ガソリンスタンドが水素ステーションへ?
燃料電池車を普及させるための絶対条件として、ガソリンスタンドと同様の水素ステーションを全国に展開することが必要ですが、水素ステーションは水素を供給するために必要な圧縮機や冷凍機などで構成されるものです。電気自動車の大きな課題としては充電ステーションの拡充の普及が挙げられるため、現在販売台数に結びついていない状況です。水素を燃料とする燃料電池車の普及に向けて今後の水素ステーションの展開と販売の関係はどうなるでしょうか。
燃料電池車などの環境技術開発を進めている
トヨタ自動車は6月25日、東京都江東区のお台場にあるメガウェブ内トヨタシティーショーケースで、現在開発中である燃料電池車の進捗状況説明会を行いました。この説明会にはトヨタ自動車取締役副社長の加藤光久氏、木曽聡常務役員、佐藤康彦常務役員が出席し、質疑応答などの対応にあたりました。トヨタは現在環境技術開発として、燃費向上とエミッション低減を目指す省エネルギー、そして電気や水素をはじめとした代替燃料を利用する燃料多様化への対応を基本方針としています。
その中でも燃料多様化への対応においては水素に注目することで水素を将来有望なエネルギーに位置づけている考えです。その水素を使った自動車が燃料電池車で、このFCVについては20年に渡る開発を続けており、FCVのキモになる高圧タンクやFCスタックなどのFCシステムを自社で開発していることから、今回の説明会で披露されたセダンタイプのFCVはその技術の結晶とも言えます。
FCVとは
FCVは燃料電池自動車のことで、水素と酸素を燃料として使用している自動車です。この2つを化学反応させることで電気を作る燃料電池を搭載して、その燃料電池で作られた電気でモーターを駆動させるという仕組みです。燃料電池は内部に電気を蓄えるものではなく電気を作り出す装置で、燃料の水素は車載の高圧水素タンクへ充填され酸素は大気中の空気から取り入れる仕組みとなっています。モーター起動時は、燃料電池のマイナス極へ水素を供給し、ここで水素は内部の触媒と反応し活性化されることで電子だけが分離します。分離した電子がマイナス極とプラス極を結ぶ回路へと流れてこの回路を流れるときに電気を作り出す発電の仕組みです。FCVは、EVやハイブリッド車のモーター走行時と同じ点としては電気でモーターをまわす点があげられますが、水素さえ充填されていればすぐに走行に必要な電気を作り出すことが可能な点が相違する点です。
ですからEVやプラグインハイブリッド車のように走行のための蓄電池は基本的に必要としませんが、トヨタFCVではモーター起動時や加速時などの効率を考えることで減速時に回収された電気を蓄えるニッケル水素の補助バッテリーも搭載するハイブリッド方式を取っています。次世代の動力として魅力的な燃料電池技術を搭載したクルマが今回発表されたFCVです。そして現在はFCVに加えて小型電気自動車の開発も進められており、これら小型EV、HV、PHV、FCVという異なる燃料を使用するラインアップを揃えていくことで自動車に対する新たな多様化に対応する取り組みを行っています。