DC
(写真=PIXTA)

確定拠出年金を導入する企業が増加している。2016年5月末には企業型確定拠出年金の加入者が約578.5万人となり、過去最高となった。そして、2017年1月からは公務員や専業主婦等を対象に個人型確定拠出年金の加入対象者も拡大する方向にある。

加入者拡大により、盛り上がりをみせる確定拠出年金であるが、メリットばかりではない。知っておかなければ損をするケースもあるのだ。

まずは確定拠出年金のメリットを確認

確定拠出年金には企業型と個人型の2種類がある。自営業者と勤務先に企業型確定拠出年金のない会社員が、個人型に加入できる。企業型は企業型確定拠出年金を導入している企業に勤める会社員が加入する。

確定拠出年金の特徴は、毎月の掛金を加入者自らが運用し、老後資産を形成することだ。その最大のメリットは、3つの税制優遇にある。まず、加入者が支払う掛金は全額、所得税や住民税の計算時に所得から控除できるため、毎年支払う税金が少なくなるという仕組みが設けられている。次に、運用時に生じる収益も非課税となる。そして最後、受取時には一時金としてもらう場合には、退職金と同じ扱いとなり「退職所得控除」という税制優遇が適用される。年金として受け取る場合にも、「公的年金等控除」という税制優遇がある点がメリットだ。

確定拠出年金のデメリット 大きく3つ

続いて確定拠出年金のデメリットについて見ていこう。

1. 原則60歳まで年金資産の受け取りが不可能

確定拠出年金は老後資金の自助努力を支援することを目的とした制度のため、年金受取は原則60歳からとなっている。中途解約し、脱退した後に年金資産(脱退一時金)を受け取るには厳しい制限が設けられている。

個人型で、脱退一時金を受け取るためには、「通算拠出期間が3年以下」など諸々の条件がある。しかし、2017年1月からの個人型の加入対象者拡大に伴い、脱退要件はさらに厳格化される。

2. 手数料が掛かる

他の金融商品と同様、確定拠出年金では口座管理や運用にあたって諸々の手数料が掛かる。

たとえば、口座管理等のための手数料として、以下のものが挙げられる。

・ 国民年金基金連合会への「一時金2,777円」と「月額103円」
・ 運営管理機関(金融機関)へ「月額数百円」
・ 事務委託先金融機関へ「月額64円」

また、投資信託等の運用商品では、資産残高に応じて年間数%の信託報酬が掛かる。

そのため、確定拠出年金に加入する際には、各金融機関の手数料水準を調べていただきたい。

3. 元本割れのリスクがある

積み立てた金額は、金融商品で運用されるため元本割れのリスクがある(※元本保証の運用商品もある)。確定拠出年金とは、掛金・運用商品を自分で決めて運用していく自己責任型の資産形成手段というわけだ。

個人型確定拠出年金を始める前にしておきたいこと

このように、解約や脱退一時金を受け取る方法は存在するものの、要件を満たさなければ脱退は難しいことがわかる。そのため、個人型確定拠出年金の加入を検討される場合には、デメリットを含めしっかりと制度を理解しておくことが必要だ。

毎月の掛金に無理がないかどうか、最終的にどの程度の老後資金としたいのかシミュレーションをしておこう。このほか、確定拠出年金を行うにあたって利用する金融機関の手数料がどの程度になりそうか、確認をしておきたい。コストも極力安いにこしたことはないからだ。

確定拠出年金をうまく利用するためには、制度を理解し、税制優遇をつかいこなすこと、そして無理のない範囲で積み立てを行うことが大切だ。それによって、堅実に老後に備えることができるだろう。(提供: 確定拠出年金スタートクラブ