新井智美
新井智美
トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員、コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,000本以上。

民間の保険商品の中には、運用を行いながら保障を受けられる、いわゆる「投資型保険」といわれるものがあります。投資型保険とは一体どのような仕組みの保険商品なのでしょうか。それらの種類と特徴、さらには投資型保険を選ぶ際の注意点についても解説します。

投資型保険の種類と特徴 

投資型保険にはどのようなものがある?変更となった外貨建て保険の内容とは
(画像=Cozine/stock.adobe.com)

投資型保険とは、払い込んだ保険料を基に自分の選んだ投資商品(特定勘定)で運用を行い、その運用結果によって将来受け取る満期保険金額や解約返戻金が変動する仕組みの生命保険商品です。具体的には以下のものが存在します。

変額保険

変額保険とは、保険料を自身で選んだ運用商品で運用し、その運用実績によって満期に受け取れる金額や解約返戻金が変動する商品です。

変額保険には保険期間をあらかじめ決めておく「有期型」と、保障が一生涯続く「終身型」があり、保険期間中に死亡した場合は基本となる保険金に運用実績が加算されて支払われます。基本となる保険金額は契約時に保障されており、運用実績がマイナスになったとしても、基本保険金額を受け取ることができます。

有期型の場合は満期時に満期保険金を受け取る仕組みとなっており、その際に受け取る保険金額は運用実績によって決まります。そのため、運用実績がマイナスになっていた場合は、基本保険金額よりも少ない金額を受け取ることになり、運用実績がよければ、基本保険金額よりも多くの満期保険金を受け取ることができます。

変額個人年金保険

投資型年金保険ともいわれるもので、変額保険と同様に保険料を自分で運用することで将来受け取れる年金額が決まる個人年金保険です。

変額保険そして変額個人年金保険に共通していることは、投資信託商品(特定勘定)で運用を行い、その運用実績で最終的に受け取れる年金額や満期保険金額が決まることです。そして運用対象として設定される投資信託商品(特別勘定)は、保険会社によって異なります。

外貨建て保険

外貨建て保険とは、米ドルや豪ドルなどの外貨で保険料を払い込み、その外貨で保険金や解約返戻金を受け取る仕組みの保険商品です。外貨建て保険はその運用実績や為替レートの変動により損益が発生するという特徴から、市場リスクを有する生命保険として保険業法にも「特定保険契約」と規定されています。もちろん、上の変額保険そして変額個人年金保険も特定保険契約に該当します。

外貨建て保険は、終身保険や養老保険、個人年金保険に取り入れられており、保険商品としての仕組みは円建ての商品と変わりはありません。そして、円入金特約や円支払特約を付加することで、保険料を円で払い込むことができるほか、保険金を円で受け取ることもできます。

保険料の払い方の1つに契約から保険料の払込期間満了まで一定額を払い込む「平準払い」がありますが、外貨建てで保険料が決まっている商品の場合、一定なのは円ではなく外貨ですので、円で払い込む場合の保険料額はその時の為替レートによって変動します。

外貨建て保険の最新事情 

2022年4月1日より、外貨建て保険を巡って大きな変更が行われました。そのうちの1つが、外貨建て保険を販売する際に「外貨建保険販売資格者登録」が必要になったことです。あわせて外貨建て保険の責任準備金が義務付けられたことも話題となりました。これらの変更が行われた背景について、詳しく解説します。

新たな販売資格の設立

現在の日本の超低金利状態から、円建ての保険よりも予定利率や積立利率が高めの外貨建て保険が人気を集めていましたが、契約時に為替変動のリスクや為替手数料など、外貨建て保険ならではのリスクや重要事項の説明が十分ではなかったという問題が多数発生しています。

特に銀行など金融機関の窓口で販売されたケースでの苦情が多く、「定期預金をしたつもりだったのに、実際には外貨建て変額個人年金保険に加入していた」という事例もあります。

