新井智美
新井智美
トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員、コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,000本以上。

不動産投資においては、その仕組みを理解するとともに、自分が不動産投資を行うことでどのような成果を上げたいのかという目標設定も重要なポイントなります。そして、その目標によってどのような物件に投資すべきかについての選択肢も変わってくるでしょう。

今回は不動産投資の仕組みと目標設定のポイント、さらには最近注目を集めている不動産小口化投資にも触れ、区分マンション投資との違いについても解説します。

不動産投資の仕組み

どちらを選ぶべき?区分マンション投資と不動産小口化投資
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

不動産投資における利益の出し方には2つの方法があります。1つは購入した不動産を購入時の価格よりも高額で売却することで売却益を得る方法。そしてもう一つは購入した不動産を賃貸に出すことで、賃貸収入を得る方法です。

ちなみに売却益によって得る利益のことを「キャピタルゲイン」、賃料収入によって得る利益のことを「インカムゲイン」といいます。

他の投資方法と何が違う?

実際に投資といっても、その投資先商品にはさまざまなものがあります。例えば、株式やFX(外国為替証拠金取引)、先物取引、債券、REIT(不動産投資信託)などです。

株式は、個別銘柄を安い時に購入し、値上がり時に売却することで利益を確定させる投資方法です。業績によっては配当を期待することも可能ですが、それなりの額の配当を受けるためにはそれ相応の株数を保有しておく必要があることから、配当を期待する投資方法はどちらかというと資産家向けといえるでしょう。

また、マーケットに大きく左右されるという特徴があるため、長年経験を積んだ投資家でさえも利益を出し続けることは難しいといえます。

さらに、株式以上に投機的要素が強い投資として、FXや先物取引があります。FXは為替の売買差益で利益を狙うという特徴があり、先物取引については、特定の商品を特定の期日にあらかじめ約束していた価格で売買するという特徴があります。

これらは、基本的にレバレッジ効果を狙った投資方法ですが、投資金額の何倍もの金額を運用することができることから、大きなリターンを期待できる反面、損失額も大きくなるというリスクを背負っています。

不動産投資の特徴とは?

不動産投資は、上で紹介した投資方法と異なり、低リスクで利益を得ることができ、さらにその利益を受け取れる期間が長期に渡る点が特徴となっています。毎月の賃料収入で利益を得ることから、その物件を保有している限り、安定した収入を得ることができます。

そういった意味では、適切な知識を持ち、適切な物件を選び、融資を受け、適切な運用を行うことによって安定した収益を得ることができる投資方法といえます。

また、不動産投資においては、物件の購入からその後の運用までを自分一人で行うのではなく、場合によっては信頼できる不動産会社や管理会社に任せることで、自分の時間を作ることもできます。

不動産投資のメリット・デメリット 

不動産投資を行うにあたっては、そのメリットおよびデメリットについてもしっかりと把握しておく必要があります。

メリット

不動産投資のメリットとしては、以下のものが挙げられます。

1.毎月の賃貸収入を得ることができる
他の投資と比べ、売買益だけではなく、きちんとした管理運営体制さえ整備しておけば、毎月賃料収入を得ることができる点は1番のメリットといえるでしょう。

2.物件購入の際に融資を受けることができる
通常、投資目的の融資は行われません。しかし不動産投資においては、投資額が高額になることからも、ほとんどの方が物件を購入する際には融資を受けます。このことがレバレッジ効果に繋がり、最終的に投資効果を上げることができます。

3.節税効果が期待できる
不動産投資では、節税および税金のコントロール(タックスマネジメント)が可能です。収益物件を保有することで、その物件によるキャッシュフローを得ながら、所得税を節税することもできるでしょう。具体的には、経費計上できる費用として減価償却費を大きく増やすことで、最終的な所得金額を抑えることにつながります。

物件を保有していると、日々のメンテナンスや退去後の原状回復費用など、さまざまな費用が発生します。そのような費用を計上し、キャッシュフローを最大限に活かせることができる点は、不動産投資におけるメリットであるとともに、しっかりと理解しておかなければならない点といえるでしょう。

4.運営管理を任せることができる
不動産投資においては、「日々の運営管理がきちんとできているか」でその成果が決まります。管理ができておらず、結果的に空室率が高くなると思ったほどの利回りを得ることができませんし、募集方法を間違えるとなかなか入居者が決まらず収益に結びつかないという結果を招くことになります。

不動産投資では、これらの運営管理を外部に委託できる体制が整っていることから、信頼できる会社を見つけ、任せることで自動的に収益を手に入れる仕組みが出来上がる点がメリットといえます。

