富裕層の一歩手前まで来た準富裕層とはどのような人たちなのでしょうか。実は準富裕層になった人でも、資産を築いた経緯は人によって異なります。いま話題になっているFIREは準富裕層になれば可能なのか、不動産投資を利用して富裕層にステップアップするための方法を考えます。

準富裕層はどんな人たちか

準富裕層ってどんな人たち?富裕層にステップアップする方法を考える
(画像=naka/stock.adobe.com)

富裕層になることは多くの人にとって憧れでしょう。下表にあるように、富裕層になれる世帯は多くありません。その富裕層に最も近いのが準富裕層といわれる人たちです。準富裕層とはどのような人たちを指すのでしょうか。はじめに準富裕層の定義と、準富裕層に該当する世帯がどれくらいあるのかを確認しておきましょう。

準富裕層の定義は?

区分金融資産規模
超富裕層5億円以上
富裕層1億円以上5億円未満
準富裕層5,000万円以上1億円未満
アッパーマス層3,000万円以上5,000万円未満
マス層3,000万円未満

準富裕層とは、預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など世帯として保有する金融資産から負債を差し引いて5,000万円以上1億円未満の金融資産を保有する人たちを指します。いわゆる億万長者になる手前の人たちです。資産に不動産は含まれていません。

準富裕層の世帯数

区分世帯数比率2009年からの伸び率
超富裕層8万7,000世帯0.16%74.0%
富裕層124万世帯2.30%56.0%
準富裕層341万8,000世帯6.33%26.7%
アッパーマス層712万1,000世帯13.18%11.4%
マス層4,215万7,000世帯78.04%5.0%

野村総合研究所が2020年10~11月に行った「富裕層アンケート調査」によると、2019年度における準富裕層の世帯数は341万8,000世帯で全体の6.33%にあたります。富裕層への予備軍といった世帯ですが、富裕層以上は全体で2.46%という狭き門です。

ただし、10年前にあたる2009年度との比較では、階層が上の層ほど伸び率が高くなっています。準富裕層も26.7%増えており、アッパーマス層から上がることも無理ではないことを示しています。どの層であれ、1つでも上の階層を目指して前向きに生きることは大事です。

準富裕層と富裕層の違い

資産規模以外に、準富裕層と富裕層はどのような違いがあるのでしょうか。

富裕層は、先祖代々から相続した資産家や、大企業の経営者が多いといわれています。とくに上場企業や非上場の大企業の経営者は資産の多くを自社株が占めています。非上場会社の経営者が株式を上場して巨額の資産を築く例はよく知られているところです。

一方の準富裕層は、弁護士、医師など高収入の専門職や、外資系企業の役員、中小企業経営者などが多い傾向です。また、公務員や大企業の社員などは退職金も数千万円単位の高額であることから、退職後に準富裕層になる人もいます。準富裕層は自社株で財を成したような人は少なく、高収入の専門職の人は不動産投資で運用することが多いイメージです。

準富裕層はどんな生活をしているのか

準富裕層はどのような生活をしているのか、興味がある人は多いでしょう。準富裕層とひと口にいっても、資産の成り立ちによって生活に対する考え方も異なるようです。

にわか成金で準富裕層になった人の生活

資産規模は準富裕層でも、宝くじで高額当選した人や、何らかの理由で単発的に大金を手にした人など「にわか成金」といわれる人たちも存在します。

仕事の収入が多いわけではないので、大金を手にしたことで今まで経験できなかったことをしたり、高くて買えなかったものを買おうとしたりする傾向があります。不労所得なので、なかったものと考え豪遊や爆買いをしてしまう人の例もSNS等でよく紹介されます。

地道な努力で準富裕層になった人の生活

一方で時間をかけて地道に資産を築いた準富裕層は、資産を有効に使おうと考えます。お金を稼ぐ苦労を知っているので、無駄なことにお金を使いません。

その反面、仕事で築いた人間関係を大事にするので、人を祝うための出費は惜しまない傾向があります。人とのつながりが深まることで、新たなビジネスに発展することもあるでしょう。準富裕層だからといって誰もが一般的にイメージするような派手な生活を送っているわけではないのです。

高収入で準富裕層になった人の生活

資産が多く、なおかつ高収入の準富裕層の中には派手な生活を送っている人もいます。高収入の裏付けがあるので、高級車を乗り回し、高級腕時計や宝飾品を買い漁る様子がテレビのバラエティ番組などで紹介されるのを見ることがあります。地道に資産を築いた準富裕層とはお金に対する考え方が異なるようです。

準富裕層になるとFIREは可能か

最近FIREという言葉を聞くことが多くなりました。FIREとは、仕事をリタイアして投資の収益のみで生計を立てることをいいます。金融資産5,000万円の準富裕層と金融資産1億円の富裕層で実現の可能性を考えてみましょう。

