パリ株式
(画像=inkdrop/stock.adobe.com)

2024年に開催されるパリ五輪はアフターコロナにおける世界的なイベントとして期待が高まっています。新型コロナウイルスにより制約の多い東京五輪や北京冬季五輪に対するリベンジ観光が欧州経済を押し上げることが予想されます。そこで開催国フランスの株式に着目する、東京五輪の次を見据えた投資戦略を考えます。

目次

  1. アフターコロナの大本命イベント「パリ五輪」に注目
    1. パリ五輪の歴史
    2. パリ五輪開催概要
  2. フランスの新型コロナウイルス感染状況
  3. フランスとはどんな国か
    1. フランス共和国の概要
    2. フランスの主要産業
    3. フランスと日本の経済関係
  4. フランス株式市場の現状
  5. どこに投資する?フランスの有名企業とは
  6. 日本でフランス株を買える証券会社は?
  7. フランス株式の投資信託もある
    1. フランス株式ファンドの概要
  8. パリ五輪にはリスクもある
  9. パリ五輪で欧州経済の活性化に期待

アフターコロナの大本命イベント「パリ五輪」に注目

2020年から世界を襲った新型コロナウイルスは、スポーツの祭典オリンピックにも大きな影響を与えました。「TOKYO2020(トウキョウニーゼロニーゼロ)」を合言葉に準備を進めていた「東京五輪」は1年延期となり、海外からの観戦客の受け入れは早い時期に断念。国内の観客を入れて行うかどうかも開催直前まで感染状況を見極めて判断する難しい大会運営を強いられました。

東京五輪から約半年後に開催される「北京冬季五輪」(2022年2月4日~2月20日)もまだコロナの後遺症が残っているなかでの開催となります。北京五輪終了の頃なんとか世界のワクチン接種が完了するものと予想されます。その時期からさらに2年半後の2024年7月に行われる「パリ五輪」は、ようやくコロナの後遺症も癒え、安心して参加できるオリンピックになる可能性が大きいでしょう。

パリ五輪はアフターコロナの大本命イベントとして世界経済の期待を一身に集めることが予想されます。フランス株式市場はすでに上昇相場に入っていますが、今から2024年に向けての二段上げ相場を先取りしてフランス株を購入するのも株式投資のテーマとしては面白そうです。

でははじめに、パリ五輪の歴史と2024年大会の概要を確認しておきましょう。

パリ五輪の歴史

パリではこれまで2回夏季オリンピックが行われました。最初に行われたのは1900年で、アテネに次ぐ第2回のオリンピックです。1900年5月20日~10月28日まで5ヵ月間にわたり開催。IOCの見解によると、16競技60種目が行われ、19ヵ国から1,066人が参加しました。

2回目の開催は1924年で、第8回のオリンピックにあたります。1924年5月5日~7月27日まで開催。16競技140種目が行われ、44ヵ国から3,070人が参加しました。この大会からマイクロホンが使われるようになったことが歴史的出来事として記録されています。

そして2024年、第8回大会からちょうど100年ぶりに3回目のオリンピックが開催されます。マクロン大統領が「よいタイミングだ」と語ったように、パリ市にとっては悲願のオリンピック開催が実現したことになります。パリ五輪開催の概要は下記のとおりです。 

パリ五輪開催概要

開催地 フランス・パリ市
開催期間 2024年7月26日~8月11日
参加国・地域 207(予定)
参加人数 1万2,000人(予定)
実施競技数 28競技(追加の可能性あり)
主競技場 スタッド・ドゥ・フランス
出典:Wikipedia

フランスの新型コロナウイルス感染状況

オリンピックの開催に大きな影響を与える新型コロナウイルスの感染状況ですが、2021年6月17日現在2021~2024年のオリンピック開催国の数字は下表のようになっています。フランスは米国、インド、ブラジルに次いで世界で4番目に感染者が多い状況です。

