新井智美
新井智美
トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員、コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,000本以上。

住宅購入は人生の中で大きな買い物の1つです。購入時には、住宅ローンをどのように組むか、または頭金をどのくらい用意すべきかなどいろいろと悩むものですが、住宅購入時に利用できる補助制度を知っておき、それを有効に利用することも大切です。

本記事では、住宅を購入する際に利用できる補助制度の種類やその内容について紹介するとともに、親から資金援助を受ける際の注意点についても解説します。なお、事業の内容については2022年最新の情報を掲載しています。

住宅を購入する際に利用できる補助制度 

住宅を購入する際に利用できる補助金とは?親からの資金援助を受ける際の注意点もおさらい
(画像=tamayura39/stock.adobe.com)

住宅を購入するにあたっては、さまざまな補助制度が用意されています。代表的なものとして「こどもみらい住宅支援事業」や「住宅ローン減税」、「ZEH補助金」などがありますので、これらの制度の内容をしっかりと理解しておきましょう。

こどもみらい住宅支援事業

こどもみらい住宅支援事業とは、「子育て支援」そして経済産業省が推進している「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする)」の実現に向け、子育て世帯、もしくは若い夫婦の世帯が高い省エネ性能を持つ住宅を購入する際や、既存の住宅を省エネ性能住宅へリフォームする際の負担を軽減するために設けられている事業です。

この事業の特徴は、購入者およびリフォームを行う人の経済的負担を図ることと、省エネ性能をもつ住宅ストックの形成を図ることを目的としている点にあります。補助事業の内容は「新築注文住宅の購入」「新築分譲住宅の購入」そして「リフォーム」で異なります。

新築注文住宅の購入

対象者は以下の全てを満たす人です。

・子育て世帯もしくは若い世代の夫婦のいずれか
ここでいう子育て世帯とは、申請時点で2003年4月2日以降に出生した子どもを持つ世帯で、若い世代の夫婦とは申請時点で夫婦であること、そして夫婦のいずれかが1982年4月2日以降に生まれていることが条件です。

・こどもみらい住宅事業者と工事請負契約を交わして住宅を新築する人
つまり、工事請負契約を締結する相手先があらかじめ「こどもみらい住宅支援事業」に登録した事業者でなければならない点に注意が必要です。

また、対象となる新築住宅は以下の要件を満たす必要があります。

・住宅の所有者が居住すること
・土砂災害防止法に基づく「土砂災害特別警戒区域外」に建てられること
・未完成もしくは完成から1年以内であって、それまでに誰も住んでいないこと
・床面積が50㎡以上あること
・証明書によって、「ZEH住宅」「高い省エネ性能を有する」「一定の省エネ性能を有する」のいずれかに該当することが確認できること
・申請時点で一定以上の工事完了が確認できること

対象となる期間は以下のとおりです。

・工事請負契約の期間:2021年11月26日~建築を着工するまで(ただし、「一定の省エネ性能を有する」住宅については、その新築工事請負契約を2022年6月30日までに締結したものに限る)
・建築着工の期間:こどもみらい住宅事業者の事業者登録を行った以降
・基礎工事の完了:建築に着工してから交付申請まで(最終期限:2023年3月31日)

補助額については、その住宅の種類によって異なります。

ZEH住宅100万円
高い省エネ性能を有する住宅80万円
一定の省エネ性能を有する住宅60万円

手続きの期間についても予約や申請、完了報告ごとに決められていますので、間違えないように気をつけましょう。

・交付申請の予約:2022年3月28日~2023年2月28日
・交付申請:2022年3月28日~2023年3月31日
・完了報告:交付決定以降以下のとおり

戸建て住宅2023年10月31日
共同住宅(その建物の階数が10階以下)2024年7月15日
共同住宅(その建物の階数が11階以上)2025年5月31日

新築分譲住宅の購入

新築分譲住宅を購入する際の対象者については、上の「新築注文住宅の購入」と同じです。ただし、契約が注文住宅の場合は工事請負契約であるのに対し、分譲住宅は不動産売買契約となる点が異なります。また、ここでいうこどもみらい住宅事業者は宅地建物取引業の免許を持っている事業者でなければなりません。

対象となる新築分譲住宅の要件も「新築注文住宅」とほぼ同じです。異なる点は、不動産売買契約締結時点において未完成もしくは完成1年以内で、誰も住んでいないことです。

対象となる期間は以下のとおりです。

・建築着工:こどもみらい住宅事業者の事業者登録以降
・不動産売買契約:2021年11月26日~交付申請(2023年3月31日が限度。また、「一定の省エネ性能を有する住宅」の場合は不動産売買契約の締結が2022年6月30日までであることが要件。)
・基礎工事の完了:建築の着工~交付申請(2023年3月31が限度)

