日本最大級の建築の専門技術展「JAPAN BUILD TOKYO」で注目の企業ブースを紹介 建設現場のDX事例と導入が始まる最新テクノロジーとは?〜建設DX展パネルディスカッション

建築・建設・不動産業界の課題解決につながる様々な最新製品群が出展される日本最大級の専門展示会「JAPAN BUILD TOKYO」が、東京ビッグサイトにて開催されました。2023年12月13日~15日の3日間にわたり、「高性能建材・住設EXPO」「施設リノベーションEXPO」「商業施設・店舗DX展」「建設DX展」「スマートハウスEXPO」「スマートビルディングEXPO」「不動産テックEXPO」といった8つの専門展が展開。出展社数は550社、そのうち海外組は300社にも上りました。

今回、私たちがレポートする「建設DX展」「スマートビルディングEXPO」では、BIM、CIM、CAD、ICT建機、次世代 足場、現場管理、工程管理システム、測量機器、業務効率化システム、建設ロボットなどの技術が集結しました。

JAPAN BUILD TOKYO

あらゆる業界において「DX」の必要性が叫ばれ、各社急ピッチで様々な施策を進めている昨今建築・建設業界も例外ではなく、他業界より高齢化や人手不足、熟練技術の継承などの業界特有の課題を抱えているがゆえにより喫緊の課題と言えます。しかし、思ったようにDXを進めることができない事業者が数多く存在するのも事実。それだけに参加者の期待度も高く、会場内の熱気は想像以上のものでした。多くの企業が、素晴らしい製品、ソリューションを提案していますが、本記事では私たちが注目する企業ブースをご紹介します。

目次

  1. アルプスアルパイン株式会社
  2. アズビル株式会社
  3. 三機工業株式会社
  4. 倉敷紡績 株式会社
  5. 編集後記

アルプスアルパイン株式会社

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“未来感あるスマートな空間づくりへの貢献”をコンセプトに、「ヒューマンマシンインターフェース(HMI)」領域を中心に展示をしていたアルプスアルパイン株式会社。同社電子部品営業本部 電子部品マーケティング部専任部長の瀬尾昌隆氏は「私たちの技術を活かして、空間デザインとテクノロジーが融合した、新しい未来感あるものを提案しています。中でも今回は“新しい入力”をテーマに、高感度静電容量センサーを活用した空中入力ソリューション『AirInput』と、空中に浮遊するスイッチアイコンと組み合わせた『ステルス空中インターフェース』を出展しています」と説明します。

従来のタッチパネルは直感的な操作が可能ですが、触らなければ操作できません。この「AirInput」は静電容量検出の高感度化を活用したユーザーインターフェースを用いることで空中でも直感的な入力が可能になります。さらに「ステルス空中インターフェース」は 社内開発した広い視野角を持つ空中アイコンにAirInput™の高感度静電容量検出技術を活用し、操作性の最適化やよりリアルな入力感の実現を目指しています。ステルス性の社内加飾フィルムを組合せ、必要なときだけスイッチが空間に表れて、使わないときは姿を消すということも可能にします。「例えば、Bluetoothを使った認証や距離測定を組み合わせることで、鍵を持った人間が近づくと何もないところからスイッチが出現。認証された人間だけそのスイッチを押して、入室することができます」(瀬尾氏)。

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これらの技術は手が濡れてたり手袋をしていても操作画面を触れずにストレスない操作が可能なので、オフィス、総合ビル、病院などの入力機器の非接触操作の他、飲食業界や工場、清掃、建設現場などでの活用も考えられるといいます。
「AirInput™はタッチ及びタッチレスでも操作可能なため、非接触操作の用途だけでなく、例えば建設現場では粉塵などでの汚れを防止するためにパネルをケースに入れることもあると思いますが、手袋をつけたままケース越しに操作することも可能です。」(瀬尾氏)

“ユーザーインターフェースは進化していくもの”という瀬尾氏。ユーザーインターフェースは、マウスからタッチパネルになるなど、UIが変わっていくごとに進化し、便利になってきました。現在のタッチパネルによる直感入力をさらに補完する意味で、タッチ面よりも手前の空間を使って直感的に操作ができたら、タッチパネルの困りごとが解消できると考えているといいます。

