生命保険の保険金を受け取った際に税金がかかる可能性があることをご存じでしょうか。保険金の種類や契約形態に応じて課税対象になるケースがあるため、注意が必要です。本記事では、生命保険の保険金を受け取った際に発生する税金についてケースごとに解説します。

生命保険の保険金にかかる税金の種類

生命保険の保険金を受け取った際に発生する税金とは?ケースごとに解説
(画像=Looker_Studio/stock.adobe.com)

生命保険の保険金は、種類や契約形態によってかかる税金が「相続税」「贈与税」「所得税」など異なります。ここでは、それぞれの税金がかかるケースを保険金の種類とその契約形態を用いて解説します。

相続税がかかるケース

保険金に相続税がかかるケースは、保険金の種類が「死亡保険金」の場合です。該当する保険契約者(保険料負担者)と被保険者が同一人物で保険金の受取人が被保険者の相続人に該当する場合は、相続税の対象となります。ただしこの場合は、みなし相続財産として「500万円×法定相続人」の金額までは非課税です。

なお、保険金の受取人が相続を放棄した場合も相続税の対象となりますが、非課税枠の適用はありません。

贈与税がかかるケース

死亡保険金が支払われる際、契約内容が保険契約者、被保険者、受取人がそれぞれに異なる場合は、受取人に贈与税が課されます。例えば以下のようなケースです。

・保険契約者:父
・被保険者:子ども
・受取人:子どもの配偶者

贈与税がかかるケースは、満期保険金を受け取る際にも該当します。例えば当該契約において保険契約者と受取人が異なる場合です。特に気をつけたいのは、個人年金保険の年金で保険契約者と年金の受取人が異なる場合で、1年目は贈与税の課税対象となることを覚えておきましょう。

所得税がかかるケース

死亡保険金でも所得税(一時所得)の対象となるのは、保険契約者と被契約者が異なり、保険契約者と受取人が同一人物のケースです。さらに解約返戻金を受け取る際、対象となる保険契約が金融類似商品だった場合は、所得税の対象となります。ここでいう金融類似商品とは、以下のものを指し税率20.315%の源泉分離課税の対象です。

・一時払養老保険などで保険期間などが5年以下、または保険期間などが5年を超えるもので保険期間の初日から5年以内に解約されたもの

・一時払個人年金保険で、契約開始から5年以内で、年金の支払いが開始される前に解約されたもの

また祝い金や生存給付金についても所得税の対象となるケースがあります。一時金で受け取るものであれば一時所得の対象、数年間にわたって受け取るものであれば雑所得の対象です。個人年金保険の年金の場合、2年目以降の年金のうち相続税や贈与税の課税対象外の部分については、雑所得の対象となる点も押さえておきましょう。

保険金と給付金は異なる

保険会社から支払われるものは、厳密には「保険金」と「給付金」に分けられます。

・保険金:契約が満期になったときや死亡もしくは高度障害になった際に支払われる
・給付金:入院や手術、通院など病気やケガを理由として支払われる

なお給付金は、非課税です。例えば入院給付金を受け取っても所得税の対象にはなりません。

保険金でも非課税になるものがある

保険金でも「リビングニーズ特約保険金」のように非課税扱いになるものがあります。リビングニーズ特約とは、医師に被保険者が「余命6ヵ月以内」の診断された場合に、生前給付金として保険金を受け取れる特約のことです。病気やケガを理由として支払われるものとして扱われるため、非課税扱いとされています。

保険金を節税対策として利用する方法

生命保険契約は、上手に活用することで節税対策が行えます。生命保険には、さまざまな種類がありますが相続税対策として考えている場合は、終身保険を選ぶとよいでしょう。なぜなら終身保険の保険期間は、被保険者が亡くなるまで続くからです。

相続が発生した際には、必ず保険金が支払われるため、「すぐに現金が用意できる」というメリットがあります。さらに保険金には、非課税枠があるため、それを活用して節税効果を得ることも可能です。

みなし相続財産の非課税枠

保険金は、みなし相続財産として扱われ「500万円×法定相続人」の非課税枠があります。例えば3,000万円の死亡保険金が支払われて相続人が配偶者と子ども3人だった場合は、以下の金額が非課税限度額です。

・500万円×法定相続人4人=非課税枠2,000万円

そのためこのケースでは、差額となる1,000万円(死亡保険金3,000万円-非課税枠2,000万円)がほかの相続財産と合算され相続税額を計算することになります。なお非課税限度額の計算に「相続を放棄した人も含まれる」といった点は、しっかりと覚えておきましょう。また死亡保険金は、相続放棄した人でも受け取ることができます。

しかし相続放棄した人が死亡保険金を受け取った場合でも「非課税枠は適用されない」という点には注意が必要です。

保険金の受取方法にも注意

生命保険に節税効果を求めるなら、保険金の受取方法にも気をつける必要があります。みなし相続財産の非課税枠が適用されるのは、法定相続人のみとなるため、受取人に法定相続人を指定することが大切です。万が一保険金の受取人が先に亡くなった場合は、ほかの法定相続人に受取人を変更する手続きを忘れないようにしましょう。

保険金を受け取るのは、できれば配偶者以外の相続人が理想的といえます。なぜなら配偶者には、相続税に関して「配偶者の税額の軽減措置」が設けられているからです。配偶者の税額の軽減とは、相続税に関して以下の金額のどちらか多い金額までは非課税になるという制度です。

・1億6,000万円
・配偶者の法定相続分相当額

配偶者には、このような税額軽減制度が利用できるため、以下のような受取人を設定するとより一層節税効果を高められることが期待できます。

・子どもがいる場合:配偶者以外の子ども
・子どもがいない場合:両親や祖父母
・子どもも直系尊属もいない場合:兄弟姉妹の誰か

課税される税金の種類に応じた適切な処理を行うことが大切

保険金に税金がかかる場合は、税金の種類によって手続き方法が異なります。例えば相続税の対象の場合は、ほかの相続財産と合算し相続開始があったことを知った日(亡くなった日)の翌日から10ヵ月目の日までに税務署へ申告および納税をしなければなりません。贈与税や所得税の対象の場合は、確定申告が必要です。

確定申告の時期は、保険金が支払われる原因が発生した年を基準にする点に気をつけましょう。例えば年をまたいで保険金が支払われたとしても原因が前年に発生した場合は、翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告を行わなければなりません。また所得税の課税対象になる場合に確定申告を行う必要があるのは、利益が出た場合のみです。

例えば受け取った保険金額が800万円で支払った保険料総額が700万円の場合は、100万円(800万円-700万円)が一時所得の対象となります。一時所得金額は50万円の控除があるため、課税対象となる一時所得金額は50万円(100万円-50万円)です。

保険金を受け取る際は、どの税金の課税対象となるのかを把握するだけでなく課税対象に応じた計算を行い適切な申告を心がけましょう。

新井智美
新井智美
トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員、コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,000本以上。