補助額や手続き期間については「新築注文住宅」と同じです。

リフォーム

リフォームの場合は、新築注文住宅や新築分譲住宅の要件と異なります。まず、対象者は以下を満たす人です。

・こどもみらい住宅事業者と工事請負契約などを締結し、リフォーム工事を行う人
・リフォームを行う住宅の所有者

そして、対象となるリフォーム工事は以下になります。まず、①~③は必須です。

①開口部の断熱改修
②外壁、屋根、天井もしくは床の断熱改修
③エコ住宅設備の設置

以下の④~⑧については、上の①~③の工事と同時に行う場合にのみ補助の対象となります。

④子育て対応の改修
⑤耐震改修
⑥バリアフリー改修
⑦空気清浄機能や換気機能付きエアコンの設置
⑧リフォーム瑕疵保険などへの加入

これら①~⑧の補助額が合計5万円以上で補助の対象になります。

対象となる期間は以下のとおりです。

・工事請負契約:2021年11月26日から着工まで
・着工:こどもみらい住宅事業者登録以降

補助額については、原則として1戸あたり30万円が上限となりますが、子育て世帯や若い世代の夫婦が行うリフォーム工事の場合、既存住宅の購入に該当するかどうかで上限が引き上げられます。詳細は以下のとおりです。

子育て世帯もしくは若い世帯夫婦既存住宅の購入上限額
該当該当60万円
該当なし45万円
該当なし該当45万円
該当なし30万円

ここでいう「既存住宅の購入」に該当するためには、以下の全てを満たす必要があります。

・不動産売買契約締結時に完成から1年以上経過していること
・不動産売買契約の締結が2021年11月26日以降であること
・売買代金が税込み100万円以上であること
・リフォーム工事の工事請負契約の締結が、不動産売買契約を締結してから3ヵ月以内であること
・リフォーム工事を発注する人が子育て世帯、もしくは若い世帯の夫婦に該当しない場合、購入する住宅が安心R住宅であること

住宅ローン減税

住宅ローン減税は以前からある税額控除制度ですが、2022年の税制改正により内容が大きく変わっています。まず、適用期限が4年間延長され、2025年12月31日までとなりました。

控除率については、従来の1%から0.7%に減っています。そして、認定住宅であるかの有無や居住年によって借入限度額や控除期間が異なる点にも注意が必要です。

【認定住宅などの場合】

居住年借入限度額控除期間
認定住宅2022年・2023年5,000万円13年
2024年・2025年4,500万円
ZEH水準省エネ住宅2022年・2023年4,500万円
2024年・2025年3,500万円
省エネ基準適合住宅2022年・2023年4,000万円
2024年・2025年3,000万円

【認定住宅以外の場合】

居住年借入限度額控除期間
2022年・2023年3,000万円13年
2024年・2025年2,000万円10年

さらに、所得要件が従来の「前年の合計所得金額3,000万円以下」から「前年の合計所得金額2,000万円以下」に引き下げられた点も覚えておきましょう。

ZEH補助金

ZEHとは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、高効率な設備システムを導入することで家屋内の環境の質を維持し、かつ大幅な省エネルギーを実現したうえで、再生可能エネルギーを導入することで年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅のことを指します。

ZEHはその性能や集合住宅の階層により、「ZEH」「ZEH+」「低層ZEH」「中層ZEH」「高層ZEH」に分類されており、「ZEH」住宅に認定されれば、55万円、「ZEH+」住宅に認定されれば100万円の補助を受けることができます。ただし、補助は公募によって行われるため、必ずしも補助が受けられるわけではありません。

LCCM住宅整備推進事業

上のZEH補助金に該当する住宅を建築、運用、そして破棄時に渡り、二酸化炭素の排出量に配慮した住宅をLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅とし、住宅の設計費や建設工事における工事費用の合計額の2分の1(上限額140万円/戸)が補助されます。補助を受ける要件は以下のとおりです。

・ZEHの要件を満たすこと
・再生可能エネルギーを除き、一次エネルギー消費量が現行の省エネ基準値から25%削減されていること
・ライフサイクル全体の二酸化炭素の排出量を算定し、その結果がゼロ以下になること

地域型住宅グリーン化事業

地域の中小工務店などが連係して取り組む良質な木造得住宅などの整備支援のための事業です。支援の対象となる木造住宅の種類および上限額は以下のとおりです。

認定長期優良住宅(長寿命型)140万円/戸
ZEH、Nearly ZEH(ゼロ・エネルギー住宅型)140万円/戸
ZEH Oriented(ゼロ・エネルギー住宅型)90万円/戸
認定低炭素住宅(高度省エネ型)90万円/戸

ただし、対象となるのは新築住宅のみで、2022年度よりリフォームは対象外となりました。

そのほかにもある補助制度

住宅購入の際には登記のための費用(登録免許税)が必要になりますが、2023年3月31日までの登記分まで軽減措置が適用されます。具体的には、新築住宅の保存登記が0.4%から0.15%に減額されるほか、住宅ローンを利用した際の抵当権設定登記費用についても0.4%から0.1%に引き下げられます。

