JR九州 <9142> は与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチームの検討委員会で、九州新幹線長崎ルートへのフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)導入について、断念する意向を正式に表明した。安全面の懸念が残るうえ、採算が合わないためで、全線フル規格での整備を求めている。

在来線特急と新幹線を乗り換えるリレー方式で2022年に暫定開通し、その後FGTを導入する計画が事実上白紙に戻ったわけだが、フル規格での全線整備を求める長崎県と負担増に難色を示す佐賀県の意見が分かれているだけに、今後の議論は難航しそうだ。

JR九州は全線フル規格での整備を希望

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JR九州・長崎駅(写真=jack_photo/Shutterstock.com)

JR九州は与党検討委員会で、FGTの導入を断念し、全線フル規格での整備が望ましいとの意向を伝えた。リレー方式での暫定開通が固定化、長期化すると、経営上の問題になることも訴えている。

JR九州は、FGTの車両費が一般の新幹線に比べて2倍前後かかり、導入すれば年間50億円程度の負担増になると試算している。国土交通省の技術評価委員会が7月、不具合発生で約2年半にわたって中断しているFGT耐久走行試験の再開を見送ったこともあり、安全面の課題が解決していないとも判断した。

フル規格を選ぶ理由となったのは、地元の念願である関西乗り入れを実現するのに望ましく、時間短縮効果が最も大きいことだ。フル規格新幹線での運行なら、高速バスなどとの競争に一定の対抗力を持つとみている。

JR九州の青柳俊彦社長は記者会見でFGTについて「(開発状況が)事業者として安心して採用を決める段階に至っていない」として導入困難との考えをあらためて示した。FGTに代わる方式については、検討委員会での議論を見守る方針だ。

長崎県や九州経済界からフル規格整備に賛同の声