経済産業省は、2025年までに日本のキャッシュレス決済比率約4割を目指しています。キャシュレス推進の動きもあり、クレジットカードやQRコード決済などを活用する人が増加傾向です。

キャッシュレス決済のなかでもクレジットカードは、ショッピングの支払いを後払いにできたり、利用額に応じたポイントが付与されたりするなどサービスの内容は多岐にわたります。なかには、保険が付帯しているクレジットカードを保有している人も多いのではないでしょうか。

しかし「自分が保有しているクレジットカードにどのような保険が付帯しているのか」について理解している人は少ないかもしれません。そこで本記事では、クレジットカードに付帯している保険の種類を紹介しながら、有効に活用するためのポイントについても解説します。

クレジットカードに付帯している保険の種類 

見逃しがちなクレジットカードの付帯保険。内容と使い方を理解して有効活用を!
(画像=karinrin/stock.adobe.com)

クレジットカードに付帯している保険は多岐にわたりますが、よくあるものだと「旅行傷害保険」や「ショッピング保険」「紛失・盗難保険」などがあります。ここでは、各保険について詳しく解説します。

旅行傷害保険

旅行傷害保険には、海外で適用されるものと国内で適用されるものがあり、クレジットカードのランクが高いほど補償内容が充実している傾向です。旅行傷害保険には、主に以下の補償が付帯しています。

・傷害保険
旅行中のケガが原因で死亡したり重い後遺障害が残ったりした場合に支払われる保険です。

・死亡の場合:補償金額の上限額が支払われる
・後遺障害が残った場合:障害の程度に応じた保険金額が支払われる

またそのケガについて現地の病院で手当を受けた治療費なども補償されます。

・疾病保険
旅行中に病気になり、現地の病院にかかった場合の費用が補償される保険です。さらに通院費用や治療に必要な物の購入代金も補償の対象となるケースがあります。

・救護者費用など
旅行中にケガや病気なり、親族が現地に向かった際の往復の交通費や現地での宿泊費用などが補償される保険です。ただし「継続して3日以上入院した」といった日数などの要件があり、内容はクレジットカードによって異なります。

・賠償責任
旅行中に誤って他人にケガをさせてしまったり、他人の物を壊してしまったりして相手側から法律上の損害賠償を請求された場合に対応できる保険です。賠償金額や弁護士費用などが補償されます。

・携行品損害
旅行中に自分が携行する身の回りの品物が事故などで壊れたり盗まれたりしたときに時価額もしくは修理費用のいずれか低い額を限度として補償される保険です。ただし上限額が設定されているほか、自己負担額(免責金額)が設定されているケースが多いため、事前に確認しておきましょう。

・航空機遅延保険
国内や海外で搭乗する予定だった飛行機が遅延したり、預けた荷物が送れて到着もしくは紛失したりしたことで生じた費用が補償される保険です。

ショッピング保険

ショッピング保険は、対象となるクレジットカードで購入した商品が破損したり盗難にあったりした場合に補償される保険です。クレジットカードによって年間の補償限度額が決まっており、自己負担額が設定されているものもあります。

紛失・盗難保険

クレジットカードを紛失したり、盗難にあったりした際、第三者によって不正利用された場合の被害額が補償されます。クレジットカードによって補償される上限額が異なるほか、紛失および盗難の原因が本人の過失によるものだった場合には補償されないケースが多くみられます。

保険が適用される条件

クレジットカードに付帯されている保険は、カードのランクによって適用される条件が異なります。また付帯している保険は「自動付帯」「利用付帯」の2種類があるため、事前に確認しておくことが大切です。

自動付帯と利用付帯の違い

「自動付帯」とは、対象となるクレジットカードを保有しているだけで補償される保険です。一方、「利用付帯」とは対象となるクレジットカードで旅行代金やショッピング代金を支払っていることが条件として適用されます。

免責条項に注意

クレジットカードの規約には、細かい免責条項が記載されています。例えばショッピング保険の自己負担額などがその一例です。また上述した「自動付帯なのか」「利用付帯なのか」といった内容も記載されているため、目を通しておきましょう。なかには、国内旅行と海外旅行で免責条項が異なるクレジットカードもあるため、保険が付帯しているからと安心するのは禁物です。

特にクレジットカード保有者の過失によるものについては補償されないケースが大半となるため、盗難などには十分に気をつける必要があります。

クレジットカードを複数枚持っている場合の補償額は? 

クレジットカードを複数枚持っている場合、補償額はそれぞれのカードの合算額になると思われがちですが、そうではありません。複数枚持っている場合の補償額は、持っているカードのうち最も高い金額となります。またそれぞれのカードの負担額は上限額を按分した額になるため、注意が必要です。例えば以下のケースで考えてみましょう。

・クレジットカード所有枚数:4枚(1枚は200万円までを補償、残りの3枚は100万までを補償)
・海外旅行中のケガの治療費:100万円
・クレジットカードはすべて自動付帯

この場合、補償金額は最高200万円となります。それぞれのクレジットカードから支払われる保険金額は、200万円までを補償するカードは40万円、残りの3枚は20万円ずつとなる仕組みです。

注目しておきたいサービス 

近年は、海外で病気になって病院にかかる際に現地での自己負担が発生しない「キャッシュレス診療」を導入しているクレジットカードもあることをご存じでしょうか。クレジットカード会社のなかには、24時間日本語で相談できるホットラインサービスを設けているところもあります。病気や事故の際に連絡すれば、日本人医師の紹介やキャッシュレス診療の手配も行ってくれるため安心です。

日本は国民皆保険制度となっているため、病院で診療した際に窓口で支払う代金は3割など一部負担となります。しかし海外は、全額自己負担となる自由診療の国が多い傾向です。そのため病院の費用を一時的に立て替える必要があると、かなりの負担となります。しかしキャッシュレス診療を提供しているクレジットカードを利用すれば、高額な費用負担に対する不安を取り除けるでしょう。

クレジットカードを選ぶ際には、このようなサービスに対応しているカードを選ぶことをおすすめします。

保険の重複がないか確認しよう 

クレジットカードのなかには、自動付帯で賠償責任が補償されるものもあります。しかし賠償責任保険は、火災保険や自動車保険などのオプションで加入している人も多いのではないでしょうか。クレジットカードの自動付帯保険は保険料がかかりませんが、火災保険や自動車保険といった損害保険は保険料が発生しています。

その場合、他の保険に付帯する賠償責任を整理してクレジットカードの賠償責任に一本化すれば保険料が節約可能です。今一度、保有するクレジットカードの保険付帯内容や適用の条件などを確認し、重複している保険があれば見直すようにしましょう。

クレジットカードの規約をしっかりと確認することが大切 

クレジットカードの付帯保険は、クレジットカードのランクが高くなるほど内容が充実する傾向です。しかし近年では、年会費無料のクレジットカードでも保険が付帯しているものもあります。高ランクのクレジットカードは高額な年会費が発生する傾向のため、付帯保険の内容やサービス内容などを確認して年会費に見合ったクレジットカードを選ぶことが大切です。

また付帯保険の詳細は、規約内容を確認したうえで必要なときに使えるように手続きの方法まで確認しておきましょう。あわせて損害保険との重複についても確認し、必要に応じて見直すことをおすすめします。

新井智美
新井智美
トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員、コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,000本以上。