フィリピン
(写真=PIXTA)

東南アジアの経済成長が著しいと、ニュースでよく言われています。しかし現地にでもいかなければ、なかなかその状況を実感することは難しいでしょう。現地を何度も訪問できればよいですが、コストを要してしまいます。そこで、今後伸びる国や地域を探す一つの方法として、その国や地域のGDPや経済成長率の推移、株価指数を確認して傾向をつかんでみましょう。単純ではありますが、成長国・地域を選別するには最適な方法となります。

IMF(国際通貨基金)「2016年1月世界経済見通し(改訂見通し)」によれば、2016年における東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済成長率の見通しは4.8%で、2017年は5.1%になると想定されています。かたや日本を見てみると、2016年の成長率の見通しは1.0%、2017年の見通しは消費税増税の影響も織り込み0.3%と低下傾向になっています。こうしてみると圧倒的にASEANの成長率が高く、中国経済の不透明感や原油価格下落にもめげず着実に成長を遂げそうな勢いにあることがわかります。今後も期待してよいでしょう。

今回はそのASEANの中でも「フィリピン」を取り上げ、フィリピン経済の動向を追っていきたいと思います。

フィリピンの名目GDPは着実に増加している

フィリピンの名目GDP(ドル換算)を10年単位で見てみると、アジア通貨危機やリーマン・ショックなどにも負けず着実に増加しています。1980年から2014年までのフィリピンの名目GDPは、30数年で7倍以上となっており、大きな後退もなく成長しています。

フィリピン 図1

これは株価指数でも確認ができます。フィリピンのここ10年間の株価指数(フィリピン総合指数)は、リーマン・ショック時に大きく下がったものの、その後に株価指数は3倍以上となっています。リーマン・ショック後に株価指数が3倍以上となった国・地域はそれほど多くありません。ここからもフィリピンの経済成長が著しく、世界経済という外的要因(逆風)にも打ち勝っていることがわかります。

それでは、同時期の日本の名目GDP(ドル換算)と株価指数はどうでしょうか。日本も1980年代は経済成長を遂げていた時代ですので、名目GDPは増加しています。ただし、バブル崩壊以降は、4.5兆ドル前後でほぼ横ばいが続いています。日本の株価指数はどうでしょうか。ここ10年の日経平均株価の推移をみてみると、ようやく元に戻ったという状況です。フィリピンとは大違いであることがわかります。

フィリピン 図2

さらに、直近の経済指標についても確認しておきましょう。フィリピンの名目GDPは2011年以降、大きく増加しています。人口も着実に増加していますが、1人当たりGDPでみてもしっかりと拡大しています。ただ、1人当たりGDPが3000ドルを切っており、まだまだ新興国の中でも経済的に豊かとまではいい難いのが現状です。裏を返せば、発展の余地があるともいえます。

フィリピンの経済指標

出所:フィリピン統計庁
出所:フィリピン統計庁

一方、日本を見てみると、直近の名目GDPが大きく減少していることがわかります。これは円安ドル高が背景にあります。人口もフィリピンとは異なり減少してきており、1人当たりのGDPも減少傾向にあります。こうした状況をかんがみると、勢いがあるフィリピンの方が成長性は期待できるといえるでしょう。

日本の経済指標

出所:内閣府
出所:内閣府

足元の株価は下落傾向だが、チャンスととらえることも可能

フィリピンも日本も2015年を境にして株価が下落しています。これは、中国景気の不透明感や資源価格の下落、米国の利上げに伴う新興国からの資本流出といった外的要因によるものです。つまり、経済状況が悪化したことが主要因ではありません。

こうした外的要因により株価が下がっている時は、調整期間と捉えてよいでしょう。株価指数は景気の上下を端的に表すものですが、こうした調整期間は必ずあるもので、経済成長をしっかり遂げている国・地域はその後、どこかで反転していきます。つまり、調整期間中に投資を行うことはチャンスともいえるのです。

フィリピンは足元でも経済指標は悪くありません。2015年7~9月期における実質GDP成長率は、内需が堅調で前年比+6.0%となっています。前期の+5.8%から小幅ですが加速しているのです。個人消費が堅調なフィリピンは、長期的な成長が見込めます。今後も不動産投資を行ううえで、注目すべき国といえるのではないでしょうか。

(提供: フォーランドリアルティネットワークジャパン

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