本記事は、内藤誼人氏の著書『10秒で人を操る心理術』(PHP研究所)の中から一部を抜粋・編集しています。

会話
(画像=nenetus/stock.adobe.com)

【心理術】
記憶を書き換える会話術

人は自分の記憶に絶対の自信をもっています。しかし、本当は、人の記憶ほど当てにならないものはないのです。ここでいう記憶とは、物忘れとか、ど忘れとか、そんなレベルのお話ではありません。

人の記憶というものは、忘却どころか、タチの悪いことに、他者によって簡単に書き換えられてしまうほど不確かなものなのです。

ケント州立大学のマリア・ザラゴザは、記憶の捏造ねつぞうについて興味深い実験をおこなっています。

まず、255名の大学生に5分間の強盗場面のビデオを見せました。

そして上映終了後にビデオの内容について質問していくのですが、このときビデオ中にはまったくなかった情報を、彼らの記憶に埋め込んでいったのです。

たとえば、犯人は手袋をしていなかったのに「あの手袋をはめた犯人ですが……」と質問したり、犬などいなかったのに「吠えている犬がいたと思いますが……」と聞いてみたりして、暗示をかけたのです。

そしてザラゴザの実験によると、「犬」なら「犬」の暗示を1回だけかけた場合よりも、暗示を3回かけた場合のほうが、記憶のゆがみが6倍以上も大きくなっていたといいます。

あたかも「決まったこと」のように前提を盛り込む

この記憶の書き換えは、通常のビジネスシーンでも大いに使えます。

たとえば相手に対して「たしか本日ご契約いただけるというお話でしたが……」

「Aプランでのお申し込みということでしたが……」などと前提を盛り込みつつ、話を進めてみるのです。

相手は「あれ? そんな話したっけ?」と思いながらも、契約まで話を進めてしまうかもしれません。

平然と話せば記憶は書き換えられる

《人間心理を知っておこう》
陽気な声で話しかけよう

誰でも陽気な声で話しかけられると、それだけで嬉しくなるというもの。反対に陰気な声で話しかけられると、とたんにイヤ~な気分になってしまうはずです。

コロンビア大学のトリー・ヒギンス博士は75名の大学生にテレビゲームをやらせ、一方のグループには陽気な声で「うまいな! うまくプレイできたらポーカーのチップをあげよう」と声をかけました。

しかし別のグループには、まじめな声で声をかけました。

実験を終えて自由時間にし、実験者がいなくなっても学生たちが同じゲームをやり続けるかどうかを調査したのです。

すると、「陽気な声」をかけられたグループでは70.7%が同じゲームを選んだのに対し、「まじめな声」をかけられたグループでは44.1%しか同じゲームを選びませんでした。

つまり、陽気な声をかけられたグループほどそのゲームが楽しくなり、もっとその気持ちを持続させたいと思ったのです。

だから、とくに励ましの言葉やねぎらいの言葉を人にかけるときは、努めて陽気な声を出すようにしましょう。それだけで、相手にはちゃんとメッセージが伝わるのです。

イメージとしては、〝元気な子どものはずんだような声〟が最高です。

10秒で人を操る心理術
内藤誼人
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。
『世界最先端の研究が教える すごい心理学』(総合法令出版)、『いちいち気にしない心が手に入る本』(三笠書房)など著書多数。

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