どのような投資にもリスクはあります。不動産投資に関しても「こういう理由があるからやめとけ」という意見がネット上などで指摘されているのは事実です。しかし、不動産投資には多くのメリットがあり、リスクに対しても対処する方法があります。

本記事では「不動産投資はやめとけ」という人が誤解している部分を考察し、併せて対処する方法を徹底解説します。

どのような投資にもリスクはある

「不動産投資はやめとけ」という人が誤解していることと、対処方法を徹底解説
(画像=doucefleur/stock.adobe.com)

不動産投資に限らず、どのような投資にもリスクは付きものです。はじめに不動産以外の投資にどのようなリスクがあるのかを確認しておきましょう。

株式投資

株式投資には値下がりリスクのほかに倒産リスクもあります。倒産しないまでもM&A(企業の買収・合併)により、別の企業グループの子会社になるなどして上場廃止になるケースはよく起こります。上場廃止になると市場では売買できなくなるので、資産価値が下がります。

暗号資産(仮想通貨)

暗号資産は値動きが激しい投資商品です。株式のような投資指標がないため、割安割高の判断が難しく、一方的な値動きになりがちです。また、ビットコインやイーサリアムなどメジャーな通貨以外は実態がよくわからないのも不安な点です。

FX(外国為替証拠金取引)

FXはドル/円に代表されるような2つの通貨ペアの値動きに投資する商品です。2022年に起きた円安局面のように流れがはっきりしている場合は利益を出しやすいですが、ドルの天井圏で買って流れが円高に反転した場合は大きな損失を被るリスクがあります。

商品取引

金(ゴールド)や原油、穀物など商品に投資することをコモディティ投資と呼んでいます。先物取引が
中心になるため、市況によって価格の変動が激しく、初心者には難しい投資といえます。コモディティ投資の場合は、証券投資のような配当金や分配金はないので、持っているだけではメリットがありません。

美術品投資

絵画、焼き物、アンティーク商品などの美術品も富裕層を中心に投資が行われています。とくに絵画はオークションで値段が跳ね上がり、億単位の落札価格になることも珍しくありません。ただし、美術品や骨董品はテレビ番組「開運!なんでも鑑定団」で贋作と鑑定されることがあるのを見てもわかる通り、素人が真贋の判断をすることは難しいのが難点です。本物と思って数十万円で買った焼き物が贋作であれば数千円の価値しかなく、投資金額をほぼ失うことになります。

これらの投資に比べて不動産投資は値上がり益よりも家賃収入を得ることがメインになるので、リスクはかなり低いといえます。

「不動産投資はやめとけ」といわれる理由とは?

ほかの投資よりリスクが低いにも関わらず、「不動産投資はやめとけ」という意見があります。なぜそのように思う人がいるのでしょうか。代表的な意見と、リスク回避の対処方法を紹介しましょう。

不動産投資はローン返済リスクが高い

不動産投資は一般的に全額自己資金で購入する人は少数派で、多くの場合不動産投資ローンを利用します。不動産は家電や自動車などと比べて高額であるため、ローンの返済リスクが高いというイメージがあるのかもしれません。

しかし、不動産投資は家賃収入で毎月のローンを返済する仕組みのため、生活費から支払うわけではありません。満室である限り返済は順調に行われます。問題は空室になった期間の返済です。サラリーマン大家であれば給与収入の一部から補填することになります。そのため、空室が出た場合の返済能力が問題になるのです。

【対処方法】
返済能力については金融機関の融資審査がセーフティネットになります。金融のプロが確実に返済できると判断した金額のみ融資するので、高額な物件を買ったからといってその人にとってリスクが高いわけではありません。返済負担率(年間収入の35%が限度)を考えて購入すればリスクは低くなります。

ただし、ノンバンクは審査が緩い傾向があるので、セーフティネットにならない可能性があります。慎重を期すなら普通銀行に融資を依頼して審査を受けたほうが無難です。

不動産投資は値下がりリスクが高い

1980年代後半から1990年初頭にかけて起きたバブル崩壊のイメージが強いためか、不動産投資は値下がりリスクが高いと思っている人は今もいるようです。確かに下のグラフでも2008年のリーマンショック時に値下がりしていますが、比較的短期間で相場が立ち直りリーマンショック前の水準に回復しています。

不動産投資は毎月の家賃収入がメインなので、経営中に価格が値下がりしても一時的な評価損でしかありません。売却はローン完済後の出口戦略として行う場合が多いので、短期的な値下がりリスクに囚われる必要はないのです。

【対処方法】

投資対象をマンションに絞ることでリスクを低くできます。最近10年の不動産価格指数を見ると、土地や一戸建ての価格は横ばいで冴えない値動きですが、マンションは右肩上がりで上昇が続いています。

