あなたはどれくらいの貯金(貯蓄)があるだろうか。他の人に比べて、自分の貯金額が多いのか少ないのか、気になる人も多いだろう。また、「賢く貯金するコツを知りたい」と思っている人もいるはずだ。

そこで今回は、「平均貯金額・貯蓄額」を定義した上で、世帯別や年代別の平均貯金額・貯蓄額はどれくらいか、賢く貯金・貯蓄を増やすコツ、その具体的な方法などについて解説していく。

目次

  1. 平均貯金額・貯蓄額の定義
  2. 平均貯金額・貯蓄額はどれくらい?
    1. 単身世帯(全世帯)の貯金額・貯蓄額
    2. 単身世帯の金融資産保有世帯の貯金額・貯蓄額
    3. 二人以上世帯(全世帯)の貯金額・貯蓄額
    4. 二人以上世帯の金融資産保有世帯の貯金額・貯蓄額
  3. 年代別の平均貯金額・貯蓄額は?
    1. 単身世帯の年代別の貯金額・貯蓄額
    2. 二人以上世帯の年代別の貯金額・貯蓄額
  4. 賢く貯金・貯蓄を増やすコツ
    1. 先取り貯金・貯蓄する(毎月決まった金額を積み立てる)
    2. お金にも働いてもらう(資産運用する)
  5. 賢く貯金・貯蓄を増やす具体的な方法
    1. 積立式定期預金
    2. iDeCo
    3. つみたてNISA
  6. 自分の貯金額・貯蓄額を客観的に評価してみよう

平均貯金額・貯蓄額の定義

平均貯金額
(画像=PIXTA)

貯金額と言うと、銀行預金の残高をイメージするかもしれない。しかし、「平均貯金額」と言っても様々な切り取り方ができる。「銀行預金の残高はあまりないが、有価証券(株式など)はたくさん持っている」という人もいる。仮に「銀行預金の残高はほとんどないものの、株式は3億円持っている人」がいたとして、その人のことを「貯金がない人」とは言いきれないだろう。

そこで本稿においては、金融広報中央委員会が行っている「家計の金融行動に関する世論調査」における預貯金額を「貯金額」、金融資産額を「貯蓄額」と定義することにする。よって、前述の「銀行預金の残高はほとんどないものの、株式は3億円持っている人」は「貯金はほとんどないが、貯蓄は3億円ある」となる。なお、金融広報中央委員会とは、都道府県金融広報委員会、政府、日本銀行、地方公共団体、民間団体などと協力して、中立・公正な立場から、暮らしに身近な金融に関する幅広い広報活動を行っている組織だ。

同調査の「預貯金(本稿における貯金)」とは、定期性預金・普通預金などの区分にかかわらず、「運用」目的で蓄えている部分のみを算入し、日常的な出し入れ・引き落としに備えている部分は含まない。また「金融資産」とは、保有する金融資産全般をカバーするが、事業性金融資産は含まない。また、手許現金や貴金属なども含まないものとする。

平均貯金額・貯蓄額はどれくらい?

それでは、金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査 2020年」をもとに、平均貯金額・貯蓄額を解説していこう。また、このような調査はたくさんの資産を持っている一部の人(富裕層)が平均値を大きく引き上げる可能性がある。こうした調査において、より実態を確認するためには、中央値も参考にした方が良いだろう。したがって、できる限り平均値だけではなく中央値も見ていくことにする。

単身世帯(全世帯)の貯金額・貯蓄額

まずは単身世帯(全世帯)だ。預貯金の保有額の平均値(平均貯金額)は276万円であった。また、金融資産の保有額の平均値(平均貯蓄額)は653 万円、中央値50 万円であった。平均値と中央値が大きく乖離しており、前述のように、一部の富裕層が大きく平均値を引き上げていることがうかがえる。