金融資産5,000万円の場合

金融資産5,000万円を持つ人が、投資で5%の利回りを達成した場合の年間収益は250万円(税引き後約200万円)です。税引き後の200万円を月収に換算すると16万6,667円となります。単身であればぎりぎり暮らせる金額にも思えますが、家庭を持っていたら生活を維持するのは難しいでしょう。

では、実際に標準的な家庭で生活費はどれくらいかかるのか、総務省が調査した「家計調査報告・家計収支編(2020年)」から見てみましょう。

2020年は新型コロナウィルスの感染拡大による外出自粛があり消費支出が前年より大幅に減っていますが、単身者では概ね16万円が生活費の最低ラインと考えてよいでしょう。この他に予期せぬ臨時の出費がないとも限りません。

現役世代が仕事をリタイアしてということが前提ですので、まだ年金を受給する年齢ではないことを考えると、投資収益16万6,667円では優雅なFIRE生活は難しいでしょう。

金融資産1億円の場合

金融資産1億円を持つ人が、投資で5%の利回りを達成した場合の年間収益は500万円(税引き後約400万円)です。税引き後の400万円を月収に換算すると33万3,333円となります。30万円を超えるので単身者なら優雅なFIRE生活も可能でしょう。しかし、家庭を持っている場合は夫婦二人なら生活可能ですが、子どもがいる家庭では難しい印象です。

しかもこのシミュレーションは利回り5%を達成した場合ですので、債券では難しく、株式投資が中心になることが想定されます。企業業績が悪化すれば配当収入が減ることも考慮しなければなりません。

FIRE達成には富裕層を目指す必要がある

上記のシミュレーションで見たとおり、FIREを達成するには金融資産1億円以上の富裕層を目指す必要があります。さらに富裕層になっても金融危機が起きたときのために、下支えになるような投資が必要です。それが次に紹介する不動産投資です。

不動産は株式のように短期間で価格が暴落することはありません。優良物件を購入すれば安定した家賃収入が見込め、毎月のローン返済も家賃収入で行うことができます。

個別株ではなく高利回りの株式投資信託で運用する方法もありますが、運用期間によってリターンが変化するのがデメリットです。一時的にマイナス利回りになることも少なくありません。その点不動産は毎日の価格変化がなく、家賃も改定しない限り同じ水準を保てるので、ポートフォリオの下支えに適しているといえます。

富裕層にステップアップするための不動産投資

FIREを目指すのではなく、長期的な計画で準富裕層から富裕層にステップアップを目指すと、達成の可能性が高くなります。ステップアップするための不動産投資として有効なのがタワーマンションとブランドマンションの購入です。準富裕層であればある程度多く頭金を用意できるので、優良な物件を購入できる可能性は高いでしょう。

タワーマンションで高額家賃収入を目指す

タワーマンションは東京23区の場合、2LDK以上の間取りであれば20万円以上の高額な家賃収入を期待できます。金融資産6,000万円の人が半分の3,000万円を頭金にして、1億円の物件を購入した場合の収支をシミュレーションしてみましょう。

物件の一例を挙げると、東京都港区高輪1丁目のシティタワー高輪が1億980万円で売り出されました(ネットで住みかえノムコム、2022年11月19日掲載時点の価格)。中古2LDKのタワーマンションです。

CHINTAI調べ(2018年7月22日)による港区タワーマンションの平均家賃相場は2LDKで39万5,000円です。この物件を7,000万円の融資(金利2.0%、元利均等、35年返済)を受けて購入した場合の月返済額は23万1,883円となります。差し引き16万3,117円の収益となり、ここから経費率を家賃の20%として8万円を差し引いても8万3,117円手元に残ります。

ローン完済後に売却すれば買値の70%程度としても7,000万円以上の現金資産が誕生します。その他の金融資産と合わせ、晴れて富裕層の仲間入りができるのです。

資産価値が下がりにくいブランドマンションがステップアップに有効

ブランドマンションもタワーマンションと同じく高額な家賃収入が期待できます。また、ブランドマンションは資産価値が下がりにくいというメリットがあります。好立地に加え設備もハイグレードであることから入居者だけでなく、不動産投資家からの人気も高く、買い手が多いため価格があまり下がらないのです。

マンション価格情報サイト「住まいサーフィン」が2021年11月1日に発表した「売主別中古マンション値上がり率ランキング」によると、大手不動産会社が発売した物件に関しては新築時よりも中古価格が上がっています。ブランドマンションは価値が下がりにくいという定説が証明された形です。

▽売主別中古マンション値上がり率ランキング(関東圏)

