家を購入する際には、住宅ローンを利用する人が多い傾向です。住宅ローンを利用するには各金融機関の住宅ローンへ申し込み、審査に通らなければなりません。住宅ローンの審査基準は、金融機関によって異なりますが、審査に落ちた場合は理由を教えてもらえないことをご存じでしょうか。

そこで本記事では、住宅ローンの本審査に通らなかった場合に考えられる理由や審査に落ちた際の対応について解説します。

住宅ローンの審査の流れ

住宅ローンの本審査に通らなかった理由は?審査に落ちた際の対応も解説
(画像=taniasv/stock.adobe.com)

住宅ローンの申し込みから融資実行までの主な流れは、以下の通りです。

1.事前申し込み(事前審査)
2.事前審査の結果通知
3.本申し込み(事前審査に通過した場合)
4.本審査
5.本審査の結果通知
6.契約手続き(本審査に通過した場合)
7.融資実行・物件の引き渡し
※一部金融機関によっては事前審査がない場合もあります。

事前申し込みから事前審査の結果が分かるまでは、約3~5営業日といわれていますが、早ければ即日に回答がある金融機関もあります。なお、事前審査に通過した人のみが本審査に申し込みを行うことが可能です。

本審査には1~2週間程度かかるのが一般的で、事前審査や本審査の際には、さまざまな必要書類を提出しなければなりません。必要とされる書類は、金融機関によって異なりますが、一般的に以下の書類が求められる傾向です。

事前審査に必要な書類・本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
・所得証明書類(源泉徴収票、確定申告書の控えなど)
・物件関係書類(物件のパンフレット、土地の公図など)
本審査に必要な書類・本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
・印鑑証明書
・住民票
・所得証明書類
・不動産売買契約書の写し
・(注文住宅の場合)工事請負契約書の写し

住宅ローンの本審査に通らない理由

国土交通省が発表している「令和3年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によると金融機関が融資を行う際に考慮する項目として一番高いのは「完済時年齢」で98.9%でした。その他の項目で90%以上だった回答は、以下の通りです。

融資を行う際に考慮する項目割合
完済時年齢98.9%
健康状態98.5%
担保評価97.6%
借入時年齢97.1%
年収95.0%
返済負担率94.6%
勤続年数94.5%
連帯保証94.5%
金融機関の営業エリア92.2%
※複数回答あり

借入時や完済時の年齢

ほとんどの金融機関が完済時年齢や借入時年齢を重視していることからも、完済時年齢までに返済を終わらせることができるかが審査のポイントになります。そのため、完済時年齢までの期間が短い年齢の申し込みでは、審査に通りにくくなる可能性があるでしょう。

担保評価

住宅ローンの審査では、本人の返済能力だけでなく担保提供する土地や建物の評価も重要視されます。なぜなら金融機関は、万が一借入申込人が返済不能に陥った際に担保提供されている物件を競売にかけ現金化して融資額を回収するからです。

不動産の担保評価が希望借入金額よりも低い場合、金融機関は融資した金額を回収できません。そのため、購入する物件の担保評価によっては審査に通らない可能性があります。

健康状態

住宅ローンの申し込みの際に多くの金融機関では、団体信用生命保険への加入を条件としているため、健康状態も重要視しています。団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が死亡したり高度障害になったりした場合に、保険金で住宅ローン残債を相殺できる保険です。加入する際は、民間の生命保険と同様に健康状態に関する告知書の提出が必要になります。

住宅ローンの申し込み時点で告知書にひっかかる項目があるなど団体信用生命保険へ加入できなかった場合は、民間の金融機関が提供する住宅ローンの利用は難しいでしょう。ただし、例えば団体信用生命保険へ加入せずに利用できる住宅金融支援機構が提供する「フラット35」という商品もあります。万が一団体信用生命保険に加入できない場合は、フラット35の利用を検討しましょう。

信用情報

金融機関は、住宅ローンにかかわらずローンの申し込みがあった際に必ず信用情報機関へ申込者の信用情報の照会をかけます。日本国内における信用情報機関とは、以下の3つの機関です。

・CIC(株式会社シー・アイ・シー)
・JICC(株式会社日本信用情報機構)
・KSC(全国銀行個人信用情報センター)

それぞれの機関が各種ローンやクレジットカードなどの利用履歴を管理しています。また利用しているなかで延滞や債務整理などの金融事故を起こした場合、その情報は信用情報機関に一定期間(5~10年)登録されます。

金融機関は、いずれかの信用情報機関に加盟しているため、照会した際に金融事故情報があることが判明した場合、審査に通ることは難しくなるでしょう。

本審査に落ちた際に取るべき対応

本審査に通らなかった場合の理由としては「年齢」「担保評価」「健康状態」「信用情報」などが考えられます。しかし、これらが理由で住宅ローンの審査に通らなかった場合は、どのように対応すればよいのでしょうか。

ちなみに健康状態が理由の場合は、上述したようにフラット35など団信不要の金融機関の利用を紹介しているため、ここでは省略します。

年齢が理由の場合

申込時の年齢が高齢の場合、親子リレーローンの利用を検討しましょう。そうすることで、返済期間を長く取ることができ、審査に通る可能性もあります。また、社会人になって年数が短く、年収が少ないなら、収入合算を考えてもいいかもしれません。

担保評価が低い場合

不動産の担保評価が低い場合は、担保評価に応じた金額までしか借りられない可能性が高いため、購入する物件を見直すなどの対策を考えましょう。担保評価が低い理由は、立地条件や建物の構造などが考えられるため、今より担保評価が高くなる条件が揃った物件を探すことも選択肢の一つです。

物件変更が難しい場合は、頭金を多く準備して融資額との差を少なくするなどを検討することをおすすめします。

信用情報に問題がある場合

信用情報に金融事故などがある場合は、登録されている事故情報が消えるまで住宅ローンの利用をあきらめるしかありません。信用情報は、本人が信用情報機関に情報開示請求をすれば知ることができます(有料)。心当たりや不安があるなら情報開示請求をして確認してみましょう。

本審査に落ちた際にやってはならない行動

上述した通り、審査基準は金融機関によって異なるため、別の金融機関に申し込んで審査を受けることで審査に通る可能性はあります。ただその際には、その金融機関が利用している保証会社を確認することを忘れないようにしましょう。

なぜなら最初に申し込みした金融機関と同じ保証会社を利用している場合は、申し込みを行っても再度本審査に落ちてしまう可能性が高いからです。

本審査に通るための事前の対策も行っておこう

本審査に通らなかった理由は、金融機関から教えてもらえません。そのため不安な点がある場合は、自分で事前にできる対策を取っておく必要があります。例えば「年収や担保評価が理由で希望借入額まで借りられない」と考えている場合は、収入合算の利用や頭金をもう少し多く準備するなどの対策が有効でしょう。

また年齢が理由と感じる場合は、希望借入額を低く設定し完済時年齢までに完済できるようにする方法もあります。もしほかにも借り入れているローンがあることが原因と考えられる場合は、早めに返済することを検討しましょう。他社からの借り入れが残っていると「さらに融資を行って返済できるのか」と疑問視される可能性もあります。

考えられる理由に応じた対策を取って、本審査に通過できるように備えることが大切です。

新井智美
新井智美
トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員、コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,000本以上。