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東京都が新設する『再生可能エネルギーファンド』

10月24日、東京都は再生可能エネルギーを都内や東北地方などで普及拡大するため、『官民連携再生可能エネルギーファンド』を創設することを決め、その事業者としてJAG国際エナジー株式会社とスパークス・アセット・マネジメント株式会社を選定した。東京都では、消費電力に占める再生可能エネルギーの利用割合を2020年までに20%にすることを目指しており(2012年時点で6%)、再生可能エネルギーファンドはその一環としての取り組みである。


『再生可能エネルギーファンド』とは

まず、再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存する熱、バイオマス等、資源が枯渇せず繰り返し使え、発電時や熱利用時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど排出しないエネルギーである。
そして、再生可能エネルギーファンドは、再生可能エネルギーによる発電事業に対して投融資を行うために構成される投資事業体である。都内を投資対象とする「都内投資促進型ファンド」と東京都外を対象とする「広域型」とがある。


見直しを迫られる『再生可能エネルギーの固定価格買取制度』

再生可能エネルギーの比率を高めていくためには、電力会社自身がその比率を高めていくのが望ましい。しかし、より迅速に進めるためには民間事業者の力を借りることが効率的である。そこで、民間事業者等が再生可能エネルギー源を用いて発電した電気を、国が定める固定価格で電力会社が買い取ることを義務づける「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が、2012年から始まっている。
ところが、最近になって、受給バランスが崩れる、あるいは送電線の容量がオーバーするとして新規契約を受け付けない電力会社が増えてきている。今年9月、九州電力は「再生可能エネルギーによる発電設備の接続申し込みを、9月25日から数か月間にわたって管内全域で保留する」ことを発表している。これは、2012年の『固定価格買取制度』の発足以来、導入が進んできた日本の再生可能な自然エネルギーの広がりに、波紋を投げかけた。
その背景には、元々この制度は、民主党政権時代に制定されたものであり、自民党政権に代わり原発推進へとエネルギー政策が転換されたことで、制度自体の見直しが議論されているということがある。また、出力が不安定な太陽光・風力などの電力受け入れを拡大しながら、電力の安定供給を維持するためには、電力会社に投資負担が増え、電力会社の財務に問題が生じ、電力会社の経営を圧迫してしまう。