ジブリの法則とは?
本日、日本テレビ系『金曜ロードSHOW!』では、アニメ映画『千と千尋の神隠し』が放送されています。株式相場のアノマリーには、金曜ロードショーでスタジオジブリ関連の作品が放映されると、その日のニューヨーク証券取引所をはじめとする海外市場や為替が大荒れとなり、また週明けの東京市場も下落するという「ジブリの法則」が存在します。本日の日経平均株価は、衆議院解散、日銀によるETF買い入れ期待から反転しましたが、来週火曜日は大荒れ相場となるのでしょうか。過去、14回分を調べ検証してみました。
囁かれる噂 「ジブリ効果」
日本で放映されているテレビがなぜか為替や遠く離れた海外市場に影響を与える。また休日を挟んで東京市場に影響を与える。これが本当であれば説明のしようがありません。まさに正真正銘のアノマリーと言えるでしょう。為替や海外市場も気になるところではありますが、2013年以降に放映された週明け月曜日の東京市場に焦点を絞ってみていきます。ジブリ作品が放送される金曜日の終値に対して週明けの月曜日の安値がどれだけ乖離し下落するかがポイントです。(1円以下切り捨てで計算)
2013年1月4日 「ハウルの動く城」 △99円
2013年1月11日 「コクリコ坂から」 50円
2013年7月5日 「耳をすませば」 △200円
2013年7月12日 「平成狸合戦ぽんぽこ」 44円
2013年7月19日 「猫の恩返し」 △75円
2013年8月2日 「天空の城ラピュタ」 △241円
2013年9月6日 「紅の豚」 257円
2013年11月22日「火垂るの墓」 88円
2013年11月29日「おもひでぽろぽろ」 △87円
2013年12月27日「風の谷のナウシカ」 4円
2014年1月17日 「ゲド戦記」 △160円
2014年7月4日 「もののけ姫」 △58円
2014年7月11日 「となりのトトロ」 15円
2014年7月18日 「借りぐらしのアリエッティ」 72円
米雇用統計とジブリの関係
全14回で7回がマイナス。ここでの注目点は、その月の第1金曜日が放映の日であった場合には日本市場にも大きな影響を及ぼす米国雇用統計と重なることになります。
為替やFXをやっている投資家の方であれば、間違いなく知っている指標、それが米国雇用統計です。毎月第1金曜日の午前8時30分、日本時間では午後22時30分(サマータイム21時30分)に発表されます。内容は失業率、非農業部門雇用者数、製造業部門雇用者数、週労働時間、賃金インフレの状態を表す平均時給など10数項目からなっています。特に注目度が高いと言われているのが非農業部門雇用者数で、農業部門以外の雇用者数の増減などが発表されます。投資家は、この発表の瞬間に大きく為替が変動することを理解しており、あえてそこでスキャルピングなどする人やその時間の取引を避ける人など様々です。
さらに、その変動は週明け月曜日の東京市場に影響すると言われており、今回の検証であればスタジオジブリの放映と5回重なっています。中でも2013年7月5日「耳をすませば」での200円マイナス、2013年8月2日「天空の城ラピュタ」の241円マイナス、2013年9月6日「紅の豚」の257円プラスなどトップ3の変動率となる放映すべてが米国雇用統計と同じ日だったことからも顕著にその影響が見てとれます。
結論としては、「ジブリの法則」はアノマリーが存在するとは言い難いと言えます。
「サザエさん効果」「ドリカム人気効果」
他にもエンターテイメントと株価の関係のアノマリーはあります。「サザエさん効果」に関しては大和総研投資戦略部チーフクオンツアナリストである吉野貴晶氏が「サザエさんと株価の関係」という著書を出しています。この中では、TOPIXとサザエさんの視聴率の関係を分析していて、サザエさんの視聴率が高いときは株価が下降し、サザエさんの視聴率が低いときは株価が上昇する傾向にあることを示唆しています。
また同じく大和総研ですが、タレントイメージ調査でドリカム(DREAMS COME TRUE)の人気が上昇すればTOPIXが上昇する確率が85.7%と極めて高いとのレポートがあります。それぞれ2006年、2007年の内容なので少し古いアノマリーですが、これからあらためて検証してみる価値はあると思います。 (ZUU online)