デメリット

不動産投資にはメリットがある反面、デメリットも多数存在します。なかでも重要なものは「空室リスク」そして「滞納リスク」でしょう。空室リスク対策として、一番に考えなければならないのは、需要バランスをしっかりと考えることです。

さらに、客付けに強い管理会社を味方につけることも大切です。また、「滞納リスク」に対しては、賃料保証会社への加入はもちろんのこと、滞納が発生した場合の回収フローを自分で作成しておくことも重要なポイントといえるでしょう。
そのほかのデメリットとしては、以下のものがあげられます。

・火災や震災などの災害リスク
・金利上昇リスク
・事故および損賠賠償リスク
・価格下落リスク

災害リスクや損害賠償リスクについては保険で対応することが可能ですが、価格下落リスクについては、「物件購入の際の選定を間違わない」という対策を取るに限ります。したがって、自分が不動産投資を行う目的を明確にし、それに沿った物件を選択することは非常に大切です。

不動産投資における目標設定

不動産投資を始める際に、目標を設定することは非常に大切です。もちろんこれは不動産投資に限らず、投資全般に言えることです。

例えば、「月に数万円のお小遣いが欲しい」のか、「年金代わりの収入を作りたい」のか、それとも「数百万円の売却益を得たい」のかなど、人によって目標は異なるでしょう。そして、このような目標が決まれば、おのずと物件購入の際の選定が明確になります。

区分マンションを選ぶメリットとデメリット 

区分マンションは、投資金額が少なくて済む反面、家賃収入はそれほど多くなく、事業規模拡大のスピードが遅くなるという特徴がある点には注意が必要です。

一般的に、投資金額の小さい区分マンションから不動産投資をスタートさせる人が多く見られます。しかし、区分マンションについては、節税目的で購入する人も多いことから、買い手が多く、収益の割に値段が高くなってしまうというデメリットがあります。そのため、利回りが低くなりやすい点に注意が必要です。

また、毎月修繕積立金や管理費、共益費がかかることも忘れないようにする必要があります。そのため、物件によっては月の収支がマイナスになってしまうこともあります。

区分マンション投資に向いている人とは?

「不動産以外の収入が多く節税したい」と思っている方や、「ローン完済後に年金代わりにしたい」といった目的であれば、区分マンションの購入は向いているといえます。しかし、できるだけ事業規模を拡大したいと思っているのであれば、区分マンションへの投資は避けた方が賢明です。

新築区分マンションと中古区分マンション 

では、もし区分マンションに投資を行うとした場合、新築そして中古どちらを選ぶべきなのでしょうか。

新築区分マンション

新築区分マンションには、手軽に始めやすいといったメリットがあるものの、金融機関側からの担保評価が低く、思ったほどの融資を受けることができない可能性があります。また、賃貸経営の実績として評価されないといったデメリットや、物価の下落率が他の投資物件に比べて大きいため、売却益を得ることが難しいといった点に注意が必要です。

中古区分マンション

中古区分マンションは、新築区分マンションと同様に「手軽に始めやすいという」メリットがあるほか、物件数が多く選びやすいという特徴があります。また、立地の良いところが多く、客付けが比較的容易である点もメリットといえるでしょう。

既に入居者がいる状態で、オーナーチェンジで購入するのであれば、客付けする手間が省けるというメリットがあります。空室の状態で購入する際には、客付けの目途が立っている物件を購入するとよいでしょう。また、中古区分マンションの場合は価格が新築よりも低いことから、新築よりも利回りが高くなりやすいというメリットもあります。

ただし、保有している戸数が少ない時は経営が安定しない点や、管理費や修繕積立金などといった経費率が高い点がデメリットとして挙げられます。また、区分所有であることから、金融機関側から見た担保評価は低いと言わざるを得ません。

追加融資を受ける際の条件を考えることがポイント

区分マンションで不動産投資を行う際、最初は1件で様子を見ながら投資物件を増やしていこうと考える人も少なくありません。

ただし、金融機関から融資を受ける際には既存物件のキャッシュフローについて審査の際にチェックされることから、現在所有している物件に対してきちんと収益が出ていない場合は融資を受けられない可能性があります。

結果として、マイナスを上回る年収や金融資産があることが条件となるため、現在所有している投資物件が足かせになってしまうことにもなりかねません。

新たな不動産投資の選択肢不動産小口化投資 

上のような区分マンション投資に対するデメリット回避策として、最近、新たな不動産投資の選択肢である「不動産小口化商品」への注目度が高まっています。

不動産小口化商品の特徴

不動産小口化投資(商品)とは、不動産特定共同事業法に基づいて設計された商品で、一つの不動産を複数の投資家がお金を出し合って所有し、その運営を委託したうえで、得られた利益を投資家の出資分に応じて分配される仕組みです。

