米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは12月1日に日本国債の格付けを「A1」に引き下げたことを発表した。

「A1」は、最上位から5番目の階層に位置づけられ、この階層に位置づけられる国としては、他にオマーンやチェコ、イスラエルが挙げられる。中国や韓国は、「A1」より一段階高い「Aa3」の格付けを得ている。

ムーディーズが日本の格付けを引き下げた第一の理由は、財政再建の遅れである。

日本の政府債務は1000兆円を超え、主要国の中でも最悪の水準にある。財政再建の立て直しを図るための手段としての消費増税が2017年4月に先延ばしされることが決定され、財政再建の道筋の不確定性が上昇したことが今回の格付け引き下げの大きなポイントである。

しかし、今回の格付け引き下げが日本国債市場に及ぼす影響は軽微なものと考えられる。

なぜなら、日銀が金融緩和策の一環として、大規模に長期国債を買い入れているためである。6月末の日本国債の海外投資家保有比率は8.54%。それ以外は日本国内の投資家によって買い支えられている。万が一、海外勢が日本国債売りを仕掛けたとしても、それ以外の国内投資家が買い支える公算が強い。

今回の格付け引き下げを受けて、円相場は一時的に乱高下した。国内投資家が国債を買い支える中においては問題になりにくいと考えられる今回の引き下げではあるが、短期的な攪乱要因にはなりうる。また、海外からの日本への眼差しを意識する一石となったことは間違いないだろう。

(ZUU online)

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