アズビル株式会社

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新設、既設のビルを対象とした「ビルディングオートメーション事業」、プラント・工場を対象にした「アドバンスオートメーション事業」、ガス・水道などのライフラインやライフサイエンスに関する「ライフオートメーション事業」の3事業を展開するアズビルは、今回、「ウェルネス推進で執務空間による新たな価値を、」「カーボンニュートラル推進と設備管理のスマート化で、建物に新たな価値を」の2つのテーマで出展。同社コミュニケーション部 広報グループの猪瀬千春氏は、前者のウェルネス推進による新しい執務空間の提案について、「オフィスユーザーの生産性向上や、より快適に生き生きと働ける空間を、私たちが温湿度などを適切に管理することによって提供しています。今までの空調は一元管理が主流で、ランニングコストを抑制できる反面、テナントやオフィスユーザーのリクエストを受けるのは難しいものがありました。また、最近のオフィスレイアウトは柱をなくした広い空間も多く、空調設定器を適切な場所に設置することができないケースもあります。今般、手元にあるスマホで温度調節ができるアプリを開発したことで、個人のニーズに応えられることができるようになりました」と説明します。
設備管理のスマート化による業務の効率化については、中央監視システム「savic-net™G5」を展示。同社ビルシステムカンパニー 営業本部の芦沢健児氏は「監視操作性を良く、直感的な操作がしやすくなっています。それにより監視の効率化や品質向上に繋がっています」と説明してくれます。

また、少子高齢化の影響もあり監視できる人間が減っていくことを見据え、監視業務の集約も可能に。建物ごとではなく、一か所で複数の建物を管理できる機能を提案しています。これによりオーバービューで各建物の状況を把握し、リモートによる運転代行も可能になるといいます。
「利便性が高まるだけでなく、クラウドシステムを使い、集めた情報をまとめてエネルギー管理ができるようになります。各機器の利用状況をデータで管理して分析し、傾向などを判断し、設備保全の時期も管理できるようになります」(芦沢氏)

JAPAN BUILD TOKYO

リアルタイムの監視と傾向監視についてはこれまでも求められていたが、今後は中長期での管理が求められていくのはもちろん、さらにそれをより少ない人数で、より効果を上げることが求められていくといいます。
「弊社は商品開発だけでなく、サービスや技術者を一体としたオペレーションも提供しています。モノを売るだけでなく、施工管理やその後のアフターメンテナンスも担います。また、省エネの改善提案などもできるという“強み”をお伝えしたいです」(芦沢氏)

さらに、未来型の提案として、建物ごとにある中央監視装置をクラウドで繋ぐエネルギーマネジメントシステムを出展しているのが、同社ビルシステムカンパニー 環境ソリューション本部 環境GX推進部。同部の高倉義孝氏は「現時点で考えているのは、省エネ制御やCO2排出量の可視化、再エネの有効活用です。再エネの有効活用の中に、ディマンドリスポンス(電力の需要量を供給量に合わせる手法)の話が入ってきます」と説明します。

“作る・使える・備える”制御が可能となるアプリケーションを提供することで、ディマンドリスポンスに関する予測が可能になるのだとか。現在、システム構想はできあがっているため、そこにどのようなアプリケーションを乗せるかを検討している段階だと言います。
「実際に“ディマンドリスポンスをやりたい”というお客様の要望はありますが、具体的にどうしたいか、という考えはお持ちではありません。そのため、私たちは能動的に提案をする専門家であるべきだと考えています」(高倉氏)

三機工業株式会社

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空調・衛生設備事業、ネットワークやファシリティシステム事業、電気事業、機械システム事業、環境システム事業など、多岐にわたる事業を展開する三機工業。今年度より新組織を立ち上げ、全社的にDXを推進しています。今回は「ファシリティシステム事業部」が出展。「“ファシリティシステム”のソリューションの一つとして、建物の監視を行うオープンBAシステム「SanBACS®️」を展示しています。ひと昔前は、システム内の機器を単一メーカーで統一しなければならないクローズドシステムが主流でしたが、私たちはオープンシステムを採用し、多くの案件に対応してきました。
下位層のコントローラーや中間層のゲートウェイはオープンプロトコルに対応した汎用機器を採用し、様々なメーカーの機器を取り入れ、ひとつのシステムとして構築することを可能としました」と説明するのは岸野啓明氏。
オープンシステムになれば、ユーザーは選択の幅が広がりコスト削減に繋がります。さらに、SIerとして各サブシステムを取りまとめて、ひとつのシステムを構築するSIer事業も展開していると説明します。「複数に別れていた操作端末をひとつの端末で集約できますし、各サブシステム間の連動制御を取りまとめてシステム構築することができます。三機工業としては、どのような形であってもお客様のご要望に沿ったサービスをご提供できる技術力があると自負しておりますので、『こんなことがしたい』というご希望があれば、是非お声がけください」(岸野氏)
中央監視に蓄積されたデータとChatGPTを組み合わせた実験的な取り組みもありました。吉開孝裕氏は、「たとえば欠落しているデータの分析をChatGPTに依頼すると、『センサーの故障や記録ミスの可能性がある』との指摘がきますし、故障についての対応方法も回答してくれます。今後は、さらに詳しい分析ができないかを研究しながら、新しい挑戦を続けています」と説明します。

