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遺言関連業務を取扱件数は平成20年から平成25年にかけて3割増えました。この記事では、遺言信託の仕組みと主なサービスをご紹介します。


遺言信託の仕組み

遺言信託は、公正証書遺言を作成して、それを銀行が保管し執行するという仕組みです。金融機関は遺言作成に関して、弁護士や税理士と協力して相談を受けアドバイスをしています。

公正証書遺言は証人2人の立会いが必要で、公正証書役場で作成します。遺言者が公証人に伝え、公証人が筆記して、遺言者がそれを確認し、遺言者、証人、公証人が署名押印するという流れです。公正証書遺言の原本は公証人役場に保管され、遺言者は正本を受け取ります。

遺言信託契約に必要な書類は、遺言書正本、戸籍謄本、相続財産明細などで、遺言者が亡くなった時に遺言の効力が生じます。銀行が遺言執行者になり、民法で遺言施行者は相続人の代理人とみなされます。公正証書遺言なので、遺言書を家庭裁判所に提出する検認請求は不要です。そして、銀行は遺言執行人として、財産目録の作成、遺産の管理や分配、債務の弁済などを行います。


メリットと比較

メリットの1つ目は、遺言を作成し、銀行がこれを保管して執行するという確実性です。遺言の紛失、改ざん、形式的不備により、遺言内容が実現できないという恐れがありません。遺産分割争いを防ぎ、相続人が名義変更をする手間を削減できます。相続手続は署名などに時間がかかり、相続人の人数が多い場合は特に大変です。

2つ目は、公正証書遺言を作ることです。遺言者は公証人に内容を伝えるという作成手続きであるため、病気などで文字を書くことができない方でも作成でき、この点は他の遺言方式(普通証書遺言と秘密証書遺言)と異なります。なお、推定相続人、遺贈をもらう人、それらの配偶者と直系血族は証人になることができません。

3つ目ですが、遺言では財産に関することだけではなく、子の認知や未成年後見人指定など、身分に関する行為もできる点です。たとえば、遺言で認知をした場合、遺言執行者が市役所に認知届を提出します。ただし、成人している子どもを認知する場合は、民法上子どもの承諾が必要なので、その承諾が得られなければ認知届を提出できません。

それでは機能や費用の面について、遺言代用信託違いを考えてみます。まず、遺言代用信託では身分に関することは定められないので、遺言信託にしかない機能です。次に遺言書では財産の全てについて定めることができますが、遺言代用信託は一部について定めるものです。しかし、遺言信託は申込時や遺言保管中の手数料がかかり、遺言変更時にも手数料がかかります。