常に需要が多いマンションは、値下がりリスクはそれほど高くありません。事実、コロナ禍でもマンション価格や家賃相場の下落はありませんでした。

不動産投資は空室リスクがある

不動産投資で最も不安が大きいのが空室リスクです。とくに区分所有マンションを1室だけ所有している場合は、空室が出ると家賃収入がゼロになります。収入が途絶えるリスクがあるので、やめとけという意見が出るのかもしれません。

しかし、実際には区分所有マンション1室の収入だけで生活している人は稀で、多くは副業として経営していると思われます。本業の給与収入等があるので、空室が出ても即座に収入が途絶えるわけではないのです。

【対処方法】
空室リスクを低くするには好立地物件を購入することが大事です。好立地の条件としては、「駅から徒歩10分以内」「スーパーやコンビニが近い」「周辺に学校、幼稚園、病院などの公共施設がある」などが挙げられます。好立地にあれば、賃貸需要が常にあるので空室が出ても短期間で次の入居者が見つかる可能性が高いといえます。

また、資金に余裕があるなら一棟マンションを購入することでも空室リスクを低くすることができます。一棟マンションは1室空室が出てもほかの部屋は稼働しているのでまったく家賃収入がなくなる心配はありません。

不動産投資は金利上昇リスクがある

不動産投資は多くの場合ローンを組んで物件を購入するので、変動金利を選択した場合は金利上昇リスクがあります。とくに2022年は米国で複数回に渡る利上げが実施され、日米の金利差拡大から急激な円安となりました。

今後日銀がどのような金融政策を行うのかは不透明なので、金利上昇リスクに備えておくことは大事です。以下のような対処方法があるので、状況に合わせて検討するとよいでしょう。

【対処方法】
金利上昇リスクを低減するには、金利の低い金融機関で借りる、契約する際に固定金利で契約する、頭金を多めに入れて借入額を少なくする、余裕ができたときに繰り上げ返済するなど、とれる対策はいくつもあります。

不動産投資は入居者とのトラブルがあり対応が大変

不動産投資は入居者から苦情を受けるなど、トラブルに発展する場合があるので対応が大変という声もあります。確かに本業があって仕事中にトラブルの連絡を受ければ、至急対応しなければならない場合もあるでしょう。あるいは入居者との関わりが精神的に疲れるという人もいるかもしれません。

しかし、それらの問題は「自主管理」の場合に生じることで、すべてのオーナーが直面しているわけではありません。次のような対処方法で負担を減らしているオーナーもいます。

【対処方法】
管理を不動産管理会社に委託することで入居者に関する問題を解決できます。サラリーマン等が副業で不動産経営を行う場合はトラブルの対応が難しいですが、不動産管理会社に委託することで本業に支障が出る可能性は低くなります。

入居者からのクレーム対応、切れた電球の交換、空室が出たときの入居者募集などは不動産管理会社が行ってくれるので、オーナーは家賃振り込みの確認などわずかな作業で経営を続けることができます。委託管理料は概ね家賃の5%程度なので、それほど大きな負担にはなりません。

悪質な不動産会社が存在する

不動産会社のなかには悪質な会社が存在するのは事実です。例えば、住宅ローンを不正に利用して顧客に相場よりもかなり高い価格でマンション等を買わせる業者の存在がテレビ番組で報道されています。ローン審査に関する書類も不動産会社が虚偽記載するケースがあり、そうなると金融機関が見抜けずに審査に通ってしまう場合もあります。

ただし、それらの多くは友人からの上手い投資話に誘われて安易に悪質な不動産会社を訪ねたケースであり、大部分の不動産会社は誠実に営業しているので過度な心配は不要です。

【対処方法】
悪質な不動産会社に出会うことを回避するコツは上場大手不動産グループ、地元で長く営業している不動産会社から選ぶことです。

上場企業はESR(企業の社会的責任)を重視していますので、強引な営業をしないよう社員は厳しく教育されています。また、地元で悪質な営業を行うと悪い評判が立ち、営業していけなくなるので、同じ地域で長く営業している不動産会社も悪質な営業をする可能性は低いでしょう。

不動産はお金が必要になったときすぐに売れない

不動産は株式のように当日中に売るというわけにはいきません。不動産は高額のため短期資金を工面することには向いていないので、お金が必要になる半年程度前(入学資金など時期が決まっている場合)から売却活動を始めるのが理想です。予期せぬ事情でどうしても短期間で売却したい場合は次のような対処方法があります。

【対処方法】
総合不動産会社に売却を依頼することで早く売れる可能性が高まります。総合不動産会社はネットワークが豊富で、あらゆるタイプの物件を扱っており、売るためのノウハウを持っています。急ぐ場合は買取制度も利用できるので、最短で1ヵ月以内に売却できる可能性もあります。売却を決めたら早めに総合不動産会社に相談しましょう。

意識調査で見る「不動産投資をしていない理由」とは?

