上記のように住宅ローン減税は、適合する人にとってはお得な制度だ。しかし、減税期間が終了したらどうすれば良いのだろうか。

ひとつのアイデアが「免税されたお金を貯めておき、減税期間が終了したら、そのお金を中心に繰り上げ返済して、残債を減らす」というものだ。年収にもよるが、10年分(13年分)の免税金額となれば、それなりにまとまった金額になる。

免税分に加えて、毎年一定金額を貯金して、繰り上げ返済資金に追加することができれば、残債を大きく減らすことができるだろう。残債を減らせば、その分の金利負担がなくなり、以後の住宅ローンの負担は少なくて済む。

繰り上げ返済をしないほうが良い3つの理由

繰り上げ返済すべきか否かの判断は、保有資産、年収、家族構成、借入金額、借入金利などによって異なる。従ってケースバイケースであり、繰り上げ返済ありきで考えるのではなく「繰り上げ返済しない」という選択肢も持っておきたい。繰り上げ返済をしないほうが良い理由としては、以下の3点が挙げられる。

1.借入金利が低い場合、大きなメリットがない

近年は歴史的な低金利時代だ。当然、住宅ローン金利も低利で推移している。借入金利は人によって異なるので一概には言えないが、低利で借りている場合、繰り上げ返済の大きなメリットである「金利負担額の低減効果」はそこまで大きくない。

効果がないわけではないが、「他にもっと有用な使い方はないか?」という視点を持つことが重要だ。

2.手元資金を厚くして選択肢を増やす

貯めておいた資金を繰り上げ返済に回すと、当然ながらそのお金は手元からなくなってしまう。その後、急な出費が生じたり、教育費の増加などで家計が苦しくなったりしても、繰り上げ返済したお金を返してもらうことはできない。

特に、今後も家族が増える予定があったり、まだ子どもが小さかったりする人は、「選択肢を増やす」という観点から、できる限り手元資金は厚くしておいたほうが良いだろう。

1.の通り、現在の低金利環境では、繰り上げ返済による大きな「金利負担額の低減効果」は期待しにくい。選択肢をテーブルに並べきったうえで、「繰り上げ返済しても確実に家計が耐えられる」というタイミングまで、繰り上げ返済の実施は待っても遅くはないだろう。

3.運用に回すという選択肢

1.の「金利負担額の低減効果」の大きさにも関係してくるが、繰り上げ返済に回す予定の資金を運用して、「金利負担額の低減効果」よりも高い運用リターンを得ることができるのであれば、運用に回したほうが合理的だ。

繰り上げ返済は実施すれば将来の金利負担額が低減することに対し、資産運用は確実にリターンを得られる保証はない。しかし、投資期間が長ければ、投資による価格変動リスクは小さくなり、安定した収益が期待できると言われている。住宅ローンの借入金利が低い場合は、繰り上げ返済ではなく、長期視点の運用に資金を回してみても良いだろう。

あらゆる選択肢をテーブルに並べたうえで検討しよう

ここまで、住宅ローン減税期間が終了したら繰り上げ返済をしたほうが良いのかどうかを解説してきた。繰り上げ返済するべきか否かは、保有資産、年収、家族構成、借入金額、借入金利などによって異なるので、万人に当てはまる回答はない。

重要なのは、「手元資金をどのように活用すれば、一番経済的合理性が高いか」ということだ。あらゆる選択肢をテーブルに並べたうえで、繰り上げ返済するべきか否かを検討していこう。