不動産投資を本格的に行おうと思った場合、不動産投資ローンの活用も1つの選択肢になります。不動産投資家はどのような理由でローンを活用しているのでしょうか。

本記事では、不動産投資でローンを使うか使わないかの判断基準になる、不動産投資ローンの5つのメリットについて解説します。

不動産投資ローンとは何か

不動産投資ローンの活用方法 使うか使わないかの判断基準となる5つのメリット
(画像=WilliamW.Potter/stock.adobe.com)

不動産投資ローンとは、投資用に不動産を購入する際に利用するローンです。住宅ローンは自分が住む住宅を購入するために利用しますが、不動産投資ローンは人に貸して家賃収入を得るために組むローンです。そのため、リスクがある分不動産投資ローンのほうが金利は高くなります。

不動産投資ローンの審査で重視される項目は、サラリーマンの場合、勤務先、職種、勤続年数、年収、自己資金、金融資産などです。不動産投資ローンと住宅ローンの違いは下表のとおりです。

不動産投資ローン住宅ローン
対象物件投資用物件自分が住むための居住用物件
返済原資主に家賃収入主に給与収入
ローン審査基準個人の属性と物件の担保価値個人の属性
融資額の基準年収の6~10倍程度など完済時の年齢、返済負担率など
貸付金利1.5~4.0%程度0.5~2.0%程度
※金利はおよその目安であり、金融機関によってはこの基準を超える場合もあります

住宅ローンを使って投資用物件を購入した場合は違法となり、発覚すると一括返済を求められるので本来の目的以外に使うことは厳禁です。

不動産投資ローンはいくらまで借りられるのか

不動産投資ローン(アパートローン含む)は、いくらくらいまで借りられるのでしょうか。融資可能な金額を判断するために、基準になるのが年収です。一般的には、年収の6~10倍程度まで借入が可能といわれています。

何倍まで借りられるかは金融機関によって異なりますが、年収が高く個人の属性が良ければ10倍以上借りられる可能性もあります。ただし、無理な融資は控えたほうがよいので慎重に6~10倍程度で考えたほうが無難かもしれません。

年収金額ベースでは、700万円以上が目安といわれています。Webサイト「TOKYOリスタイル」の調べによると、年収500万円では30%以上の金融機関が融資可能なのに対し、年収700万円以上では過半数の50%以上の金融機関が融資可能となっています。

他の不動産サイトも概ね年収700万円以上という見解が目立つので、700万円以上が年収の目安と考えてよいでしょう。もちろん500万円でも融資する金融機関はあるので、決して年収が低くても諦める必要はありません。ただし、高額なタワーマンションでは年収1,000万円以上が必要というコンセンサスがあります。

不動産投資ローンの5つのメリット

不動産投資はローンを組むことによって自己資金を何倍にも活かせるなど、多くのメリットがあります。不動産投資でローンを組むメリットとして、以下の5つが挙げられます。

1. ローンを組むことで手元に資金を残せる

不動産経営は予期せぬ出来事で予定外の出費が必要になることがあります。空室が発生することもあるでしょう。空室が出ると区分所有投資の場合は一時的に収入が途絶えますが、手元に余裕資金があれば当面の運営に支障が出ることはありません。

全額自己資金で購入して空室が出た場合はどうなるでしょうか。ローンの返済はありませんが、修繕費など急な出費や固定資産税をはじめ諸経費の支払いにサラリーマン大家なら給与を充てるケースも考えられます。

そのため、事業資金と生活費はきちんと分ける必要があります。自己資金の一部を手元に残すことでメリハリをつけた経営を行うことができるのです。

2. ローンを組むことで金融機関とのつながりができる

不動産投資を継続的に行う上で、金融機関との付き合いは大事です。自分が住むための住宅であれば1戸買えば事足りますが、不動産投資は軌道に乗れば2戸目、3戸目と物件数を増やす可能性があります。そのためには金融機関から融資を受けた実績を作っておいたほうがよいといえます。

初めての物件を全額自己資金で購入すると、金融機関とのつながりがないままに不動産事業を始めることになります。無理のない範囲でローンを組み、毎月安定して返済を続けることで、金融機関からの信頼を高めることができます。2戸目のローン審査も有利になることが期待できるでしょう。

3. ローンを利用したレバレッジ投資で資金効率が良くなる

ローンを利用してレバレッジ投資を行うことで資金効率を高めることができます。レバレッジとは、他人の資本(銀行借り入れ等)を使うことによって自己資本の利益率を高めることです。レバレッジはレバー(てこ)から派生した言葉で、「てこの原理」という意味があります。てこの原理を用いて大きな物を動かすように、不動産投資では少ない資金で大きな物件を運用することを指します。