生命保険協会の発表によると、銀行等代理店で発生した外貨建て保険・年金の新契約に関する苦情件数は、2014年は922件だったものが年を追うごとに増加し、2019年には2,822件にものぼっています。

2017年3月に金融庁から「顧客本位の業務運営に関する原則」が公表され、金融機関各社が改善に取り組んだにもかかわらず、苦情件数の減少がみられなかったことから、金融庁からの問題提起や国民生活センターからの注意喚起のリリースが発表されるなど、さらなる改善を求める声が相次ぐ事態となりました。

このような状況を受け、生命保険協会は「外貨建保険販売資格試験」を創設することになりました。この試験は、外貨建て保険を販売する募集人に共通する「外貨建て保険の販売に必要な業務知識」や「苦情縮減に資するコンプライアンス・リテラシー」の向上を内容とした試験制度となっており、各募集人が外貨建て保険の特性や留意点をふまえたうえで、顧客にむけて丁寧かつ十分な説明ができるようなカリキュラムが組まれています。

ライセンスの開始は2022年4月1日で、今後は外貨建保険販売資格者として登録された募集人でなければ、外貨建て保険を販売することはできません。

このライセンス化の動きにあわせた、契約後のアフターフォローへの取り組みの一層の強化や、「市場リスクを有する生命保険の募集等に関するガイドライン」の改正などといった生命保険会社各社の努力、金融庁の対応によって、2020年の苦情発生率は2019年より減少しています。

それでも、ほかの生命保険商品と比較すると苦情発生率が高く、一層の顧客本位の営業強化が求められているといえるでしょう。

標準責任準備金制度とは?

標準責任準備金制度とは、保険会社の健全性の維持および支払い能力確保の観点から1996年に導入されたもので、将来の保険金の支払いに備え、保険料の一部を標準責任準備金として保険会社が積み立てる制度です。

一定の保険契約によって積み立てるべき責任準備金の計算基礎となる積立方法や、予定死亡率および予定利率の水準を、金融庁が決めることになっています。

実際には、外貨建て保険は生命保険会社各社の販売数や契約の保有数が明確に公表されているわけではありません。各社が業績動向の説明に使用している程度にとどまっており、各社の外貨建て資産の金額や構成比が示されているに過ぎない事から、単なる推計値として販売額が示されているのが現状です。

しかし、その推計額は現在3~4兆円にまで拡大しており、金融庁は契約者保護の観点から、一定の外貨建て保険を「標準責任準備金制度」の対象とすることを決定しました。

この標準責任準備金は、これまでは終身保険や養老保険、定期保険などが対象となっており、外貨建て保険は対象外でしたが、2022年4月1日以降に契約する米ドルおよび豪ドル建の保険契約については、標準責任準備金制度の対象となります。

投資型保険を選ぶ際の注意点 

投資型保険は、加入期間中の運用実績次第では大きく資産を増やせる保険商品です。しかも保険期間中の基本の保険金額は決まっているため、万が一の備えとしての役割も果たします。ただし、運用実績が悪ければ、満期時の保険金や解約返戻金が支払った保険料を下回るリスクがある点には注意が必要です。

投資型保険を選ぶならば、その商品に用意されている投資信託商品(特別勘定)の実績などを確認し、比較的良好な実績を残しているものを選ぶとよいでしょう。

投資は全て自己責任と捉えることが大切 

外貨建て保険においては、これまで多くの問題が発生してきた経緯から、この度の変更が行われましたが、標準責任準備金制度の対象となるのは、あくまでも2022年4月1日以降の契約に対してであり、既存の契約は対象外である点はしっかりと覚えておきましょう。

さらに変額保険は自分で運用商品を選ぶ必要があるという特徴からも、その運用実績の自己責任にかかる度合いが外貨建て保険よりも高くなります。運用商品を選んで運用していく仕組みはiDeCoなどの確定拠出年金と似たところがありますが、変額保険の場合は選べる運用商品が限られていることからも、しっかりとした運用知識を持ったうえで加入することが大切です。