iphone-6-458150_6401-300x200


Apple Payが米国でサービス開始

2014年10月、米アップルはiPhoneで支払いができるサービス「Apple Pay」を米国内で開始する事を発表した。対応している機種は「NFC」機能を搭載した「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」で、2015年に発売を予定している「Apple Watch」でも対応を予定している。

決済はクレジットカードやデビットカード経由となり、新規登録の際にはカード表面を撮影すれば情報が読み込まれて利用可能になる。対応しているカードはVisa、MasterCard、American Expressと、Bank of America、Capital One、Chase、Citi、Wells Fargoの銀行が発行したデビットカードだ。

「Apple Pay」を使える店は、まずアップルの直営店から始め、マクドナルド、ウォルグリーン、スターバックスの他、百貨店や大手ディスカウントチェーン店などなど米国内の約22万店舗で利用可能になる。


NFCの普及をiPhoneが加速させるか

2011年に米グーグルは「Google Wallet」を発表した。そこで「Google Wallet」に参加していないキャリアは共同してNFCを促進するための業界団体「ISIS」を立ち上げたが目立った活動成果は見られない状況だった。

今回、アップルがNFCを搭載したiPhoneを投入した。これは多くの人が予想していた事ではあったが、その仕組みが十分に練られていたことが改めて評価されている。

一つはセキュリティーの強さで、クレジットカード番号を使わずに固有のDevice Account Numberが割り当てられ取引に利用されるという仕組みだった。アップル側は購入履歴などを保存せず、認証も「Touch ID」の指紋認証を利用する事でさらにセキュリティーを強化している。

そしてもう一つが使いやすさだ。これも前述したが、クレジットカードは写真撮影で登録できるので、Google Walletなどの用に手入力の必要がないのだ。


日本の「おサイフケータイ」との互換性は無いが…

この便利なApple Payだが、日本での普及は簡単には進まないと見られている。現在日本で普及している「おサイフケータイ」の基本技術はApple Payと同じNFC技術ではあるが、「おサイフケータイ」はソニーが開発した日本独自規格のFeliCaを採用している。一方Apple Payが採用しているのは国際標準準拠(Type A/B)のNFCチップで、FeliCaシステムとは通信できないのだ。従って現在国内に置かれているFeliCa対応端末では国際標準準拠のNFCチップと通信できない。

ただ、一部のコンビニでは国際標準準拠(Type A/B)のNFCチップとも通信できる端末を導入している店舗が少ないながらも出てきており、これらに関してはソフトの更新で対応できるとされている。Apple Payが日本で普及するためには、まず最も決済ビジネスで事業規模が大きいコンビニに普及させることが近道だ。一部のコンビニでは端末も国際標準準拠のNFCにも対応したものが導入され始めている。国内最大手のパナソニック システムネットワークスが2013年秋頃からNFCとFeliCaの両方に対応した端末を出荷しているからだ(タッチ部にNFCとFeliCaのロゴがあれば該当製品)。後は端末とサーバー側にApple Pay対応のアプリケーションを導入すればシステム側の準備は整う。

経済産業省は「クレジットカード決済の健全な発展に向けた研究会」の中間報告で、国内の決済では約83%が磁気ストライプを使用しており、安全性の面から世界の趨勢に遅れていると指摘した。そして2020年の東京オリンピックでは大量の外国人が日本に訪れることを踏まえて、決済端末を100%IC化したいとしている。このような動きは端末を含めた決済インフラの見直しを促進すると考えられるので、Apple Payは日本においても絶妙なタイミングで普及を開始するかもしれない。

【関連記事】
田町駅前の今後とは?再開発が田町駅前で進む背景
Apple第2四半期決算分析:配当狙いの成熟企業銘柄
日経新聞が無料…証券口座開設のお得な裏ワザとは?
アリババ上場で話題沸騰!初心者でもわかる米国株の買い方
ネーミング戦略がカギを握る?日系企業による中国進出の成否