単身世帯の金融資産保有世帯の貯金額・貯蓄額

続いて、単身世帯のうち金融資産保有世帯の貯金額・貯蓄額を見ていこう。預貯金の保有額の平均値(平均貯金額)は441万円であった。一方、金融資産保有世帯の金融資産保有額の平均値(平均貯蓄額)は1,044 万円、中央値 300 万円であった。平均値と中央値が乖離しているものの、金融資産非保有世帯を除いた集計であり、貯金だけでなく貯蓄もしている人にとっては、より目安とすべき数字と言えそうだ。また、金融資産保有世帯は貯金額も比例するように大きい傾向にあるようだ。

二人以上世帯(全世帯)の貯金額・貯蓄額

続いて、二人以上世帯(全世帯)の貯金額・貯蓄額を見ていこう。預貯金の保有額の平均値(平均貯金額)は678万円であった。金融資産の保有額の平均値(平均貯蓄額)は1,436万円、中央値 650万円であった。

二人以上世帯の金融資産保有世帯の貯金額・貯蓄額

二人以上世帯のうち金融資産保有世帯の貯金額・貯蓄額を見ていこう。預貯金の保有額の平均値(平均貯金額)は813万円であった。金融資産の保有額の平均値(平均貯蓄額)は1,721万円、中央値 900万円であった。こちらも金融資産非保有世帯を除いた集計のため、貯蓄をしている人にとってはより意識すべき参考値となるだろう。

年代別の平均貯金額・貯蓄額は?

ここまで、単身世帯と二人以上世帯の平均貯金額・貯蓄額を見てきた。基本的には誰もがこのどちらかの世帯に分類される。

しかし、上記はすべての年代がミックスされた数字だ。年代によって、参考にすべき平均貯金額・貯蓄額は大きく変わるだろう。一般的に、20代の人より50代や60代の人の方が貯金額・貯蓄額は大きくなるためだ。

そこでここからは、金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査 2020年」をもとに、年代別(20代、30代、40代、50代、60代、二人世帯のみ70歳以上あり)の平均貯金額・貯蓄額を見ていこう。

単身世帯の年代別の貯金額・貯蓄額

単身世帯の預貯金額(平均貯金額)は以下のとおりだ。

20歳代  77万円
30歳代  167万円
40歳代  263万円
50歳代  322万円
60歳代  555万円

また、金融資産を保有していない世帯を含む年代別の種類別金融商品保有額を見てみよう。金融資産保有額(平均貯蓄額)は以下のとおりだ。

20歳代  113万円
30歳代  327万円
40歳代  666万円
50歳代  924万円
60歳代  1,305万円

二人以上世帯の年代別の貯金額・貯蓄額

二人以上世帯の、金融資産を保有していない世帯を含む年代別の種類別金融商品保有額を見てみる。預貯金額(平均貯金額)は以下のとおりだ。

20歳代  165万円
30歳代  261万円
40歳代  473万円
50歳代  633万円
60歳代  959万円
70歳以上 921万円

また、金融資産保有額は以下のとおりだ。

20歳代  292万円
30歳代  591万円
40歳代  1,012万円
50歳代  1,684万円
60歳代  1,745万円
70歳以上 1,786万円

賢く貯金・貯蓄を増やすコツ

ここまで、世代別も含めて、単身世帯と二人以上世帯の平均貯金額・貯蓄額を見てきた。自分の貯金額・貯蓄額が平均よりも多かった人もいれば、少なかった人もいるはずだ。多かった人はもちろん、少なかった人は「どうすればもっと賢く貯金・貯蓄できるのか」と思ったことだろう。ここからは、賢く貯金・貯蓄を増やすコツを紹介していく。

先取り貯金・貯蓄する(毎月決まった金額を積み立てる)

「収入から支出を差し引いた残額を貯金・貯蓄する」という方法ではなかなか貯まらない。そのため、毎月決まった金額を強制的に「簡単には使うことができない場所」に積み立てる「先取り貯金・貯蓄」がおすすめだ。

