グーグルの第2四半期の決算を見ると売上げが前年同期比22%増の159.6億ドルとなっており、利益で見ると34億2000万ドルとなっています。アナリストはグーグルの第3四半期について、売上高を163億7000万ドル、1株あたりの利益を6.63ドルと予想しています。検索事業がこの所、頭打ちとなってきているグーグルの次の収益の柱となるものは何なのでしょうか。
世界最大の広告会社グーグル
グーグルはよくテクノロジー企業であると称されます。確かにグーグルアースや次世代ウェアラブルデバイスの開発など、次々と革新的なサービスを発表してきました。しかし、何で儲けているのかと言えば、今もまだ収益の柱はリスティング広告なのです。つまり、収益の点に着目をすれば、グーグルは世界最大の広告会社と言えるでしょう。
グーグルが検索連動型のリスティング広告を使って世界最大の広告会社となった経緯は、1990年代後半に遡ります。インターネット黎明期と言えるこの頃、日本を含めた各社ネットを使ってどう収益をつけるべきかと模索していました。検索エンジンも次々と開発され、NTTグループのラボ等によって和製検索エンジンが次々と開発されていきます。
しかし、莫大な研究費をかけても回収出来る見込みがありません。和製検索エンジンを手がけた各社は撤退を図るか、オーガニックの検索結果そのものに広告を入れてしまいユーザーの離脱を招いたのです。一方のグーグルは着実にシェアを伸ばし、ユーザーの検索ワードと絡めた検索連動型のリスティング広告の開発によって急成長を遂げます。この収益化のタイミングと、画期的な広告メニューによって、グーグルは世界最大の広告会社となったのです。
スマートフォン市場で、水平分離モデルでアップルと戦う
PCの検索エンジンにて成功を納めたグーグルですが、スマートフォン用のOSであるアンドロイドを開発して市場を席巻していきます。今やシェア1位となり、市場の8割を占めるOSとなりましたが、ライバルであるアップル社のiPhoneがデバイスからOS、コンテンツマーケットまでを一気通貫で手がける垂直統合モデルであるのに対し、アンドロイドはOSをハードウェアを開発するメーカーに提供する水平分離モデルなのです。
このモデルで成功を納めた企業といえばウィンドウズを開発したマイクロソフトです。同社は、スマートフォン時代においては明らかにシェア争いに破れてしまいましたが、それでも今もまだ世界中のパソコンにウィンドウズがインストールされており、ライセンスによる莫大な収益をあげています。
しかし、グーグルが提供するアンドロイドは無償なのです。無償によるバラ撒きであったからこそ、シェアの8割を占めることが出来たのです。なぜ巨額の研究費がかかるOSを無償でバラ撒くのかと言えば、冒頭のグーグルの定義に戻ります。それは、グーグルが世界最大の広告会社であるからです。ユーザーがアンドロイドスマートフォンを使えば、自動的にグーグルが提供する各種サービスを使うことに繋がり、結果としてリスティング広告を表示する面を増やしているのです。革新的なOSを発表して市場の8割を手中に収めたものの、それでも儲けの本業はPC時代から変わっていません。