例えば、自己資金2,000万円で2,000万円の物件を購入した場合と、自己資金2,000万円で4,000万円の借り入れを行い6,000万円の物件を購入した場合の収益を比較すると次のようになります。

【A】自己資金2,000万円で2,000万円、利回り8%の物件を購入した場合
2,000万円×8%=年間収益160万円(自己資金利回り8%)

【B】自己資金2,000万円で4,000万円を借り入れて(金利2.0%、元利均等払い、返済期間30年)、6,000万円、利回り8%の物件を購入した場合
6,000万円×8%=年間収益480万円
年間収益480万円-年間支払利息約79万円(初年度の場合)=実質収益401万円(自己資金利回り20.05%)

A・Bともに年間収益の利回りは同じ8%ですが、全額自己資金で購入するよりも、ローンを組むことによって実質収益を自己資金で割った「自己資金利回り」が2.5倍に上昇しました。このケースでは「2.5倍のレバレッジを効かせた」ことになります。

4. ローンを利用して事業規模へ拡大できる

不動産投資家のなかには、将来事業的規模を目指す人もいるでしょう。「5棟10室」基準の事業的規模を目指すのであればローンの活用は欠かせません。仮に1戸目の物件を全額自己資金で購入し、その家賃収入で2戸目の購入を目指すとします。

家賃収入が毎月10万円あったとしても年間では120万円しか貯めることができません。2戸目に購入する物件が3,000万円とすると、資金が貯まるまでに約20年を要することになります。これでは事業的規模を目指すのは難しいでしょう。

自己資金を全額投入してしまうと、良い物件が見つかったときにいざローンを組もうと思っても、頭金もない状態になります。1戸目を購入するときにローンを組むことによって、自己資金を次の物件購入に向けて温存することができます。ある程度の資金を手元に置いておけば、優良物件に出会ったときに頭金に使うことができるので、機動的な運営が可能になります。

5. 団体信用生命保険に加入できる

不動産投資ローンを組むメリットの1つに団体信用生命保険(団信)に加入できることがあります。団信に加入すると、万一契約者が返済途中で死亡した場合、その時点で残債の返済が免除されます。家族にローン完済済みの不動産を残せるので、安心して不動産投資に取り組むことができます。

また、特約を付けない「一般団信」の保険料は金融機関が負担するため無料です。そのため、すでに加入している生命保険を解約することで、家計の保険料負担を減らすこともできます。

不動産投資ローンにはデメリットもある

不動産投資ローンのデメリットは、住宅ローンと比べて金利が高いことです。住宅ローンは給与収入から返済を行うので、金融機関からすると貸し倒れのリスクは比較的少ないといえます。

それに対し、不動産投資ローンは家賃収入で返済するため、住宅ローンよりリスクが高い分金利も高く設定されてしまいがちです。サラリーマン大家の場合は空室が出ても給与収入で支払うことが可能ですが、専業の個人事業主の場合は家賃収入が主体となるため、特にリスクが高いと考えられる傾向があります。

金融機関にもよりますが、住宅ローンの金利は0.5~2.0%程度であるのに対し、不動産投資ローンは1.5~4.0%程度と倍近くの開きがあります。

不動産会社でもローンの相談はできる

不動産会社ではローンについて相談することもできます。金融機関に行く前に先に不動産会社に相談することで、「頭金をもう少し多く入れると審査が通りやくなる」「返済期間をもう少し長くすることで無理のない月返済額になる」などと審査に有利になるアドバイスを受けることも可能です。

また、金融機関では融資の交渉はできますが、物件を選ぶことはできません。不動産会社であれば、アドバイスを受けながら希望条件に合った物件を同時に探すことができます。返済計画に無理のない物件を選ぶことで、金融機関の審査に通る可能性も高くなるでしょう。

もちろん、資金に余裕があれば全額自己資金で購入しても問題ありませんが、不動産投資ローンを活用して、より資金効率を高めるのも不動産投資成功への有効な方法といえます。

丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。企業系サイトを中心に執筆し、得意執筆領域は金融・経済・不動産。市場分析や経済情勢に合わせたトレンド記事を、毎年200本以上執筆している。主な掲載媒体は「YANUSY」「THE Roots」「Renergy Online」「Dear Reicious Online」「JPRIME」「タツマガ」など多数。