▽フランス・中国・日本の新型コロナウイルス感染者・死者数

国名 感染者数 死者数
フランス 568万3,536人 10万9,685人
中国 9万1,511人 4,636人
日本 78万814人 1万4,331人

(フランス・中国は2021年6月17日17時時点のジョンズ・ホプキンス大学のまとめ。日本は2021年6月17日18時15分時点のNHKのまとめ)

この状況に対し、ワクチン接種はどこまで進んでいるのでしょうか。NHKの「新型コロナウイルス特設サイト」の報道によると、EU(ヨーロッパ連合)各国では2020年12月下旬からワクチン接種が始まりました。フランスでは2021年3月8日時点でおよそ400万人が1回目の接種を終え、このうち200万人が2回目の接種を終えています。

フランス政府は6月末までに3,000万人が1回目の接種を終えることを目指していますが、現在の接種ペースを大幅に加速させる必要があり、実現できるかどうかは不透明です。

北京冬季五輪開催の中国と比較して感染者数がケタ違いに多いので、2024年までにどのように感染を収束させていくか、今後の国の政策が注目されます。

フランスとはどんな国か

次のオリンピックの開催国であるフランスはどのような国なのでしょうか。外務省が公表している「フランス共和国」の基礎データから見たフランスの特徴は以下のとおりです。

フランス共和国の概要

フランスは米国、英国、ドイツ、イタリア、日本、カナダとともにG7の一角を占める先進国です。

・人口 約6,706万人(2020年1月1日時点、仏国立統計経済研究所による数値)
・面積 54万4,000平方キロメートル(フランス本土、仏国立統計経済研究所による数値)
・政治体制 共和制(エマニュエル・マクロン大統領、ジャン・カステックス首相)
・名目GDP 2兆7,070億ドル、2兆4,100億ユーロ(2019年、以下同)
・実質経済成長率 1.3%
・物価上昇率 1.3%
・失業率 8.4%
・貿易 輸出5,089億ユーロ、輸入5,664億ユーロ

フランスの主要産業

フランスの主要産業は、自動車、化学、機械、食品、繊維、航空、原子力などです。農業は西欧最大の規模で、工業においては自動車産業、宇宙・航空産業、原子力産業などの先端産業が発達しています。おもな輸出品目は、工業製品、輸送用機器、コンピュータ・電子機器。一方おもな輸入品目は、工業製品、コンピュータ・電子機器、自動車、輸送用機器となっています。

フランスと日本の経済関係

フランスと日本の経済関係は良好といわれています。日本からフランスへの直接投資残高(2019年末時点)は1兆7,726億円。フランスから日本への直接投資残高は3兆7,979億円。また、日本からフランスへの輸出額(2020年)は6,026億円、フランスから日本への輸入額は9,865億円で日本から見て貿易赤字になっています。

日本からフランスへは機械類および輸送用機器、化学製品が輸出され、フランスから日本へは化学製品、機械類および輸送用機器、医薬品、飲料が輸入されています。両国の経済力から見てそれぞれの貿易総額に占めるシェアは低く、今後のさらなる経済交流が期待されます。

出典:外務省ホームページ フランス基礎データ|外務省 (mofa.go.jp) 

フランス株式市場の現状

フランスの主力株式市場は、「ユーロネクスト・パリ」です。かつてはパリ証券取引所という名称でした。2000年にパリ証券取引所とブリュッセル証券取引所、アムステルダム証券取引所が合併し、ユーロネクストが設立されたため、現在の名称になりました。

代表的な株価指数は「CAC40指数」で、採用銘柄はユーロネクスト・パリにおける時価総額上位40社で構成されています。1987年12月31日の終値を基準値1,000として1988年に指数の算出が開始されました。2000年9月には最高値6944.77を記録しています。

最近のCAC40指数の動きですが、新型コロナウイルス感染拡大前は6,000ポイント前後の高値を維持していました。しかし、コロナの感染拡大が本格化すると世界同時株安の影響を受けて急落、2020年3月には4,000ポイント台を割り込む大暴落となります。その後世界株式市場の反発に合わせて上昇しますが、しばらく5,000ポイント前後で調整局面が続きました。

