新井智美
新井智美
トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員、コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,000本以上。

所得税の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)や、贈与税の直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税は、身近な税制でもあり、関心も高いのではないでしょうか。

これらの特別控除や非課税制度は、新築住宅だけではなく、建築後に使用されたことのある住宅(中古住宅)にも適用することができます。

今回は、中古住宅の購入およびリフォームの際に適用される、税制優遇におけるポイントを解説します。なお、この記事の情報は2021年10月時点のものです。今後の税制改正によっては変更となる可能性があります。

中古住宅に係る住宅ローン控除 

中古住宅購入およびリフォーム時に気をつけておきたい税制上のポイントとは?
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

中古住宅に係る住宅ローン控除は、一定の要件のもと、その住宅ローン等の年末残高を基にして計算した金額を、居住開始年分以降の所得税額から控除することができるものです。控除の適用を受ける要件については、国税庁ホームページ「中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」を参照ください。ただし、適用の際には注意すべき点がありますので、以下にケースごとに解説します。

中古住宅の購入

住宅ローン控除の対象となる中古住宅の要件の1つとして、「原則として建築された日から購入の日までの期間が20年(マンションなど耐火建築物は25年)以内という経過年数基準を満たしていること」、または「耐震基準」のいずれかを満たしていることが必要となります。

ただし、経過年数基準または耐震基準のいずれも満たしていない中古住宅(要耐震改修住宅)であっても、購入者が「購入の日までに、購入後に耐震改修を行うことについて一定の申請等を行うこと」、そして「居住開始日(購入の日から6ヶ月以内に限る)までに申請等に沿った耐震改修を行い、耐震基準に適合したことの一定の証明を取得すること」により、耐震基準を満たした中古住宅とみなされることから、住宅ローン控除の対象とすることができます。

中古住宅のリフォーム

住宅ローン控除の対象となるリフォーム(増改築等)の概要については、以下のとおりとなります。

一般の増改築等特定の増改築等
バリアフリー改修
(※2)
省エネ改修3世代同居対応改修耐久性向上改修
(※3)
最大控除期間10年(※1)5年
最大控除額400万円62万5,000円
住宅ローンの償還期間10年以上5年以上
工事費用の額100万円超
(補助金等を控除した金額)
50万円超
(補助金を控除した金額)

(※1)増加築等の費用の額に含まれる消費税率が10%で、居住開始年が2019年10月~2022年12月までの場合は、一定の要件のもと、最大控除期間が13年間となり、最大控除額は480万円となります。
(※2)「50歳以上の人」、「要介護または要支援認定を受けている人」、「障害者」、「65歳以上の高齢者のうち、一定の要件を満たす人」である親族と常に同居している者のうち、いずれかが行うものに限ります。
(※3)省エネ改修工事と併用して行うものに限ります。

特定増改築等(バリアフリー改修、省エネ改修、三世代同居対応改修、耐久性向上改修を含む増改築等)に係る住宅ローン控除は、一般の増改築等に係る住宅ローン控除(最大控除期間10年または13年、住宅ローンの償還期間10年以上、工事費用の額100万円超)とは異なり、最大控除期間が5年間、対象となる住宅ローンの償還期間は5年以上、工事費用の額は50万円超となっています。

したがって、増改築等が住宅ローン控除の対象となる工事かどうかについては、それぞれの要件を確認する必要があります。また、増改築等に係る住宅ローン控除は、自己が所有する家屋への増改築等が対象となるため、親族が所有する家屋への増改築等については対象とならない点に注意が必要です。

なお、この制度の適用には「増改築等の前にその家屋へ居住していること」といった要件はありません。

中古住宅の購入およびリフォーム

中古住宅を購入してリフォーム(増改築等)を行い、その中古住宅の購入および増改築等のいずれもが住宅ローン控除の対象となる場合、そのいずれについても適用を受けることが可能です。その際、増改築等が行われた時期については入居前後を問いません。

そして、この場合の控除額については、それぞれの控除額を計算し、それらを合計した額(いずれか高い方の控除限度額が上限)となります。なお、その増改築等が住宅ローン控除の対象とならないような軽微な修繕工事である場合、増改築等の行われた時期が入居前である場合に限り、その増加築等に要した費用の額は、住宅ローン控除の計算上、中古住宅の購入に係る家屋の取得価格に含めます。

住宅ローン利用なしでも適用な所得税額の特別控除とは? 