インターネット上で語られる「不動産投資はやめとけ」という理由とは別に、実際に不動産投資をしていない理由について意識調査から見てみましょう

グローバル都市不動産研究所が実施した「不動産投資に関する意識調査2021」によると、「不動産投資をしていない理由」との質問に対し、最も多い答えが「投資そのものに興味がない」(32.9%)でした。次いで多いのが「投資する費用が高い(投資に関する預貯金がない)」(29.1%)で、上位2つの答えで過半数を占めています。

3番目に多いのは「資産価値や家賃が下がるリスクがある」(10.9%)で、2位の投資費用の高さと合わせ、お金に関する不安が多いことがわかります。

出典:グローバル・リンク・マネジメント「不動産投資に関する意識調査2021」

不動産投資をやったほうがよい人とは?

ここまで、不動産投資をやめたほうがよいと思っている人の誤解と対処方法を紹介してきましたが、逆に不動産投資をやったほうがよいのはどのような人たちでしょうか。以下の3つの状況に置かれている人にはとくにおすすめです。

金融資産(余裕資金)が多く、有利な運用先を探している人

金融資産を多く持っていて、有利な運用先を探している人には不動産投資が向いています。ほかの投資のデメリットを補うことができるからです。自分が所有しているので、株式のような倒産リスクや上場廃止リスクはありません。

国内物件である限りFXのように為替に左右されることもなく、美術品と違い不動産に贋作ということはあり得ません。商品取引のように国際情勢に影響を受けることもなく、暗号通貨のようなデータではないので、現物資産を所有することができます。

このようにほかの投資に比べてリスクが少ないのに、実質利回り3~5%程度を得ることが可能です。ほかの投資は10%以上の利回りを得ることが可能な半面、短期間で半値になったり、投資金額の大半を失ったりする可能性もあります。低リスクで着実に資産形成するには不動産投資が最適です。

手間のかからない副業を探している人

不動産投資は手間のかからない副業を探している人にはぴったり合った投資先です。本業が忙しいと投資に時間を割くことが難しい人もいるでしょう。取引市場がある投資の場合は、毎日値動きのチェックが必要です。株式投資に本気で取り組もうと思ったら、企業から送付される報告書に目を通し、株主総会に出席しなければならない場合もあります。

その点不動産は日々価格が変化するわけではないので、中長期的な視点で投資に取り組むことができます。マンション等の不動産経営は、不動産管理会社に管理を委託すれば本業に支障が出ることなく行うことができる点で副業に向いています。

相続を控えている人

相続を控えている人も不動産投資に適しています。現金のまま相続すると相続税評価額が100%となりますが、不動産で相続すると相続税評価額が大幅に下がります。

相続税算出における不動産の評価額は、家屋の場合は「固定資産税評価額」で、土地の場合は、「路線価方式」または「倍率方式」で算出されます。不動産の実勢価格(時価)よりもかなり低く算出されるので、相続人にとっては利用したほうがよい仕組みといえます。

さらに購入した不動産を賃貸に出す場合は、借家権割合30%(全国一律)に賃貸割合を掛けて評価減割合が算出されます。

【計算例】
建物の評価額3,000万円、借家権割合30%、賃貸割合100%(満室)の場合

3,000万円-(3,000万円×30%×100%)=2,100万円

本来の建物評価額よりも900万円少ない評価額となります。このように現金相続による100%評価額を避けるために不動産を購入し、賃貸に出す不動産投資は相続税の節税につながるのです。

「不動産投資は怖い」は誤解、しっかり対策すれば最善の資産形成になる

「不動産投資は怖い」と思っている人の多くの理由は誤解によるものです。不動産投資にリスクがあるのは事実ですが、それぞれのリスクには紹介したような対処方法があります。ほかの投資よりもむしろリスクは低いので、初心者でも安心して投資することができます。

また、意識調査で2番目に答えが多かった「投資する費用が高い」という理由で不動産投資を始められないのはもったいないことです。年収や資産状況に合った価格の不動産はいくらでもあるので、高いというイメージだけで諦める必要はありません。

不動産投資は、リスク対策をしっかりすれば最善の資産形成法になります。まずは信頼できる不動産会社に相談してどの程度の物件が購入できるのか判断してもらうのもよいでしょう。

丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。企業系サイトを中心に執筆し、得意執筆領域は金融・経済・不動産。市場分析や経済情勢に合わせたトレンド記事を、毎年200本以上執筆している。主な掲載媒体は「YANUSY」「THE Roots」「Renergy Online」「Dear Reicious Online」「JPRIME」「タツマガ」など多数。