故郷や応援したい自治体に寄付すると、税金の控除を受けることができる「ふるさと納税」。納税額が減る上、各地の美味しい特産品などを楽しめる魅力がある。そして、この制度は富裕層優遇の制度とも捉えることができる。年収が多いと寄付額の上限が上がるからだ。

目次

  1. 年末はふるさと納税が盛り上がる季節
  2. 年収が高い方がよりお得?
    1. 富裕層の寄付額の上限は? 年収2,000万円なら55万円超
  3. 特に高所得者は積極的に制度を活用しよう

年末はふるさと納税が盛り上がる季節

ふるさと納税
(画像=PIXTA)

毎年秋から年末にかけては、ふるさと納税が盛り上がる時期といえる。「かけこみ納税」によって、所得税や住民税の税額を減らすために利用する人が増えるからだ。そもそもふるさと納税とはどのような仕組みなのだろうか。簡単におさらいしておこう。

ふるさと納税をすると、合計の寄付額から2,000円を差し引いた金額が、所得税と住民税から控除される。所得税はふるさと納税を行った年の所得税から控除され、住民税は翌年度分から控除される。

なお、ふるさと納税で控除を受けるためには、確定申告をするか「ふるさと納税ワンストップ特例」を申請する必要がある。ふるさと納税ワンストップ特例を申請すると確定申告が不要になるが、「確定申告の不要な給与所得者等」であることと、「ふるさと納税を行う自治体の数が5団体以内」であることが申請の条件となる。

ちなみに「控除(こうじょ)」とは、「一定の金額を差し引く」という意味だ。例えば、ふるさと納税による寄付額が3万円の場合、2,000円を除いた2万8,000円分が所得税や住民税から差し引かれることになる。

こうして考えると、2,000円を自己負担する分、ふるさと納税をした方が損に感じるかもしれない。3万円寄付をしても2万8,000円分しか差し引かれないなら、ふるさと納税をしない方がいいように感じるからだ。

しかし実際にはそうではない。ふるさと納税をすれば「返礼品」を受け取ることができるからだ。2,000円以上の価値がある返礼品を受け取ることができれば、ふるさと納税をした方が実質的な負担額は減ることになる。

年収が高い方がよりお得?

ふるさと納税の返礼品は自治体によって様々で、魅力ある特産品などが多い。中には、寄付額に対する還元率がかなり高い返礼品もあることから、多くの人がふるさと納税の制度を活用している。

ただし、ふるさと納税の寄付額には上限が設けられている。ここで冒頭の話に戻るが、上限額は年収によって異なり、低所得者より高所得者の方が上限額は高くなっている。そのためふるさと納税は、富裕層の方が制度の恩恵を多く受けられる仕組みであると言える。

例えば、年収400万円の人と年収600万円の人がふるさと納税の上限いっぱいに寄付し、還元率(※寄付額における調達額の割合)30%の返礼品を受け取ったとする。寄付額の上限は年収400万円の人で4万2,000円、年収600万の人で7万7,000円(※いずれも独身又は共働きのケース)であり、その場合の実質的な恩恵は以下となる。

<年収400万円の人>
①実際の支払額:42,000円
②税金の控除額:40,000円(42,000円 − 2,000円)
③返礼品の還元分:12,600円(42,000円 × 30%)
(②+③)− ①=10,600円・・・実質的な恩恵

<年収600万円の人>
①実際の支払額:77,000円
②税金の控除額:75,000円(77,000円 − 2,000円)
③返礼品の還元分:23,100円(77,000円 × 30%)
(②+③)− ①=21,100円・・・実質的な恩恵

この2人が受けられる実質的な恩恵を比べると、年収400万円の人は1万600円、年収600万円の人は2万1,100円となり、年収が多い人の方が受けられる恩恵が大きいことがわかる。

富裕層の寄付額の上限は? 年収2,000万円なら55万円超

年収2,000万円を超える富裕層ともなれば、寄付額の上限も非常に大きい。あくまで目安だが、仮に独身の人の場合、年収2,000万円の人の上限額は55万円超、年収3,000万円の人なら103万円超だ。

<年収別の寄付額の上限の比較>

年収 寄付額の上限
500万円 61,000円
1,000万円 177,000円
2,000万円 552,000円
3,000万円 1,034,000円
5,000万円 2,056,000円

出典:ふるさとチョイス

年収が高い人ほど上限額が多いため、上限いっぱいにふるさと納税をすると、かなりの量の返礼品が自宅に届くことになる。中には1人では食べきれない量の食べ物の返礼品を受け取り、知人や友人に配って、何とか賞味期限内に返礼品を消費している富裕層もいるという。

特に高所得者は積極的に制度を活用しよう

各地の名産品など様々な返礼品があり、寄付をすることで納税額が抑えられるふるさと納税はそれだけで大きな魅力がある。加えて、この記事で説明したとおり、年収によって寄付金額の上限が異なり、「富裕層優遇の制度」とも言える特徴がある。そんなふるさと納税の制度はいつまで続くかわからず、特に高所得者は今のうちに積極的に仕組みを活用したいところだろう。

また、上限額が多い高所得者に関して言えば、返礼品の原価の合計が50万円を超えた額については、「一時所得」とみなされて所得税の課税対象となることも知っておきたい。この場合、申告による所得税の納税義務が発生するので注意が必要だ。一般的に返礼品の原価は「寄付金額の30%」で計算する。

ちなみに、返礼品の還元率の30%以下とする規制が2019年に導入されたが、中には返礼品の調達額を下げる努力をすることで、市場価格と比べると実質的な還元率が100%を超えている返礼品も存在するという。

ふるさと納税の返礼品のまとめサイトで還元率などが紹介されているので、還元率を比較しながら魅力ある特産品などを探してみてはいかがだろうか。