円安局面で有利な投資先は?円高リスクに注意して投資しよう
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日米金利差の拡大による円安が進んでいます。円安局面ではどのような投資が有利になるのでしょうか。円安で有利な投資先を紹介し、円高に反転した場合も家賃収入が中心で為替の影響が少ない国内不動産の優位性についても考察します。

2022年に急速に円安が進んだ背景

円安局面で有利な投資先は?円高リスクに注意して投資しよう
出典:SBI証券

2022年に為替相場は大きく動きました。2022年1月3日終値で1ドル115円32銭だった円相場は、10月20日終値では150円14銭の年初来高値まで上昇しました。年初と比べて30.2%の上昇です。

円安が進んだ大きな背景は米国の金利引き上げです。FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ抑制のために複数回にわたる利上げを実施したのに対し、日銀は金融緩和の姿勢を変えなかったため、日米の金利差が拡大していきました。

5年国債の日米金利差は年初1月4日の時点では1.44%とそれほど大きな差ではありませんでしたが、徐々に拡大していき、10月20日には4.325%まで差が開きました。円相場が150円を付けた日と一致しています。

為替の他にも、ロシアによるウクライナ侵攻によって起きたエネルギー不足や食糧原材料不足、GDP(国内総生産)の伸び悩みなど、日本にとってマイナスになる要因が重なったことも円安に拍車をかけたものと思われます。

円安・円高になる仕組みとは?

為替相場はどのような仕組みで円安または円高に向かうのでしょうか。為替が動く要因には各国の金融政策や経済情勢があります。金融政策によって各国の金利が動き、雇用統計や消費者物価指数など重要な経済指標の変化も為替相場に影響を与えます。為替相場は需要と供給によって決まるため、需要が多い通貨のほうが高くなります。

例えば、2022年に起きた資源エネルギー不足、食糧原材料不足において日本は輸入に頼らざるを得ないため、輸入を増やす結果となりました。輸入するためにはドル建て決済の場合、円を売ってドルを買う必要があります。輸入が増えれば増えるほど円売り・ドル買いを頻繁に繰り返すため円安に向かうことになるのです。逆に輸出が増える場合は円高・ドル安になる傾向が強まります。ユーロ/円も同様です。

また、米国の金利が高くなると米国債券を買う日本の投資家が増えるため、円を売ってドルを買う動きが強まり、円安・ドル高の要因になります。さらに、これらの要因から円安が進むと見た投機筋のドル買いが加わり、急速な円安が進んだものと考えられています。

円安で有利になる投資先

では、円安局面ではどのような投資を行えばよいのでしょうか。円安の進行で有利になると考えられるのは以下のような投資先です。

FX(外国為替証拠金取引)

為替相場の動向に最も影響を受ける投資がFXです。例えば、ドル/円の通貨ペアの場合、ドルが円に対して高くなるか安くなるかを予想します。

1ドル110円で1万ドル買ったドルが1ドル130円に上昇すれば、1万ドル×20円=20万円の為替差益を得ることができます。円安ドル高の流れがはっきりした初期に投資すれば有利な投資先となりますが、円高に流れが変わった場合は損失を被るリスクがあります。

外国債券

外国の債券も円安になることで為替差益を得られます。外国債券は元々高利回りの商品が多い傾向があります。外国債券の特徴は、欧米の先進国の利回りは低く、途上国の利回りは高いことです。

米ドル債が3~4%、ユーロ債が2~3%に対し、南アフリカランド債は6~8%、メキシコペソ債は8~10%となっています。ただし、利回りが高い国は財政破綻リスクも高いので注意する必要があります。

海外不動産

米国の不動産に投資した場合は家賃をドル建てで受け取るため、円安になると手取り収入が増加します。家賃2,000ドルの物件を貸している場合、1ドル110円のときの円換算手取りは22万円ですが、1ドル130円では26万円に大きく増えます。

反対に円高に流れが変われば円換算手取りは減っていくので、国内不動産に比べて資金計画が立てにくいというデメリットがあります。

インバウンド関連株

株式投資ではインバウンド関連株が有利になります。インバウンド関連株は円安になると日本への外国人観光旅行客が増えるため上昇しやすい傾向があります。例えば、航空大手ANAホールディングスの株価を見ると9月5日終値は2,612円50銭でしたが、入国制限解除期待から上昇を続け、2カ月後の11月4日には3,013円(終値)まで上昇しています。

ただし、インバウンド関連株は為替相場だけでなく、新型コロナウィルスの感染状況にも影響されるため、判断が難しい投資先ともいえます。

タワーマンション

外国人が円安を利用して日本の不動産を爆買いしていることがニュースで話題になりました。大幅に円安が進んだことによって日本の不動産が年初よりかなり割安になっていることが買い意欲につながっているようです。

都心のタワーマンションを好む外国人投資家は多いので、好立地のタワマンを保有しているとキャピタルゲインを得られるチャンスが期待できます。半面、円高に変われば割高に映り、買い控えが起こるリスクがあります。

円高に反転したらどうなる?

2022年に大幅な円安となった為替相場ですが、果てしなく円安が続くことは考えられません。円安を招いている要因が収まれば、どこかのタイミングで円高に反転します。これは過去の歴史が証明していることです。

バブル末期の1990年の年平均のドル/円相場は144円台でしたが、1995年には94円台の円高になっています。その後1998年に130円台に円安が進んだかと思えば、2011年と2012年には79円台の超円高を記録しています。このように一方的に円安が進むことはないので、為替差益を狙った投資は常に反転するリスクを考慮して行うことが必要です。

上記のチャートを見ると、2022年も1ドル150円を記録したあと、日銀の為替介入や米国経済指標に景気減速の兆候が示されたことで一気に円高に反転しています。

米国の利上げ終了などで円高に流れが変わった場合は、円安局面と逆のことが起こります。ドル建て金融商品を買っていた人は為替差損が発生し、海外不動産に投資している人の円換算手取り家賃は減少します。

海外資産の投資には為替ヘッジの有無をチェックしよう

海外資産に投資する投資信託では「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」という表記を見かけます。為替ヘッジとは、為替の変動を抑えるために、将来交換する為替レートをあらかじめ予約する取引で、為替先物予約といわれる方法で行います。

ドル/円の場合は円高による損失を避けるのに有効です。したがって、これから円高になると考える場合は「為替ヘッジあり」、円安になると考える場合は「為替ヘッジなし」を選択すると為替リスクを低減できます。

円高リスクが少ない国内不動産投資がベスト

円安局面で有利な投資について紹介しましたが、それぞれ一長一短があり、為替相場が円高に反転したときのリスクがどうしても不安になります。そこで選択したいのが円高リスクの少ない国内不動産投資です。

タワーマンションでキャピタルゲインを狙った投資では、円高になると外国人の買い手が減少するリスクがあります。しかし、賃貸によるインカムゲインを目的とした国内不動産投資なら賃料は円建てですので、円高になったとしても為替差損は発生しません。

米国の金利動向や、ロシアによるウクライナ侵攻の行方など、不透明要因が多い時代の投資先は国内不動産がベストといってよいでしょう。

※本記事は2022年11月17日現在の情報を基に構成しています。為替相場は常に変動しますので、文中のレートは参考程度にお考えください。

丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。企業系サイトを中心に執筆し、得意執筆領域は金融・経済・不動産。市場分析や経済情勢に合わせたトレンド記事を、毎年200本以上執筆している。主な掲載媒体は「YANUSY」「THE Roots」「Renergy Online」「Dear Reicious Online」「JPRIME」「タツマガ」など多数。