流れが変わったのはコロナワクチンが開発された2020年秋以降で、コロナ収束への期待から一貫した上昇相場に転じ、2021年6月には6,600ポイント台と、コロナ前の高値を上回っています。指数開始の1988年に比べ、約7倍に市場が成長したことになります。

どこに投資する?フランスの有名企業とは

米国にはGAFAM(Google、Apple 、Facebook、Amazon、Microsoft)をはじめ有名企業が多いため、投資先を選ぶのはそれほど難しくないでしょう。しかし、フランス企業の話題は普段あまり聞くことがなく、投資先を選ぼうと思っても選択肢がわからないのが実情です。

フランスにはどのような有名企業があるのか、フランス株式市場における時価総額上位10社を見てみましょう。

▽フランス上場企業時価総額トップ10(2020年12月31日時点)

順位 企業名 業種
1 モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン 最終財
2 ロレアル 最終財
3 サノフィ 健康
4 トタル 石油・ガス
5 エルメス・インターナショナ 最終財
6 クリスチャン・ディオール 最終財
7 ケリング 消費者サービス
8 エアバス 基本資源
9 シュナイダーエレクトリック 産業
10 エア・リキード 基本資源

出典:「世界各国の時価総額ランキング(2020)」。業種はランキング内における分類。

装飾品メーカーのルイ・ヴィトンが時価総額1位というのがフランスらしい特徴といえるでしょう。ほかにも2位のロレアル(化粧品)、5位のエルメス、6位のクリスチャン・ディオールと名だたるブランド消費財の有名企業が並んでいます。

3位のサノフィは、パリ8区に本社を置く製薬・バイオテクノロジー企業で、医薬品では世界有数の規模を誇ります。4位のトタルは、パリ近郊のラ・デファンス地区に本社を置く国際的石油企業で、石油化学の研究・開発では世界屈指といわれています。

7位のケリングは、パリ7区に本社を置くコングロマリット企業で、主にファッション・宝飾品関連のブランドを保有しています。8位のエアバスは、民間航空機メーカーとして日本でもよく知られています。経済産業省がエアバスと日本企業との連携を強化する覚書をフランス政府と締結しています。

9位のシュナイダーエレクトリックは、パリ近郊のリュエイユ=マルメゾンに本社を置く世界的な電機メーカーです。2021年1月に発表された「世界で最も持続可能な企業100社」というランキングで世界1位に選ばれています。そして10位のエア・リキードはパリ7区に本社を置く産業ガスメーカーです。同分野の世界大手で、日本エア・リキードという日本法人もあります。

トップテンの半分を宝飾品、化粧品、ファッションなどの消費財メーカーが占めており、おしゃれな国フランスのイメージどおりの構成となっています。その意味ではコロナ収束による世界経済の回復が業績に反映しやすい企業群といえます。

日本でフランス株を買える証券会社は?

米国株はほぼどこの証券会社でも購入できますが、フランスの株式を取り扱っている証券会社は限定されています。2021年6月17日現在、日本では大和証券、みずほ証券、サクソバンク証券などで購入することができます。

それではフランス株を購入する方法を確認します。フランス株に投資するには、まず欧州株を取り扱っている証券会社に口座を開設する必要があります。

購入方法には「外国委託取引」と「国内店頭取引」があり、外国委託取引ではほぼすべての株式を購入できますが、国内店頭取引では証券会社が指定する銘柄に限定されます。欧州株投資に関する概要をみずほ証券の例で確認しておきましょう。