また、不動産売買契約や工事請負契約の際に必要な印紙税についても、2024年3月31までに作成されるものについて軽減措置が設けられています。

住んでいる自治体の補助制度もチェックしておこう

住宅購入にあたっての補助制度は、自治体独自で行っているものもあります。ちなみに東京都では「東京ゼロエミ住宅認証制度」を取り入れ、該当する住宅を新築した人に対する助成制度を設けています。2022年の事業内容については以下のとおりです。

東京ゼロエミ住宅の基準

2022年の改正により、これまでよりも基準が多様化しています。

水準1分かりやすい仕様規定(木造住宅に限る)
水準2(新設)ZEH相当の断熱性能および国が定める基準よりも35%の削減を可能とする高い省エネ性能基準
水準3(新設)北海道相当の断熱性能および国が定める基準よりも40%の削減を可能とする高い省エネ性能基準

助成内容

助成対象者は新築住宅の建築主で、対象となる住宅は都内の新築住宅です。ただし、床面積の合計が2,000㎡未満でなければなりません。そして、上の水準に適合しているという認証を受けた新築住宅である必要があります。助成金額については、以下のとおりです。

水準1水準2水準3
戸建住宅30万円/戸50万円/戸210万円/戸
集合住宅など20万円/戸40万円/戸170万円/戸

さらに、太陽光発電システムを設置する場合は、上限36万円の追加補助が受けられます。

不動産取得税の減免措置

2022年4月1日から2025年3月31日までの間に、「東京ゼロエミ住宅の認証に関する要綱」に基づいた設計確認申請を行った新築の東京ゼロエミ住宅のうち、「太陽光発電システムの設置」もしくは
「水準2および3の基準を満たしている」住宅を取得した場合、その不動産取得税が5割減免され、どちらにも当てはまる場合は全額が減免の対象となります。

住宅を購入する際の親からの資金援助の方法 

住宅を購入する際に、親や祖父母から資金援助を受けて購入するケースもあります。通常であれば年間110万円以上の金額を受け取る際には贈与税が発生しますが、以下の制度を利用することで非課税の適用を受けることができます。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母や祖父母などの直系尊属から、18歳以上の子や孫に対して財産が贈与された際に選択できる制度です。この制度を選択することで、その選択をした年以降の贈与財産は相続時に精算され、相続税の対象となります。

住宅取得等資金贈与の非課税

住宅取得等資金贈与の非課税制度は2022年の税制改正により、以下の内容に変わっています。

受贈者の要件
・受贈時に贈与者の子どももしくは孫(直系卑属)であること
・受贈時の年齢が18歳以上であること(受贈日が2022年3月31日以前の場合は20歳以上)
・受贈年の合計所得金額が2,000万円以下であること

非課税枠
・省エネなど住宅の場合:1,000万円
・それ以外の住宅の場合:500万円

また、この度の改正により、中古住宅を取得する際の築年数の要件が廃止され、「1982年1月以降の新耐震基準に適合している住宅」であればよいことになりました。

制度を利用する際の注意点

国が用意している補助制度は基本的には併用できません。例えば「こどもみらい住宅支援事業」と「ZEH補助金」の併用は不可となっています。ただし、財源が国費から充当されていないもの(住まい給付金)などは併用可能です。補助制度を複数検討している場合は、それらが併用可能かどうかも確認しておきましょう。

相続時精算課税制度を利用するためには贈与を受けた年の翌年の定められた期間に申告書を提出しなければならず、選択した年以降は暦年贈与の非課税(年間110万円)を受けることができない点に注意が必要です。

住宅取得等資金贈与の非課税制度は本来であれば2021年3月31までの制度でしたが、2022年の税制改正により2年延長され、期限が2023年の12月31日までとなりました。しかし、非課税枠が従来よりも減少され、非課税の対象となる物件の条件なども変更されていますので、利用の際には事前に必ず確認することを忘れないようにしてください。

補助制度の内容や改正の有無を常にチェックしておくことが大切 

自治体の補助制度は、東京都以外にもさまざまなものがあります。親との同居のために家を購入する際の補助を設けているところもありますし、大阪市では初めて住宅を取得する新婚および子育て世帯を対象とした住宅ローンの利子の一部補助(最長5年、年間最大10万円)などを行っています。

住宅を購入するにあたっては、国や自治体によってさまざまな補助制度が用意されています。これらの補助制度は新しくできたものや従来からあるものなど多岐に渡りますが、利用するための要件が改正されているものや毎年変わるものもあります。いざ利用しようと思った際に要件に当てはまらなかったということにならないよう、常に最新の情報をチェックしておきましょう。

住宅購入の補助金に関するよくある質問

Q. 住宅を購入するにあたりどのような補助制度があるか?

住宅を購入するにあたっては、さまざまな補助制度が用意されていますが、代表的なものとして「こどもみらい住宅支援事業」や「住宅ローン減税」、「ZEH補助金」などがあります。

Q. 親からの資金援助を受ける際に活用できる制度は?

相続時精算課税制度や住宅取得等資金贈与の非課税制度などがあります。