世界屈指の投資銀行として名高い米国のゴールドマン・サックスが、一般消費者向けのオンライン・バンキング・サービス開始で顧客層の拡大を狙っている。1ドルから開設できる高利率貯蓄口座、P2P、住宅ローンといったファミリー商品から、中小企業向けの融資プラットフォームまで、多くの消費者にとってより身近なサービスを提供する。

貯蓄口座は高利率がウリ

ゴールドマンは4月中旬に米ジェネラル・エレクトリックが運営するファイナンシャル・サービス会社、GSキャピタルから買収したオンライン・デポジット(預金)・プラットフォームを、子会社であるゴールドマン・サックス銀行USA(GS銀行)の新サービスに採用。

一般家庭をターゲット層に絞った新しいオンライン貯蓄口座は、「低額預金で高利率」という、うたい文句が示すとおり、年率1%から2%とライバル企業よりも高い利率をウリにしている。個人の顧客は下限ナシで25万ドル(約2778万5000円)まで預け入れることができ、ACH決済(米国で給与や公共料金の支払いに利用されている小口決済ネットワーク)の手数料も無料など、消費者にとっては嬉しい特典が盛り沢山だ。

またすべての預金は連邦預金保険公社(FDIC)によって保護されているという点も、大きな安心感につながる。ほかにも小口個人融資や住宅ローン、中小企業を対象にした融資やリスク管理など、GS銀行を通して次々に新たな商品を登場させ、精力的に主力事業の幅を広げる構えだ。

「世界最強の投資会社」として知られるゴールドマンだが、2013年には3億6700万ドル(約408億1040万円)もの高額ボーナスが上層部21人に支払われていたことが発覚し、株主を始め多くの消費者から猛烈な反感を買った。利益面でも第1四半期の決済報告では、債券トレーディングなどが市場変動におされ、利益、収入ともに大きな落ち込みを見せている。それに加え、今年4月には2008年の金融危機の引き金となった住宅ローン担保証券の販売方法の責任をとり、民事制裁金を含む50億6000万ドル(約5626億7200万円)の支払いに応じるなど、決して順風満帆というわけではなさそうだ。

庶民に窓口を開放し、新開拓地を切り開くことで、こうしたピンチをチャンスに転換させることができるのか--。(ZUU online 編集部)