▽みずほ証券におけるフランス株取引の概要【外国委託取引】

みずほ証券と現地証券取引所の間に現地証券会社が入るため、手数料が高額になります。

・取扱市場 ユーロネクスト・パリ
・売買単位 1株
・売買通貨 ユーロ
・海外取次手数料 約定代金の0.5%
・国内取次手数料 約定代金が5万5,000円以下の場合一律11.0%(税込)、5万5,000円~30万円の場合6,050円(税込)、以降取引金額によって段階的に増加。
・金融取引税 約定代金の0.3%(一部銘柄買付時のみ)
・口座管理料 無料

▽みずほ証券におけるフランス株取引の概要【国内店頭取引】

仕切り取引といわれる取引方法で、現地証券会社を通さず、みずほ証券が現地証券取引所の終値または最終気配値を参考に、顧客に提示した価格で取引されます。

別途手数料はかかりませんが、価格には2~3%のスプレッドが上乗せされるため、スプレッドの幅が実質的な手数料となります。スプレッドによっては外国委託取引よりコストが高くなる場合があるため、よく比較することが大事です。

フランス株式の投資信託もある

個別の企業のことはよくわからないという場合は、投資信託でフランス株式に投資する方法もあります。フランス株式を組み入れた「フランス株式ファンド」が販売されており、同ファンドの運用方針は、「主としてフランスの金融証券取引所上場企業または同国において主な事業を展開する企業の株式、預託証券、優先株式ならびに株価に連動する効果を有する有価証券、不動産投資信託証券に投資し、信託財産の中長期的な成長」(目論見書より)を目指すというものです。

償還日がちょうどパリ五輪の直前になっています。手数料がかからず、管理費用もそれほど高くないので個別株を購入するよりは低いコストでフランス株に投資することができます。

フランス株式ファンドの概要

・運用(委託)会社 カレラアセットマネジメント
・純資産 11.85億円
・設定日 2014年3月18日
・償還日 2024年3月15日
・決算日 3月、9月15日
・買付手数料 なし
・売買単位 1口
・管理費用(含む信託報酬) 1.661%
・直近分配金 200円
・基準価額 1万3,888円(2021年6月16日時点)

パリ五輪にはリスクもある

期待が大きいパリ五輪ですが、リスクがないわけではありません。とくに危惧されているのが開催へ向けてのインフラ整備の遅れです。「世界経済評論IMPACT」の記事によると、パリ市では「メトロポール・グランパリ」という大都市開発プロジェクトが進んでおり、新型コロナウィルスの影響で工事の遅れが発生しています。

グランパリ構想において重要な部分を占める新設の鉄道環状線「グランパリ・エクスプレス」で2路線の開通がパリ五輪に間に合わない可能性が出ています。パリ五輪委員会は代替輸送案を確保したい考えです。

もう1つのリスクは新型コロナウイルス終息の有無です。ワクチンの普及が進みコロナも収束から終息へ向かうことが予想されますが、インフルエンザと同じ季節性の感染症になれば、これからも毎年流行する可能性は捨てきれません。開催できたとしても観客数に制限などがあれば、経済的インパクトが弱くなる恐れがあります。

パリ五輪で欧州経済の活性化に期待

世界情勢の先を読むことは難しいですが、仮にパリ五輪までに新型コロナウイルスが収束ではなく、完全に終息していたとすると、欧州経済にかつてないような活性化をもたらす可能性があります。スポーツ好きな海外の観光客は東京五輪を観戦できなかったことで相当なフラストレーションが溜まっているはずです。

2022年に中国で行われる「北京冬季五輪」もコロナ対策を行いながらの開催になることは変わらないでしょう。パリ五輪こそが真に安心して観戦できる大会となれば、観光客の観戦意欲はかなりヒートアップすることが予想されます。

欧州旅行を兼ねた観光客はフランスに数日間滞在することが見込まれ、ホテル業界や小売・飲食業界などにも大きな恩恵が及びそうです。投資家も恩恵を受けるために、フランス株式をポートフォリオに加えてみるのもよいでしょう。

※本記事は2021年6月17日時点の状況を基に構成しています。各オリンピックの開催については流動的な部分もありますので、参考程度にお考えください。