多発する自然災害に対する損害賠償保険の存在は非常に心強く、かつ必要不可欠なものです。災害に備えた保険としては、火災保険や地震保険が存在しますが、この2つの保険にはどのような違いがあるのでしょうか。

また、地震保険は火災保険と合わせて加入することが条件となっていますが、その際の上手な活用方法についても解説します。

火災保険とは 

火災保険と地震保険の違いと上手な活用方法
(画像=David/stock.adobe.com)

日常生活上において、隣の家から火災が発生し、それが燃え移って被害を受けた際には、当然隣家に対して損害賠償を請求できると考えがちです。しかし、日本には「失火責任法」というものが存在するため、隣の家など自分に非がない出火が原因で自分の家が焼けたとしても、その原因に重大な過失がない限り、損害賠償を請求することはできません。

したがって、火災保険とは、自分で自分の身を守る保険であると同時に、他人から受けた損害から自分を守るという意味も併せ持った非常に大切な保険であるといえます。

火災保険の基本補償範囲

火災保険は、火災をはじめとする住まいのさまざまな事故による損害を補償します。火災保険の基本補償では以下のような災害に対する補償が用意されています。

補償の種類具体的な補償内容
火災、落雷、爆発自宅からの出火や隣家からのもらい火事に対する補償のほか、落雷やガス漏れによって発生した爆発事故に対する補償
風災、雹災、雪災台風などの風災や雹が降ってきた際の補償、さらに雪崩などに対する損害を補償
水災豪雨災害などにより、建物が浸水した際の建物および家財の補償
盗難ほか盗難によって受けた被害や、上の階からの水漏れによって受けた被害に対する補償
破損および汚損日常生活において、不測かつ突発的に起きた建物や家財の破損などを補償
費用保険金臨時費用保険金など、損害保険金に加えて支払われる保険金

このように、火災保険は「火災に対するリスク」だけではなく、「自然災害リスク」にも備えた保険であることから、近年では「住宅保険」と呼ばれる場合もあります。

保険の対象は「建物」および「家財」

火災保険の補償範囲は「建物」だけではなく、「家財」にも及びます。したがって、契約する際には「建物」と「家財」をひとつにまとめることもできますし、別々に契約することも可能です。そして、「建物」を保険の対象には、建物本体だけではなく、門や塀、物置、車庫などといった付属建築物も含まれます。

「家財」は建物内に収容される生活用品全般を指しますが、1個または1組の価格が30万円をこえる貴金属や宝石、美術品などの家財は、「明記物件」として契約の際に明記しておかないと補償されない場合があることに注意しておきましょう。

必要となる特約は必ず付加する

火災保険は、上述の基本補償以外にも特約を付加することにより、その補償範囲を拡げることができます。以下に挙げる特約については、ぜひ付加しておきたいものです。

・類焼損害特約
自宅からの出火により、隣家に延焼してしまった場合の隣家の建物および家財についても補償するもので、法律上の賠償責任がなくても補償されます。

・個人賠償責任特約
日常生活において、法律上の賠償責任を負った際に、その保障額を補償するものです。

火災保険の特約については、各保険会社でさまざまです。加入を検討する際には2~3社の補償内容や特約の種類を確認し、決めるようにしましょう。

火災保険のポイント

火災保険の保険金支払い基準は保険会社によって異なりますが、概ね「保険の対象となる建物の損壊部分の80%以上」もしくは「損害額が保険金額の80%以上になった場合」に保険金額全額が支払われます。

そして、1回の事故で保険金支払額が保険金額の80%を超えた場合は、保険契約は終了するのが一般的となっています。逆に80%未満であれば、保険金の支払い対象となる事故が何回発生したとしても、保険金額が減額されたり、追加保険料を払うなどといったことは必要なく、契約満了日まで補償の効力が続くことになっています。

地震保険とは? 

地震保険は、火災保険とは異なり「地震保険に関する法律」に基づいて、政府と損害保険会社が共同で運営するものです。居住用の建物および家財が補償の対象となっており、それ以外のものについては補償の対象とすることはできません。地震保険の保険料は一律で、保険会社が利益を得ることなく、将来発生するかもしれない地震に備えて積み立てられています。

地震保険の保険金額

地震保険は火災保険と合わせて加入することが条件となっていますが、その際の保険金額は主契約となる火災保険の保険金額の30~50%の範囲内となっており、建物は5,000万円、そして家財は1,000万円という上限額が設定されています。

地震保険の補償額

地震によって建物および家財が損害を受けた際には、その損害の度合いによって保険金の支払額が異なります。損失の度合いは「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4つに分類され、それぞれ保険金額の「100%」「60%」「30%」「5%」が支払われることとなっています。

地震保険料の割引制度

地震保険には、その建物が建築された年代、そして免震性や耐震性に応じた保険料の割引制度が存在する点が特徴となっています。

建築基準法の改正により、建物の耐震性が高められた昭和56年6月以降の新耐震基準によって建てられたものであれば、「建築年割引」として10%の割引が適用されるほか、国土交通省の定める耐震等級による10~50%までの「耐震等級割引」。さらには免震建築物であれば50%、耐震診断を満たす建物であれば10%の割引を受けることができます。

これらの割引制度は重複して利用することはできず、利用の際にはその条件を満たしていることを証明する書類が必要となりますが、最大で50%の割引が適用になるということは、保険料をかなり節約することができるといえるのではないでしょうか。

また、長期契約することで火災保険の長期一括払いと同様に保険料を安くすることができます。ただし、火災保険と異なり、地震保険については5年が最長となっていることから、主契約である火災保険が10年であったとしても、地震保険は5年ごとに契約し直す必要がある点には注意が必要です。

共済の火災保険および地震保険 

火災や地震に対する保険は民間の損害保険会社のみならず、共済でも取り扱いを行っています。取り扱う共済によって補償内容や共済金が異なる点が通常の地震保険と違うところであり、さらに、共済保険においては、1回の風水害および地震などによる共済金の支払限度額を決めている点も特徴となっています。

それぞれの足りない部分をカバーしながら上手く組み合わせることが大切 

火災保険では、火災による被害のほかは、あくまでも台風や水害などの自然災害に対する補償しかありません。したがって、地震によって発生した火災や津波などの補償はありませんので、その部分については、地震保険でカバーする必要があります。

また、地震保険では保険金額が火災保険の最大50%までしか補償されないことから、その部分については別途共済の保険に加入するか、もしくは火災保険の特約を付帯するなどして備えるようにするとよいでしょう。

例えば、火災保険には「地震危険等上乗せ保障特約」というものがあります。この特約を付加することで、地震や噴火、津波による損害についても最大で火災保険金額の100%を補償することができます。

ほかにも「地震火災特約」などといった特約を付加することで、地震などによる火災で建物が半焼以上または保険の対象となる家財が全焼した場合において、地震保険の保険金額と火災保険の地震火災費用保険金と合わせて、プランによっては最大火災保険金額の100%まで補償してくれるものもあります。

私たちの身の回りにはいつも何らかのリスクが存在します。予測できない自然災害に遭った際の経済的なリスクに備えて、保険に加入することはリスク対策の1つです。

ただし、それだけで全ての損失をカバーするのはなかなか難しいため、一部は保険商品で、そしてそのほかにも資金を準備しておくことや、災害にあった際の社会保障制度の仕組みを理解しておくことは非常に大切です。

特に公的支援制度の把握はリスク対策を考える上でも欠かせないことから、常に自治体からの情報を確認することを忘れないようにしてください。