あなたにはずっと放置している「休眠口座」はないだろうか。近年、休眠口座に対する銀行の取り扱いが変わりつつあり、何も知らずにいると思わぬデメリットを被るかもしれない。

この記事では休眠口座をめぐる金融業界の動きや、口座保有者が気を付けるべき点を解説する。

目次

  1. 休眠口座を放置しておくとどうなる?
    1. 休眠口座・休眠預金とは?
    2. 休眠預金になるとどうなる?
  2. 2年以上取引がない場合は手数料がかかる場合も
    1. 口座管理手数料が導入されている背景は?
  3. 利用者はどのような対策をすれば良い?

休眠口座を放置しておくとどうなる?

休眠口座
(画像=PIXTA)

休眠口座とはそもそもどういったものなのか。どのくらい放置しているものが該当するのか確認していこう。

休眠口座・休眠預金とは?

そもそも休眠口座とは、10年以上取引がない預金口座のことを指す。ただし、2018年1月に「休眠預金等活用法」が全面施行されてからは「休眠預金」という言葉も使われるようになり、金融庁も「休眠預金」と表記している。

口座が休眠口座・休眠預金になるまでの過程は、その口座の預金残高によってやや異なる。預金残高が1万円以上ある場合は、金融機関からの郵便や電子メールによる通知を受け取ると、休眠預金にならずに済む。一方、預金残高が1万円未満の場合は放っておくと休眠預金になる。

休眠預金になるとどうなる?

たとえ自分の預貯金が休眠預金になってしまったとしても、口座がある金融機関で預金を引き出すことは可能だ。ただしその際は、通帳やキャッシュカード、本人確認の書類などを持参する必要がある。また、金融機関によって現金で引き出せるか、その口座を引き続き利用できるかなどが異なるので、休眠預金がある場合は取引先の金融機関に確認しよう。

また休眠預金になると、その預金が社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用されるようになる。具体的には、子供や生活困難者の支援、地域活性化の支援などのために活用される。この制度は休眠預金等活用法の施行に基づくものだ。

しかし、民間公益活動などに使われるからといって、休眠預金の残高が減るわけではない。民間公益活動などでは国内の休眠預金のすべてが活用されるわけではなく、口座の保有者による引き出しを想定した準備金をしっかりと確保している。

2年以上取引がない場合は手数料がかかる場合も

ここまで説明したとおり、休眠預金になったとしても口座からお金を引き出せなくなることはなく、口座の残高がゼロになることもない。ただし、最近では取引が2年以上ない「未利用口座」には口座管理手数料を課す例が増えてきているので、注意が必要だ。

例えば三井住友銀行では、2021年4月以降に開設した口座で複数の条件が満たされた場合、手数料を年1,100円(消費税込み)課すことを決めた。ここで言う条件とは、2年以上取引がないことや預金残高が1万円未満であること、ネットバンキングが未設定であることなどだ。

三菱UFJ銀行でも、未利用口座に対する管理手数料を導入することを発表済みだ。2021年7月1日以降に開設された口座が対象で、年間の手数料は1,320円(消費税込み)となっている。なお、三菱UFJ銀行で借り入れがある場合や定期預金などがある場合は対象外になる。

口座管理手数料が導入されている背景は?

こうした動きは地方銀行でも広がっているが、ではなぜ現在、管理手数料を導入する流れとなっているのだろうか。例えば、三菱UFJ銀行は導入の理由について「不正口座の作成・利用の防止や口座の維持・管理に係る費用の一部に充当するため」としている。

地銀の大分銀行では「長期間利用されていない預金口座が不正利用されることを防止するとともに、口座管理に関わる最低限のコストをご負担いただくことで、お客さまへのサービス維持・向上を図ることを目的としています」と説明している。

特に預金口座の不正利用を防止することは、金融庁がガイドラインなどで金融機関に対策の強化や高度化を求めており、これにより金融機関側のコストが増えていると考えられている。

金融機関側はこうした対策にかかる負担を少しでも少なくするため、口座管理手数料の徴収に踏みきったという背景があるようだ。

また、アメリカをはじめとする海外では、口座管理手数料の徴収が一般的なケースも多く、口座管理手数料を課し始めた日本が際立って異常というわけではないことも知っておきたい。

利用者はどのような対策をすれば良い?

使っていない口座で管理手数料が課されることは、口座保有者にとってはマイナスでしかない。では、こうした状況にならないためには、どのような対応策が考えられるだろうか。

まずは保有口座を一覧化して把握することから始めよう。そして、使っていない口座の残高を日頃使っている口座に移管し、使っていない口座は解約してしまうのが一番だ。解約してしまえば、金融犯罪などで不正利用されるリスクもなくなる。

銀行口座を整理して一覧化しておけば、口座の保有者が亡くなった後、遺族の遺産整理の手間が少なくなるといったメリットもある。最近ではエンディングノートなどに口座情報を整理して記載している人も多い。

この記事では、休眠預金をテーマに変わりつつある銀行口座の取り扱いについて説明してきた。今後も預金口座に対する取り扱いは時代の変化によって変わる可能性がある。情報に対するアンテナを立て、最新情報をキャッチできるよう努めよう。