10月8日、ウォールストリートジャーナル電子版は、スウェーデンの家具大手イケア・グループが保険業に進出する記事を掲載した。イケアは、既に10月1日からスウェーデンの一部店舗で児童・妊婦対象の保険「オミファル」の販売を開始している。これは保険商品のソフトローンチ(対象を限定した事業開始)であり、スウェーデン国内のロイヤルティープログラム会員250万人、全世界で5900万人もの顧客名簿が、ターゲットと見られる。

そして、10月24日、ニトリホールディングス〈9843〉は、東京赤羽店にて「ニトリの保険」の名称で保険代理店を試験営業することを発表した。8月より転職情報のDODAなどに、損害保険や生命保険募集人の求人が公開されていたが、当初は「社内向け保険」と見られていた。だが、ニトリが展開するニトリモールでは、相模原店で「保険見直し本舗」がブース展開。そして、他業種が続々と保険代理業参入の動きに合わせて、自ら代理店経営に乗り出した。

生命保険・損害保険とも、異業種からの参入が目覚ましい。例えば、イオン〈8267〉は、店舗モール内でイオン保険マーケットを展開し始めた。その内容は、医療保険や年金保険から海外旅行保険、火災保険などと多種に及ぶ。特に、注目は積立型の保険商品だ。こうした商品はひとりでは加入しないし、顧客層もゆとりのあるシニア層を中心としている。


保険業界参入は、序章に過ぎない

ソニーはソニー生命、ソニー銀行、ソニー損保と金融3社を立ち上げたが、その理由はモノ作り企業の資金集めの苦労からだった。保険代理業は、契約者の毎月の保険料から手数料収入が入って来るわけで、利益の見通しが建てやすい。季節商品といわれるホームファニチャーの営業とは、全く異なる形のない商品展開だ。

既に、デベロッパー進出を果たしているところから、家具からまちづくり、さらにイケアに倣ってホテル業に進出しようと検討するかもしれない。その際、長期で資産を集めて運用できる金融業界に新規参入し、潤沢なキャッシュを事業の多角化に使っていく目論見と考えられる。同じモデルは、現在のソフトバンク <9984> であろう。同企業は、通信事業による安定したキャッシュを、次の投資にあてることでグループ全体の成長を狙っている、IT関連の投資会社である。ニトリも、ホームファニチャーを超えて多角化するために、キャッシュを生む事業が会社の「エンジン」として必要なのだろう。

既存の保険業者に対してはもちろん、イオンなど異業種からの参入が相次ぐ保険業界で勝ち抜くことは、ニトリにとって大きな挑戦である。今後の展開に要注目だ。

(ZUU online)

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