個人投資家であれば「今後どのような投資先が有望なのだろうか?」ということに強い興味があるだろう。未来は誰にもわからない。しかし、データを用いることによって、予測の確率を上げることは可能だ。

有望な投資先を見つけるにあたって、「人口動態」は一つの参考になり得る。この記事では、人口と経済の関係をひも解き、投資先を見つけるヒントを解説していく。

目次

  1. 人口と経済はどう関係している?
    1. 人口ボーナスと人口オーナス
  2. これから人口が増える国は?日本はどうなる?
    1. 日本
    2. 米国
    3. 中国
    4. インド
  3. 人口と経済の関係を理解して有望な投資先を見つけよう

人口と経済はどう関係している?

人口,経済
(画像=PIXTA)

なぜ「人口動態」は有望な投資先を見つける参考になり得るのか。一般論として、人口が増加すると、生産年齢人口(国内の生産活動を中心となって支える15~64歳の人口)も増えて、生産活動に投下できる労働力(労働投入量)が増加する。

つまり、経済が拡大するというわけだ。逆に人口が減少すると、上記の逆回転が起こり、生産性が向上しない限りは経済が縮小することになる。

人口が減少しても、そのマイナス分を上回る生産性の向上があれば、経済は拡大する。しかし内閣府によると、「生産年齢人口が増えていく経済」と「減っていく経済」を比較すると、生産年齢人口が減っていく経済のほうが生産性が落ちる(生産性の向上が停滞する)可能性が指摘されている。

「人口規模が維持されれば、多様性が広がり、多くの知恵が生まれる社会を維持できる」「人口構成が若返れば、新しいアイデアを持つ若い世代が増加し、さらに経験豊かな世代との融合によってイノベーションの促進が期待できる」などがその理由だ。

人口ボーナスと人口オーナス

人口と経済の関係を語るうえで外せない用語が「人口ボーナス」と「人口オーナス」だ。人口増によって労働力(生産年齢人口)が増加し、成長率が高まることを「人口ボーナス」と呼ぶ。一方、その反対の現象を「人口オーナス」と呼ぶ。

言い換えれば、人口ボーナスが起こる(起こっている)国は経済発展が期待でき、人口オーナスが起こる(起こっている)国は経済が衰退するということだ。

経済発展が期待できる国や地域は、有望な投資先と言えるだろう。経済成長には人口以外にも生産性や資本蓄積など様々な要素が絡み合うため、必ずしも人口動態だけを見ていれば良いわけではないが、一つの物差しにはなるはずだ。

これから人口が増える国は?日本はどうなる?

それでは具体的に、これから人口が増える国や地域はどこなのだろうか。国連が発表している「世界人口推計2019年版」の数字をもとに、各国の人口動態を確認していこう。

日本

まずは日本の状況を見てみよう。人口動態の推計は以下のようになっている。

2019年:1億2,686万人
2030年:1億2,075万人
2050年:1億580万人
2100年:7,495万人

急速な勢いで少子高齢化が進む日本は、総人口も急速に減少していく。約30年後は今より2,000万人以上減ることになる。前述の「人口オーナス」に突入したことが懸念されており、人口動態の観点では、有望な投資先とは言い難い。

米国

続いて世界第1位のGDPを誇る米国だ。

2019年:3億2,906万人
2030年:3億4,964万人
2050年:3億7,941万人
2100年:4億3,385万人

米国は今後も人口が増え続ける。約30年後は今より約5,000万人、約80年後は今より約1億人増える。2100年は少し先過ぎるかもしれないが、10年単位の時間軸で見ても、人口動態の観点では有望な投資先と言えるだろう。

中国

続いて世界第2位の経済大国である中国だ。

2019年:14億3,378万人
2030年:14億6,434万人
2050年:14億240万人
2100年:10億6,499万人

世界で最も人口が多い国として有名だが、人口動態の推計を見ると、人口の伸びはピークアウトしている。今後人口はほとんど増えず、約30年後は今より約3,000万人、約80年後は今より約4億人近く減ってしまう。

しかし、この桁違いの人口の所得水準が上がってきており、彼らの購買力が多くの企業業績を支えているのは周知の事実だ。もっとも、「今後の伸びしろ」に期待して投資を行うという観点では、有望な投資先かどうかは意見が分かれるところだろう。

インド

上記で紹介した中国の人口を将来抜くと見なされているのがインドだ。

2019年:13億6,641万人
2030年:15億364万人
2050年:16億3,917万人
2100年:14億5,042万人

2030年時点では15億人を超え、2050年時点では16億人を超えている。2019年時点の人口に占める25歳未満は45%であり(日本は22%、米国は32%、中国は30%)、まさに「人口ボーナス」が訪れている。

カントリーリスク(政治・経済の状況の変化によって証券市場や為替市場に混乱が生じること)はあるものの、人口動態の観点では有望な投資先と言えるだろう。

人口と経済の関係を理解して有望な投資先を見つけよう

ここまで、人口と経済の関係をひも解き、有望な投資先を見つけるヒントを解説してきた。なお、本稿では国連による総人口の推計を見てきたが、投資判断をする際は、生産年齢人口、人口ピラミッド、1人あたりのGDPなどの予測(推移)も確認することが重要だ。

人口増加が必ずしも経済成長及び該当国の株価上昇につながるわけではないが、その可能性は高い。人口と経済の関係をよく理解して、有望な投資先に資金を振り向けるようにしよう。