お給料から税金や社会保険料が天引きされた手取り額を「可処分所得」と呼ぶ。一般的に、この可処分所得から家賃や食費、交際費などの生活費を支払うことになる。うまく貯金・貯蓄ができない人は、可処分所得から生活費を支払った後に、残ったお金を貯金しようとする傾向がある。

相当意志が強い人は別だが、多くの人は手元にお金があると、気持ちが大きくなってしまったり、財布の紐がゆるくなったりして、想定以上の消費をしてしまうものだ。結果として、収入から支出を差し引いた残額がほとんど残らず、なかなか貯金・貯蓄ができなくなる。

一方、先取り貯金・貯蓄であれば、お給料から一定金額を「簡単には使うことができない場所」に移してしまうので、強制的に「可処分所得から先取り分を引いた額」で毎月の生活費をやりくりすることになる。

先取り分があまりにも高額であれば家計が回らないリスクも大きくなるが、月数万円レベルであれば、意外と家計が回るという人は多いはずだ。それでも心配な人は、まずは月5,000円など大きな支障が出ない金額から先取りを始めて、慣れてきたら月1万円、2万円、3万円と増やしていけば良いだろう。

なお、先取り分を積み立てていく場所は、簡単には解約できないなど使うためのハードルを高くすればするほど、目的以外に使ってしまうリスクが減る。後述する積立式定期預金、iDeCo、つみたてNISAなどをうまく活用していくのも良いだろう。

お金にも働いてもらう(資産運用する)

貯金額や貯蓄額を増やすためには、資産運用を行い、お金にも働いてもらうことも重要だ。なお、銀行預金に預けておくことも資産運用の一種と言えるが、現在は低金利でほとんど利息が見込めないため、ここで言う資産運用とは、銀行預金以外の運用を指すものとする。

多くの人にとって労働収入が貯金額や貯蓄額を増やす大きな柱であることは間違いないが、労働収入を急に増やすことは難しく、自分が働く時間や体力にも一定の限界がある。そこで一つのアイデアが、「自分だけではなく、お金にも働いてもらう」ことだ。

資産運用を行えば、自分が寝ているときも趣味に没頭しているときも、お金が新しいお金を生みだしてくれる可能性があるため、うまくいけば資産増加のスピードが増す。ただし、資産運用には原則として元本割れのリスクもあるため、何の勉強や準備もしないまま運用を始めることは避けたい。

資産運用の際に重視したいのが「複利効果」を発揮させることだ。複利とは、一定期間ごとに利息を元本に組み入れ、その元本に対して利息が増していくことだ。運用で利益を得た場合は娯楽や贅沢に回したくなるものだが、それらには使わずに再投資に回して、複利で運用することを心がけたい。投資にはリスクが伴うため常に利益を出し続けることは簡単ではないが、うまくいけば、段々と資産が増えていく。

賢く貯金・貯蓄を増やす具体的な方法

それでは、賢く貯金・貯蓄を増やす具体的な方法にはどのようなものがあるのだろうか。ここからは、具体的なアクションとして3つの方法を紹介しよう。なお、どれも「先取り貯金・貯蓄」を前提とした方法になっている。

積立式定期預金

お給料を受け取ったり、クレジットカードの支払い口座にしたりしている銀行口座(普通口座)の他に、積立用の定期預金口座を開設して、「そちらに毎月3万円ずつ移し替える」など定期的に積み立てする方法だ。必ずしも日常使いの普通口座と同じ金融機関で口座開設をする必要はないが、手間や手数料のことを考えると、同じ金融機関の方が何かと便利であることが多いだろう。

