世界約190カ国の就労環境調査から、有給休暇が最も少ない国と多い国では、6倍の差があることが判明した。

全体的にアジア圏では有給休暇環境が発展しておらず、1位のフィリピンを筆頭に、タイ、中国、香港、シンガポール、台湾などが続々とワースト10にランク入り。

日本の有給休暇は15.3日で、有給休暇が少ない国の58位だ。ランキングを見る限り、アジア圏の中では比較的のんびりできそうな印象を受けるが、実際にはより多くの休暇を求める声が高く、有給休暇が多い国と比較しても約2分の1しか休んでいないことになる。

ワーカホリックはアジア圏の風土病?雇用側に意識改革が必要

このランキングは、世界銀行が発表した「2016年労働市場データ」に基づいて作成された。

最も有給休暇が少ない国、フィリピンでは年間の有給休暇が1週間にも満たないのに対し、最も多いフランス(30日)などでは1カ月近くのんびりしながら給料をもらえる。つまりフィリピンの6年間分に値する有給休暇が、1年間でとれるということになる。

日本でも労働基準法のもと、全労働日の最低8割を半年以上を継続勤務している労働者には、有給休暇をとる権利が与えられているのだが、定められた日数などは勤務時間によって異なる。

平均15.3日というものの、労働省の調査からは有給休暇の平均取得率が50%ということも判明しており、年間5日以上の有給休暇消化を義務づける法案などもだされているが、現実と理想のギャップを埋めるには、まだまだ時間と戦いを要しそうだ。

欧米では「ワーカホリック(仕事中毒)」の代表国とされている日本だが、アジア圏では「休まず働く」というある種の風土病が、広範囲に定着してしまっているようだ。労働者が気がねなく有給休暇を消化できる環境づくりに、雇用側が率先して励むべきである。

これに対して、フィンランド、英国、デンマーク、スウェーデンなど、欧州国の多くは、労働側がワークライフバランスをとりやすい環境が整っているといえるだろう。

しかし他国からはうらやましいかぎりの環境も、これらの国の人々にとっては「当たり前」のせいか、「休みが少ない」という不満の声も聞こえてくる。人間は与えられれば与えられるほど、欲の生まれる生き物なのだろう。