JAPAN BUILD TOKYO

さまざまな環境をICTインフラから支える「ネットワーク最適化ソリューション」として、実際の監視カメラを用いて展示模型と連動した「顔認証システム」、ネットワークインフラ設備の自動監視、管理を可視化する「自動インフラストラクチャー管理システム」の展示もありました。
さらに同社事業の大きな柱の一つである「ワークスタイルコンサルティング事業」についての展示もありました。野村拓氏は、「オフィスづくりに関するコンサルティングを実施しています。もともと設備や情報ネットワークの構築も行っているので、その知見を活かしてお客様のための提案ができるという点が強みです」と説明します。同社はフリーベンダーというポジションにあるため、しがらみのない様々な提案が可能な点や、ワンストップで対応が可能な点も強調しています。「例えばオフィス移転のお客様であれば、ワークスタイルの見直しからプロジェクトのマスタースケジュールを策定し移転に向けてのタスク管理を行い、実際に移転完了までをトータル的にサポートしています。移転後の運用サポートも対応可能でリピートオーダーも多くいただいています」(野村氏)
顧客の期待に応えてきた結果、“全体のオーダーの約9割がリピート”といいます。
また、お客様のニーズに合わせたソリューションの提案と併せてビル設備の制御技術を組み合わせた複合的な提供も行う取り組みも始めたようです。例えば、個別空調・個別照明を導入しパーソナルな空間に体内リズムに合わせて時間帯に応じ調光を行うサーカディアン照明を導入するなど、コンサルティングの知識とビル制御技術の連携によって実現が可能となります。
最後にファシリティ事業、ネットワーク事業、ビル監視制御事業それぞれの特徴を生かした全ての働く人に向けて、革新的な空間とその価値を提供する「三位一体の達成」を目指して今後の事業活動を行っていきたいとの話です。

倉敷紡績 株式会社

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1888年に岡山県の倉敷で、繊維事業を祖業として誕生した倉敷紡績。今では繊維事業を中心に、化成品事業、環境メカトロニクス事業、食品・サービス事業、不動産事業の5事業を展開。「今回は、繊維事業のなかのユニフォーム部門が出展。作業者の方をサポートするアシストスーツであるサポーター一体型ウェアの『CBW(シービーダブル)』と、暑熱リスク対策のウェアラブルデバイス「Smartfit for work(スマートフィット フォー ワーク)」など、作業者の安全をテーマに提案しています。」と説明するのは、同社繊維事業部 ユニフォーム部 ユニフォーム課の岩田雅隆氏。「アシストスーツ『CBW』はサポーター一体型ウェアのため、一般的なユニフォームパンツと同じように履いて、サポートベストと繋げてもらうだけで、正しい姿勢で物を持ち上げられるようになります。持ち上げの姿勢と動作をサポートすることで、腰への負担軽減につながります。」といいます。

同じくユニフォーム課の原島宏治氏は、アシストスーツ誕生の経緯について、このように語ります。「もともとユニフォーム生地を扱っているので、作業現場の課題を考えたときに、腰痛をはじめとする身体への不安を抱える方が多いという現状がありました。さらに、今後高齢化が進んでいくこと、女性の現場作業者が増えていることもあり、体力的な課題も増加していくだろう、と考えました。そこでユニフォーム生地の販売からもう一歩進んだ課題解決ができる製品として、CBWの開発を進めました。」

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「Smartfit for work」は、専用のウェアラブルのデバイスを作業者に装着し、生体情報を取得。そのデータをもとにリスク評価を行い、体調管理をサポートするソリューションです。
「デバイスが取得する情報は心拍数や活動量、周辺の温度です。これらの情報をもとにした作業者の体調変化を、目が届かないところにいる遠隔地の管理者がリアルタイムで確認することができます。また本人にリスクを知らせる場合は、危険を知らせる画面に切り替わり10秒ほど振動。本人への通知はもちろん、遠隔地の管理者にも通知します。」(岩田氏)

導入時には施工などが一切不要で、すぐに使用することが可能なのもポイントだといいます。「昨年の夏は特に暑く、年々過酷な作業環境になっていくことが考えられるので、今までと同じ対策では体調を崩す方が増える可能性が高く、ニーズはさらに高まると考えています。私たちは社会課題を解決するために、新しいソリューションや製品を作っているという意識があります。」(岩田氏)

「長く健康に働いていただく職場を作っていただきたいと思っています。高齢化もあり今後も定年が伸びる可能性もあるので、そういった意味でも職場環境をより良くして、お互いにより良い関係でサポートをしていきたいと考えています。」(原島氏)

編集後記

AIや3Dを活用した最新のソリューションなど、他にもまだまだ魅力的なブースがあり、すべてをご紹介できないのは残念ですが、業界課題を解決すべく新しい技術、製品、ソリューションが次々に生まれている、その最前線に立っていたような実感がありました。それぞれのソリューションの今後の進化にも注目です。

(提供:Koto Online