特に現在は低金利であるため、一度の振込手数料で年間の利息収入が吹き飛んでしまうことがほとんどだ。この方法で積み立てする場合は、手数料には特にこだわりたい。

積立式定期預金に限った話ではないが、「先取り貯金・貯蓄」を行う場合は、「自分が何もしなくても自動的に引き落とし(口座振替)される状態」を作るようにしよう。「給料日に日常使いの普通口座から自分で3万円を引き出して、それを自分で先取り貯金・貯蓄先に入金する」といった形は避けたい。単純に失念するリスクがあるし、手間もかかる。また、積立する金額にはできる限り自分で触らず、「最初からなかったもの」として扱う方が、余計な誘惑にかられなくて済むだろう。

iDeCo

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度だ。「人生100年時代」が到来し、長期化する老後に備えるための「老後資産づくり」の方法として注目が集まっている。その特徴を平易に言うと、「老後資産づくりのための制度なので、原則として60歳まで引き出すことができないという制約が課される代わりに、強力な税制優遇が講じられている」と言える。なお、私的年金であるため、運用指示は自分で行う必要があり、運用成果も自己責任となる。

具体的には、「掛金を拠出するとき」「運用で利益が出たとき」「給付を受け取るとき」の3点において、税制上の優遇措置が講じられている。掛金は、全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、課税所得額から差し引かれることで所得税・住民税が軽減される。通常、金融商品の運用益は課税(源泉分離課税20.315%)対象となるが、iDeCo内の運用益については非課税だ。受給年齢に到達して一時金で受給する場合は「退職所得控除」、年金で受給する場合は「公的年金等控除」の対象となり、一定額まで税金がかからない。

もちろん、日常使いの普通口座からiDeCoへ毎月引き落としができるため、「先取り貯金・貯蓄」を実行することが可能だ。属性によって年間および月間の拠出限度額が決まっている(例えば自営業者は月額6万8,000円、年額81万6,000円まで)ものの、所得税・住民税の節税になり、運用益非課税のため複利効果も発揮しやすく、「老後のための資産づくり」と割り切れば、有力な先取り先候補となるだろう。

ただし前述のように、原則として60歳まで引き出すことができないことには注意が必要だ。長い人生においては、失業や一時的な病気によって大きく収入が低下してしまったり、どうしてもまとまったお金が必要になったりするシーンもあるだろう。そのようなときであっても、原則としてiDeCoの資金を引き出すことはできない。手元に置いておく資金とのバランスをよく考えることが重要だ。

つみたてNISA

つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度だ。2018年1月からスタートした。iDeCoと同様に、つみたてNISA内で得た運用益は税金が課されず非課税となる。非課税期間は最長20年間、非課税投資枠は毎年40万円が上限(非課税投資枠は20年間で最大800万円)だ。

iDeCoのように所得税・住民税の軽減効果はないものの、引き出し制限もないため、流動性は確保されていると言える(ただし、元本割れリスクがある金融商品で運用することになるため、解約したときに資産が増えているとは限らない)。

そのため、「60歳までの引き出し制限は許容できないが、一定の流動性は担保しつつ、効率的な資産運用をしたい」という人には親和性が高いと言える。家計に余裕がある人は、iDeCoとつみたてNISAをそれぞれ最大金額まで運用しても良いだろう。

自分の貯金額・貯蓄額を客観的に評価してみよう

他人の平均貯金額・貯蓄額は気になることではあるものの、なかなか表立って聞けないことだろう。そこで参考になるのが、この記事でも紹介した金融広報中央委員会のような中立的組織が発表している統計だ。あくまで一つの集計結果であり、必ずしも平均値を上回っていれば良いという話ではないが、自分の貯金額・貯蓄額と比べてみて、客観的に評価してみてはいかがだろうか。

その評価をもとに今後のライフプランをイメージし、これから先の貯金・貯蓄を計画し直すのも良いだろう。資産を増やしたいと考えるなら、「先取り貯金・貯蓄すること」「お金にも働いてもらう(資産運用する)こと」も選択肢に入れたい。

もっとも、資産運用は何の勉強や準備もしないまま始めると大ケガを負う可能性もあるので、まずは積立式定期預金で先取りの癖(習慣)を付けるのも良いかもしれない。そして、資産運用に関する一定の勉強や準備を済ませたら、iDeCoやつみたてNISAも活用してみると良いだろう。