walt-disney

大ヒットを記録したディズニー映画『アナと雪の女王』の興行成績は、7月現在で日本映画界歴代興行成績3位となる246億円に達しました。アカデミー賞でも「長編アニメーション賞」「主題歌賞」をダブル受賞し、世界中でも『トイ・ストーリー3』を抜いて歴代アニメーション興行収入第1位を記録しています。ヒットの要因にはダブルヒロインによる魅力的なキャラクター作り、名作童話をベースにした誰もが共感できる普遍的なテーマ、素晴らしい主題歌に加え、「各国で展開されたローカル戦略」などがあげられています。

作品の吹き替えクオリティも重視するディズニーは、「ディズニー・キャラクター・ヴォイス・インターナショナル」という、各国の吹き替え戦略を担当する専門の部署を世界中においています。それぞれの国の母国語で直接ストーリーを届けることで、字幕では限界のある細やかなニュアンスを伝えることができ、より深く共感を呼ぶことができます。本日はこうしたディズニーの努力と戦略に見る、ディズニー映画復活の歴史と今後の映画事業について詳しくみていきたいと思います。


ディズニーアニメの挫折と復活の歴史

ディズニー映画の歴史は1937年の『白雪姫』から始まった長編アニメの歴史から今までに、いくどとなく低迷と復活を繰り返してきました。創設者のウォルト・ディズニー自身が引っ張り、40年代、50年代の最初の黄金期では、『ピノキオ』(40年)、『シンデレラ』(50年)、『眠れる森の美女』(59年)など数々の名作が生まれました。しかし1966年のウォルト・ディズニーの死去の後、アニメーション部門は徐々に縮小されてしまいます。以後低迷期に入ってしまい、80年代前半までに3〜4年に1本しか映画も制作されなくなってしまいます。その後80年代後半から90年代、『リトル・マーメイド』(89年)、『美女と野獣』(91年)、『アラジン』(92年)などのミュージカルアニメが大ヒットし、再び黄金期を迎えます。しかし2000年代になって、『アトランティス/失われた帝国』(01年)、『トレジャー・プラネット』(02年)などが不振に終わり、さらにピクサーやドリームワークスアニメーションの快進撃に押されてまたもや低迷期に入ってしまいました。

そんな中、再び転機がやってきたのが、2006年にディズニーがピクサーを買収し、クリエーティブ・チーフ・オフィサーにピクサーのジョン・ラセターらを迎え、ディズニーのクリエーション部門に新しい風を入れたことです。ジョン・ラセターはチームによるストーリー作りなどピクサーでの手法を持ち込み、ディズニーアニメの立て直しを計っていきました。その結果『塔の上のラプンツェル』『シュガー・ラッシュ』などのヒット作を作り上げていきました。こうした流れは2013年の『アナと雪の女王』の成功へとつながっていきます。そして、2015年には『スターウォーズ・エピソード7』が公開される予定です。ディズニーは創生期からの低迷を乗り越え、今3度目の黄金期を迎えています。