ESG投資
(画像=inkdrop/stock.adobe.com)

南海トラフ地震や首都直下型地震のリスクが高まっている今、マンションを買うときに地盤の強さを気にする方も多いのではないでしょうか。

本稿では、とくに資産価値が高い都心3区に注目し、千代田区・中央区・港区のマンションは、大地震が襲ってきたときに資産価値を保つことができるのか、公的データをもとに確認します。

目次

  1. ベストセラー『2040年の未来予測』で提示された大地震リスク
  2. 東京都の地震リスクは?都心3区で地震に強いのはどの町丁目?
    1. 地震リスクには火災危険度、活動困難度も影響する
    2. 東京都全体の地震リスクの傾向
    3. 都心3区(千代田区・中央区・港区)の地震リスクの傾向
    4. 東京都の「地域危険度測定調査」の結果を見るには
  3. マンションを買うときは地盤や耐震性以外の確認も

ベストセラー『2040年の未来予測』で提示された大地震リスク

最近のビジネス書のベストセラーに、元日本マイクロソフト社長の成毛眞氏が著者の『2040年の未来予測』(日経BP社)があります。2021年1月に発売され、その約半年後の同年6月時点でアマゾンのレビュー数が1,000を超えるほどの売れ行きなので、手にとった方も多いかもしれません。

『2040年の未来予測』では、大地震リスクについてかなりのページ数が割かれています。成毛氏は、未曾有の被害をもたらすといわれる南海トラフ地震と首都直下型地震について「遠くない将来に確実に起きると言われている」と表現しています。

具体的に、マグニチュード7の首都直下型地震は30年以内に70%の確率で発生すると予測されています。また、マグニチュード9の南海トラフ地震は30年以内に70〜80%で発生するといわれています。そして、これらの地震の被害予測は次のように甚大なものです。

人的被害 建物の被害
首都直下型地震 死者数
2万3000人
家屋の全壊・全焼
61万棟以上
南海トラフ 死者行方不明者数
23万1,000人
全壊・全焼する建物
209万4,000棟

参照:政府の中央防災会議の想定、土木学会で報告された内容をもとに『2040年の未来予測』でまとめたもの

東京都の地震リスクは?都心3区で地震に強いのはどの町丁目?

ここでは一例として東京都全体、さらには都心3区の地震リスクをチェックしてみたいと思います。

さまざまなリスクチェック方法がありますが、今回は都が提供する「地震に関する地域危険度測定調査」の結果を用いて、地震リスクを確認します。これは、東京都が「東京都震災対策条例」に基づいて、調査・公表を約5年ごとに行っているもので、執筆時点(2021年6月)の最新版である2018年調査で第8回目になります。

地震リスクには火災危険度、活動困難度も影響する

「地域危険度測定調査」の有用性は、都内の市街化区域すべての5,177町丁目ごとの地震リスク(危険度)がわかることです。例えば同じ区・町のマンションでも、隣の丁目になれば地震リスクが変わってくる可能性もあります。このデータでは丁目ごとの地震リスクまで把握できるので、マンション購入時の指標になります。

もう1つの有用性は建物倒壊のリスクだけでなく、地震による火災危険度まで評価に盛り込まれていることです。地震のリスクというと建物の倒壊に着目されがちですが、実際には大震災が発生すると火災による死傷者もかなりの数になる可能性があります。

なお、「地域危険度測定調査」では、次の3つの要素をもとに地震リスク(総合危険度)を5段階のランクで評価しています。

  1. 建物倒壊危険度
  2. 火災危険度
  3. 災害時活動困難度

ランク1の町丁目がもっとも危険度が低く、ランク5の町丁目がもっとも危険度の高いエリアになります。

図1
(画像=出典:東京都都市整備局 公式サイト「地震に関する地域危険度測定調査」)

東京都全体の地震リスクの傾向

まず、東京都全体の地震リスクを見てみましょう。全体の割合で見ると、危険度が低いランク1と2を合わせた割合は77%、危険度の高いランク4と5を合わせた割合は7.2%です。つまり、東京都全体では危険度の低いエリアが大半を占めるということです。

ただ、このデータはあくまでも「相対的評価」という点に留意する必要があるでしょう。例えば、「ランク1=危険度がまったくない」という意味ではなく、あくまでも東京都全体で見るとリスクが低い評価ということになります。

次に、危険度のランク分けをマップにあてはめて見てみましょう。視覚的に見てみると、東京都下(西部)は危険度が低く、東京23区は危険度の高いエリアが集中していることがわかります。

図2.png
(画像=出典:東京都都市整備局 公式サイト「地震に関する地域危険度測定調査」)

とはいえ、全体的に地震リスクの低いエリアでも、細かく見ると危険度の高い町丁目が混じっていることもあり、逆のケースもあります。そのため、不動産を買うときは町丁目の危険度まで確認することをおすすめします。

都心3区(千代田区・中央区・港区)の地震リスクの傾向

では、実際に町丁目の地震リスクを確認してみましょう。ここでは、都心3区(千代田区・中央区・港区)の地震リスクにクローズアップしてみます。

結論から言うと、都心3区は全体的に地震リスクがかなり低いエリアです。都心3区で地震リスクが高いランク5と4は見当たりません。3区ともに地震リスクの低いランク1と2が目立ちます。

千代田区は、すべての町丁名がランク1または2です。危険性が普通の3さえありません。

図3png
(画像=出典:東京都都市整備局 公式サイト「地震に関する地域危険度測定調査」)

中央区は、佃1丁目と3丁目のみランク3ですが、それ以外はランク1または2となっています。港区は、白金と白金台の一部のみランク3で、それ以外はランク1または2となっています。

ただランク3だからといって地震危険度が高いわけではありません。あくまでも危険度が高いのはランク4と5です。

※上記の結果は、「地域危険度測定調査」の第8回のものです。第9回以降、結果が変わることもあります。

このような結果を見ると、地価の高い都心3区は「立地のよさ」「資産価値の高さ」に着目されることが多いですが、「地震にも強い」という魅力もあることがわかりました。東京都の「地域危険度測定調査」の結果を見る限り、大地震の影響で不動産価値が急落するリスクは低いと考えられます。

東京都の「地域危険度測定調査」の結果を見るには

なお、今回利用した東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」の結果は、都市整備局の公式サイト上で確認できます。東京都内で不動産を探す際はぜひご活用ください。

東京都都市整備局 公式サイト「地震に関する地域危険度測定調査」

マンションを買うときは地盤や耐震性以外の確認も

ただ、「地震リスクが低いエリアだから安心」と単純に考えられない面もあります。大地震発生時には電気・水道・ガスなどのライフラインや物流が長時間(あるいは、長期)にわたって停止する可能性があります。そのため、マンションを契約する前に以下の項目をヒアリングしておくのが賢明です。

  • マンション設備に大規模停電時の自家発電はあるか?
  • 自家発電があるとしたらどの部分に利用されるか?
  • 管理組合(防災組織)単位で備蓄や防災訓練を行っているか?
    (新築の場合は、行われる可能性があるか?)
  • 管理組合単位で仮設トイレを準備しているか?
  • 管理組合単位で食料や水の備蓄をしているか? など

もちろん、災害時のすべての備えがマンション頼みというわけにはいきません。ご自身でも食料、水、簡易トイレ、バッテリーなどの備えが必要です。