共働きの夫婦が増えてきたこともあり、住宅購入の際のローン契約にあたり、お互いの収入を合算してローンを組むケースが多く見られます。

収入を合算して住宅ローンを組む方法には、「収入合算」と「ペアローン」の2種類があり、それぞれにメリット、デメリットが存在します。利用の際には両方の特徴をしっかりと理解し、自分たちに合った方法を選択することが大切です。

収入合算とは? 

収入合算とペアローンの違いは?収入合算における連帯債務と連帯保証の違いも再確認
(画像=HBS/stock.adobe.com)

収入合算とは、配偶者などの収入を合算することで借入可能額を増やす方法です。合算できる金額は金融期間によって決っており、本人もしくは合算者の収入の2分の1などと決められていますので、借り入れる金融機関で事前に確認しておきましょう。

収入合算のメリット・デメリット

収入合算を利用するメリットは、なんといっても1つの契約で借入可能額を増やせることでしょう。購入したいと思っている物件の額にあと少しで到達するといった時などに、収入合算を利用するという考え方もあります。収入合算の契約は1本ですので、住宅ローンを契約する際の諸費用が1本分で済むという費用削減効果があることはメリットといえるでしょう。

デメリットとしては、収入合算の契約者しか団体信用生命保険に加入できない点が挙げられます。そのため、収入合算者に万が一のことがあったとしても、住宅ローンの返済は免除されません。

これはペアローンにもいえることですが、合算者側の収入減が発生した際には、返済が負担になることが予想される点には注意しておきましょう。例えば、契約の段階では産休や育休後に復帰する考えだったとしても、そのときの状況や体調によっては、予定通り復帰できない可能性もあります。

収入合算には、連帯債務型と連帯保証型がある 

収入合算には、連帯債務型と連帯保証型があります。この2つの違いについても、しっかりと理解しておきましょう。

連帯債務型の特徴

連帯債務型は、一つのローンに対して、契約者そして合算者両方が借入金額に対する債務を負う仕組みです。したがって、契約者そして合算者の両方が返済の義務を追うことになり、両方が住宅ローン控除の適用を受けられます

なお、連帯債務型の取り扱いは非常に少なく、民間の金融機関ではほぼ取り扱いはありません。現在取り扱っているのはフラット35で、団体信用生命保険も夫婦で加入できる「デュエット」という商品が用意されています。

連帯保証型の特徴

連帯保証型は、契約者が債務者となり、合算者は連帯保証人となる点が連帯債務型と異なる点です。合算者は契約者が返済不能の状態に陥った際に、契約者に変わって返済を行う義務を追います。

また、団体信用生命保険については、契約者のみしか加入できず、住宅ローン控除の適用も合算者側にはありません。

ペアローンとは? 

ペアローンとは、夫婦それぞれが契約者となり、住宅ローンを組む方法です。ペアローンでは、お互いが自分の契約内容に責任を持つと同時に、相手側の借入金額に対しても連帯保証人となります。

ペアローンのメリット・デメリット

ペアローンを利用するメリットは、借入金額を増やせることや、夫婦双方が住宅ローン控除を利用できるため、1人で契約するよりも控除額を増やせる可能性があることです。

また、団体信用生命保険にも両方が加入できるため、相手側に万が一の事があったとしても、相手側のローン返済残高は保障されますし、自分に万が一のことが起こった場合でも、自分の返済残高は保障されます。

ただし、ペアローンはお互いが契約者となって、それぞれが住宅ローンを組むため、住宅ローンの契約本数は2本となり、当然住宅ローン契約に関する手数料などの諸費用も2倍となってしまいます。初期費用が高額になる点は気をつけておきたいポイントです。

収入合算やペアローンを利用する際の注意点 

収入合算やペアローンを利用する際に最も注意したいのは、出資割合です。出資割合に応じた持分で登記を行う必要がありますし、返済に関しても収入合算であれば、毎月の返済額のうち、お互いの持分割合に応じた額を返済する必要があります。

また、収入合算やペアローンを利用するにあたり、きちんとお互いが返済を続けていけるかどうかをしっかりと考えて契約することが大切です。今後産休や育休の予定があるなら、妻の出資割合を少なくしておくなど、将来の返済に負担がかからないような返済計画を立てておくようにしましょう。

贈与税が発生する可能性がある

上でも少し述べましたが、収入合算そしてペアローンどちらも、お互いの出資割合に応じた返済を行います。ペアローンの場合は、お互いの契約に基づいてそれぞれが返済を行うため、あまり問題は生じにくいですが、収入合算は返済が1本にまとめられることから、返済額の内訳をお互いの持分に合わせておく必要があります。

もし、持分を超えた額を返済に充てており、その額が年間に110万円を超えていた場合は、夫婦間でも贈与税が発生します。どちらかが収入が少なくなった際にどちらかが負担をカバーするような形を取っているケースや、どちらかの収入がなくなり、どちらかが肩代わりしているようなケースは注意が必要です。

離婚後の手続きが煩雑になる

住宅を購入する時に将来の離婚を想定してローンを組む人はいないと思います。しかし、収入合算やペアローンを利用し返済している途中で離婚することになった場合、どちらかがその家に住むのか、それとも売却するのかの選択肢を迫られることになります。

いずれにしても、住宅ローン契約をそのままにしておくということは、お互いがお互いの連帯保証人もしくは連帯債務者であることになりますので、それを解消するために家を売却して住宅ローンを完済するか、その家に住み続ける側が新たにローンを組み直すかを考えなければなりません。

家を売却して住宅ローンを完済することを考えたとしても、思ったほどの額にはならず、住宅ローンの残債が残ってしまうこともあり得ます。その場合は、残った残債を別の方法で一括返済しなければなりません。また、どちらかが住み続けることを選択し、ローンを組み直すことを考えた際、一人だけの収入で残りの残債分を借り入れられるかという問題も発生します。

収入合算やペアローンで住宅を購入し、その後離婚という話になった場合には、手続きが非常に煩雑になることを覚えておきましょう。

将来のライフイベントを考慮しながら賢く借りることが大切 

収入合算とペアローンには、契約の数や住宅ローン控除の有無、団体信用生命保険への加入の可否などで違いがあります。そして共通の問題として、どちらかの収入が減った場合に無理なく返済していけるかどうかということがあります。

収入合算やペアローンの利用を考える際には、今後のライフイベントを考慮しながら、もし、どちらかの収入が減ったとしてもきちんと返していける額に抑えておくことが大切です。そのためには事前にしっかりとシミュレーションを行い、無理のない返済計画を立てておくようにしましょう。

新井智美
新井智美
トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員、コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,000本以上。