ヤフーがカービューの完全子会社化

10月22日、ヤフー <4689> は、連結子会社の(株)カービュー <2155> に対してTOB(株式公開買い付け)を実施し完全子会社することを、取締役会で決議したと発表した。カービューは、Yahoo!JAPAN内で自動車情報サイト「carview!」を運営している東証マザーズ上場企業だ。

買い付け価格は普通株式1株863円で、買い付け期間を10月23日から12月8日とし、取得総額は最大約50億円となる見込みだ。買い付け上限は無く、応募株数次第では上場廃止となるため、東京証券取引所はカービューを監理銘柄に指定した。

ヤフーは、同社の株式を52%保有する筆頭株主で、発表によれば、発行済みの22.2%を間接的に保有している米Microsoftは、公開買い付けに応募する意向を示している。


自動車関連事業の強化へ

ヤフーはカーライフ情報サービスを強化するために、2012年12月には親会社のソフトバンクからカービューの株式52.2%を取得して連結子会社にし、カービューのSNSとヤフーのEコマースを連携させるなどしてきた。そして今回、完全子会社化することで、さらなる自動車関連事業の強化を図ろうとしている。

ヤフーはカービューを完全子会社する理由について「一体経営によって意志決定が迅速になり、カービューがグループ内での自動車関連サービス事業の中核会社になることで機能集約が可能になり、中長期的な収益基盤を強化できるため」としている。

これはヤフーが、リユース市場として大きな中古自動車市場でのマーケットシェア獲得のために、迅速な意志決定を可能とする体制作りを目指していることを示している。


カービューの好調な業績

カービューは中古車業界の市場規模が2007年以降横ばいであることに対して良く健闘していると言える。2012~2013年の中古車業界規模(主要企業11社の売上高計)は3,885億円となっており、台数では2012年の国内中古車登録販売台数は約401万台で、前年比6.4%増となっている。これは2011年まで10年連続で前年比割れだったことに対しては好材料だった。

カービューが発表した2014年4-9月期(第2四半期)の連結決算によれば、売上高は20億3,500万円で前年同月比12.3%増、営業利益は4億7,700万円で114.5%増、経常利益は4億9,400万円で111.1%増となり、四半期純利益は3億100万円で390.5%増だった。

売上高に特に貢献したのは、広告事業とSNS事業の収益基盤となっているディスプレイ広告やネットワーク広告の売上が増加したことだ。その他積極的な提案を行ったタイアップ広告も受注が伸びた。利益増加については増収だけでなく、コスト構造を見直した結果として販売管理費と一般管理費が減少したことが貢献した。

それらの結果、通期業績見通しを上方修正し、売上高を41億8,500万円と前回予想に対し6,700万円増加し、営業利益も9億5,000万円と前回予想に対し2億円増加、経常利益を9億7,300万円と前回予想比2億1,400万円増加、そして当期純利益は5億9,700万円の前回予想比2億6,300万円にしている。


中古車流通市場のシェア拡大へ

ヤフーは、Eコマースの拡充を図るためにオークションサイトの「ヤフオク」とカービューの連携をさらに進めるだろう。具体的には、ヤフオクからカービューへの客の流れを促し、ヤフオクユーザーにはカービューの情報を提供するなどの連携強化と合わせて、新規事業の意志決定が迅速になるだろう。そのことで、中古車査定仲介サービスや広告サービスの売上を拡大し、中古車流通市場でのシェア拡大を進めていくことになる。

(ZUU online)

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