少額から不動産に投資できることや、相続および贈与時の財産評価の際には不動産を保有している時と同じ評価減(土地については相続税路線価、建物については固定資産税評価額で評価)を受けることができるものもあることから、相続税対策として有効に利用することが可能です。

このような不動産小口化商品の販売は、国土交通大臣もしくは都道府県知事の認可を受けた事業者が行うことができ、2021年6月30日現在203の事業者が認可を受けています。

物件については、東京などの都市部が中心となっていますが、オフィスビルや商業施設、ビジネスホテル、大型マンションなどを1棟丸ごと小口化して販売している商品もあれば、ワンフロアだけを小口化している商品も存在します。

不動産特定共同事業には、「任意組合型」や「匿名組合型」がありますが、「匿名組合型」の場合は不動産の所有者は事業者となってしまうため、相続対策として保有するのであれば「任意組合型」を選ぶことがポイントとなります。

通常の不動産投資との違い

もちろん、通常の不動産投資を行う場合でも相続税対策としての利用は可能ですが、その際には注意すべき点があります。それは「不動産の共有」です。

例えば複数の子どもに不動産を相続させようと考え、投資物件を子どもたちの共有名義にし、相続後はその賃料収入を分けるということを考えている人もいるでしょう。しかしそうなると、相続後の収益の按分をどうするのか、また管理会社とのやりとりにおいて窓口を誰にするのか、さらには売却しようとしても共有名義人全員の合意がないと行えないなどといった問題が発生します。

その点、不動産小口化投資の場合、1口1,000万円といった任意組合型(出資した投資家で任意組合を結成する方法)の不動産小口化商品を10口(合計1億円)購入し、仮に相続人が2人の場合はその2人の相続人に5口(5,000万円)ずつ相続することが可能です。

この任意組合型の不動産小口化商品は、上で説明した通り、実際に不動産を購入した場合と同じ節税効果が期待できるため、相続税評価額を下げることができます。さらに相続人それぞれが独立した所有権を保有することから、相続後の売却も自由に行うことが可能です。

不動産小口化商品の購入に関しては、金融機関からの融資を受けることができないため、現金購入が原則となるという点や、購入後は物件の管理が不要である反面、管理コストは運用益から差し引かれるため、通常の不動産投資と比べて利回りが低くなりやすい点がデメリットといえます。

とはいえ、現金をこのような不動産小口化商品に換えておくことで、相続対策にもなるほか、相続後の使い道も各相続人が自由に決めることができるといった点で、残された側のことを考えた相続方法として非常に有効であるといえるでしょう。

不動産小口化商品の今後に期待 

不動産小口化商品には、専門家が選んだ安定した収益性が得られると予想される物件に小額から投資できるというメリットがあります。さらに、任意組合型の小口化商品であれば、相続時の評価額引下げや納税資金としての使い道もあることから、今後の不動産投資においてフレキシブルな活用が期待できるといえます。

不動産投資において事業拡大のスピードや利回りの大きさを考えるのであれば、一棟所有を選ぶことをおすすめしますが、初期投資額が多いうえ、新築であれは長期に渡って経費化していくことになる点や、中古の場合は一つ一つの修繕工事費用が高額になるといったデメリットがある点には注意が必要です。

また、そこまでの事業拡大や利回りの大きさを望んでいない場合は区分マンションへの投資を考えることとなりますが、その際には中古区分マンションを選ぶ方が賢明です。

ただし利益を得るには、その属性として、現預金が多くあり、現金で物件を購入できる方であること、さらには相続税対策で現金を不動産に換えて相続税評価額を下げたいと思っている方、もしくは減価償却費の節税効果を狙った投資を行いたい高額所得者の方などに限定されます。

なお、その場合であっても、購入する物件は投資用に作られたワンルームマンションではなく、自宅用としてもニーズのあるファミリーマンションを購入すべきといえるでしょう。その際には、物件の状況や需要と供給の動向など投資的な判断が必要となり、物件の管理も必要となります。

不動産投資においては、どのような運用スタイルで行うかをまず決めることがポイントです。そこがしっかりと決まれば、自分が購入すべき物件の種類や、その物件でどのようなキャッシュフローを得ていくことができるかがおのずと見えてくるでしょう。

また、投資物件にはそれぞれにメリットとデメリットがあります。そして、それらが自分の運用スタイルに合っているかどうかを考えることが、不動産投資の成功を分ける重要なカギといえるでしょう。