順位売主名平均値上がり率物件数(棟数)事例数(件)
1日鉄興和不動産3.51%31368
2三井不動産レジデンシャル3.28%1021,563
3東急不動産3.15%35297
4三菱地所レジデンス2.87%1131,378
5伊藤忠都市開発2.84%31285
6野村不動産2.48%1431,772
7モリモト2.47%24254
8ダイワハウス工業2.13%32412
9オープンハウス・ディベロップメント1.95%27222
9住友不動産1.95%912,219

ブランドマンションならインカムゲインとキャピタルゲインの二刀流も可能

ブランドマンションを発売している大手不動産会社のマンション価格は高騰を続けており、2021年も上位10社の平均値上がり率は1.95~3.51%と順調にプラス圏を維持しています。このデータは不動産投資家には心強いものです。

通常マンションは新築時が一番高く、築年数の経過とともに少しずつ安くなっていくものです。しかし、ブランドマンションに関しては中古になっても価値が下がらないので、不動産投資家にとっては安心して購入することができます。

一般的に賃貸マンションは家賃収入というインカムゲインを目的にする投資家が多いですが、ブランドマンションは売却益というキャピタルゲインも狙える二刀流の投資が可能といえます。投資家にとっては魅力的な投資先であるため、さらに買いが集まり価格が上がるという好循環を生んでいるのでしょう。

準富裕層が富裕層になるために必要なこと

準富裕層が富裕層になるには、ステップアップを意識した生活を送る必要があります。準富裕層でもある程度余裕のある生活を送れるため、現状で良いと考えればそれ以上の成長は見込めません。以下に挙げるような、富裕層になるために必要なことを実践できれば達成に少しでも近づくことができるでしょう。

具体的な目標を設定する

目指すことを実現するには、具体的な目標を設定することが基本です。1年ごとのロードマップを作成すればいつまでにいくら資金を貯めるという数字が見えてくるので、毎月の家計もそれに合わせて調整することができます。

スキルを磨いて収入を上げる

ワンランク上を目指すにはスキルをアップさせることが欠かせません。スキルを磨いて自分自身の価値を高めることによって、収入を向上させることができます。

収入が向上すれば比例して預貯金や投資する資金が増えていきます。資格取得のためのコストは一時的な出費ですが、収入は毎月得ることができるので、長い目で見て費用対効果を考える必要があります。

ポジティブ思考で前向きに生きる

ステップアップを実現するには物事をポジティブに考え、前向きに生きることも大切です。例えば、エネルギー価格の高騰などによって物価高になると、インフレが進むから投資を控えようとネガティブに考えたくなります。

しかしそのようなときこそ、インフレが進めば不動産価格や家賃も上昇するのでむしろ不動産投資のチャンスと捉えるポジティブ志向が大事といえるのです。

健康を意識した生活をする

病気になっては働くこともできないので、健康を意識した生活をすることは大事です。富裕層のなかには民間の高級人間ドックを利用して自分の健康状態をチェックしている人もいます。トレーニングジムで体力の向上を目指すのも長く働くためには有効な方法です。

ステップアップのために投資する

富裕層へステップアップするためには投資が必要です。投資しなければリターンもないからです。わずかな利息しか付かない債券に投資しても資産を増やすのは難しい時代になりました。かといって値動きの激しい金融商品に投資して元本を減らせば富裕層への道が遠のいてしまいます。

2022年にはビットコインの価格がおよそ3分の1になる大暴落もありました。ステップアップを目指すには一攫千金を狙うのではなく、投資信託、高配当優良株、ブランドマンションなどをバランスよく保有するポートフォリオを構築するのが理想です。

また、自分への投資も大事です。仕事に活かせる資格を取得することで特別な手当が付く場合があります。それにかかる費用は先行投資と考えましょう。

優良な不動産への投資で富裕層にステップアップを目指そう

ここまで見たとおり、富裕層へステップアップするための投資で最も有効なのが不動産投資です。資産は必ず増えるとは限りません。投資の結果によっては減るリスクもあります。つまり階層がワンランクダウンする可能性もあるのです。

階層を下げずにステップアップを目指すには、資産のベースをしっかり固め、減らすことなく安定して成長させることが理想です。優良な不動産への投資は「資産を守る」と「資産を増やす」を両立させることができます。ポートフォリオの中心に据えるには最も相応しい投資先といってよいでしょう。

ただし、高額な不動産を購入するにはしっかりとした資金計画が大事です。無理のないローンの返済を行うためにも、不動産会社に相談しながら進めるとよいでしょう。

※本記事は2022年11月20日現在の情報を基に構成しています。文中のシミュレーションは一例であり、収支の結果を保証するものではありません。参考程度にお考えください。

丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。企業系サイトを中心に執筆し、得意執筆領域は金融・経済・不動産。市場分析や経済情勢に合わせたトレンド記事を、毎年200本以上執筆している。主な掲載媒体は「YANUSY」「THE Roots」「Renergy Online」「Dear Reicious Online」「JPRIME」「タツマガ」など多数。