住宅ローンを利用していなくても、自己が所有する家屋に対して工事費用の額が50万円超の一定の回収工事(住宅特定改修工事)を行い、自分が住むために利用した場合については、一定の要件のもと、標準的な費用の額の10%相当額を、その年分の所得税額から控除することができます。

住宅特定改修工事に係る所得税額の特別控除

この特別控除が投資型減税といわれるもので、概要は以下のとおりとなります。

住宅特定改修工事
バリアフリー改修省エネ改修3世代同居対応改修耐久性向上改修(注)
控除期間1年(居住開始年分のみ)
控除額標準的な費用の額(=単位当たりの標準的な費用の額×改修個所数など)×10%
ただし、以下の額を限度とする
1.バリアフリー改修:200万円
2.3世代同居対応改修:250万円
3.省エネ改修:250万円
4.耐震改修+耐久性向上改修:250万円
5.省エネ改修+耐震性向上改修:250万円
6.耐震改修+省エネ改修+耐震性向上改修:500万円

・3.5.6の場合、太陽光発電装置を設置する時は100万円を加算
・各改修工事とも、改修部位ごとに「単位当たりの標準的な費用の額が定められています(例:バリアフリー改修工事の浴室段差解消工事 9万6,000円/㎡)
工事費用の額50万円超(補助金等控除後の額)

(注)耐震改修工事または省エネ改修虎児と併せて行うものに限る

投資型減税の投資期間は、住宅ローン控除の控除期間とは異なり1年(居住開始年分のみ)であり、控除額は実際にかかった改修工事費用の額ではなく。改修工事の種類に応じて定められている「標準的な費用の額(上限あり)」を基に算出されます。

また、1981年5月31日以前に建築された家屋(旧耐震基準の家屋)に耐震改修工事を行い、自分が住む場合にも同様に投資型減税(住宅耐震改修特別控除)が適用されます。なお、この住宅耐震改修特別控除には、自己所有の家屋であるということや、工事費用の額が50万円超であるといった要件はありません。

中古住宅に係る住宅取得資金贈与の非課税について 

贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である一定の者が、父母もしくは祖父母などの直系尊属からの贈与により、自分が住むための家の新築および購入、または増改築等の費用に充てるための金銭を取得した場合には、一定の要件のもと、非課税限度額まで贈与税が非課税となります。非課税限度額は住宅購入の契約締結日と、その住宅の種類によって異なります。

ちなみに2020年4月1日から2021年12月31日までに契約締結(消費税率10%で購入)がなされた場合、省エネ等住宅であれば、1,500万円、それ以外の住宅であれば1,000万円までが非課税となります。この制度は新築の住宅だけではなく、中古住宅の取得およびリフォームの際にも適用されます。

中古住宅の購入

要耐震改修住宅であっても、中古住宅の購入に係る住宅ローン控除と同様の手続き(ただし、耐震基準適合に係る証明は贈与を受けた翌年の3月15日までに取得する必要あり)により、耐震改修を行うことによって住宅取得等資金贈与の非課税の対象とすることができます。

中古住宅のリフォーム

工事費用の額が100万円以上である一定の増改築等については、住宅資金等資金贈与の非課税の対象となります。なお、住宅取得等資金贈与の非課税は、受贈者(贈与を受ける者)が所有し、かつ居住する家屋への増改築等が対象となることに注意が必要です。この点が増改築等に係る住宅ローン控除の要件とは異なるところですので、しっかりと覚えておきましょう。

住宅ローン控除および直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税制度については、新築住宅に意識が行きがちですが、中古住宅の取得およびリフォームの際にも適用があります。

その際には新築住宅と要件が異なる場合がありますので、その違いをしっかりと理解しておくことが大切です。特に投資型減税などは見落としがちな制度ですので、適用漏れがないかどうか確認しておきましょう。