2015年株式市場

2014年の株式市場は、アベノミクス相場とも呼べる上昇トレンドが継続した。途中で息切れする局面があったものの、終わってみれば1万7450円と前年末比1159円高で引けた。

2015年の株式市場は、いったいどうなるのだろうか。10のテーマをピックアップして、そのテーマが与える経済への影響、さらに関連銘柄となる企業の株価にどう作用するのかを考察してみたい。


1.TPP

依然として交渉の中身は見えず、ただ交渉が続けられているということしか伝わってこないTPP。そもそも日本が参加する意味があるのかという議論もある中、関心が薄れつつある感もある。

しかし、交渉はいよいよ大詰めで2015年には妥結する公算が高い。このTPPは参加国同士の関税を実質的にゼロにするという協定なので、国際競争力の強い産業はメリットを受け、逆に高い関税に守られてきた国内産業はダメージを受けることになる。また、日本独自の社会システム(国民皆保険制度など)がグローバル競争に晒されて存続しにくくなるという指摘もある。

自動車や電機などのメーカーはすでに一定の国際競争力を有しているため、メリット受けやすい業種の筆頭格。農業機械や商社、流通などについてはメリットとデメリットの双方が考えられるため、イーブンといったところ。農機具メーカーであるクボタ <6326> や井関農機 <6310> などについては、国内の小規模農家が撤退することがデメリットになる一方、海外で日本向けの作付けが増えればメリットに転ずる可能性も秘めている。


2.Apple Watch

Appleが満を持して発売するApple Watchには早くも注目が集まっており、世界的なヒット商品になる可能性もある。現在モバイル端末市場を席巻しているスマートフォンに代わる存在とみなす声も多く、モバイルライフ自体を変革する可能性も秘めている。

Appleに部品供給をしている関連銘柄は発表当初から注目されている。日東電工 <6988> 、TDK <6732> 、イビデン <4062> などはApple Watch発表直後こそ弱含んだものの、実物が市場に出回ることが急騰の導火線になる可能性は高い。


3.ウェアラブル

どうやら2015年は、ウェアラブル端末元年となりそうだ。Apple Watchだけでなく、さまざまなウェアラブル端末が市場に投入され、そこから人々の生活スタイルを変えるものが登場するのは想像に難くない。

ウェアラブル端末には多数の精密部品が使用されているが、いずれの部品も小型化のために高精度であることが求められている。注目銘柄には、水晶振動子の大手である大真空 <6962> をはじめ、TDK <6732> 、アルプス電気 <6770> 、村田製作所 <6981> など精密部品の常連メーカーが並ぶ。


4.水素

次世代エネルギーの本命としてジワジワと存在感を増してきた水素が、2015年には大きく飛躍しそうだ。政府のエネルギー基本計画にも水素が盛り込まれており、官民挙げての普及に向けた取り組みが本格化する。水素ステーションの拡充と、燃料電池車の普及が目に見える形で進行しそうだ。

水素関連の銘柄には昭和シェル石油 <5002> 、コスモ石油 <5007> 、出光興産 <5019> などのエネルギー関連と、大陽日酸 <4091> 、日本精線 <5659> 、中国工業 <5974> 、三菱化工機 <6331> など水素インフラと燃料電池車の部品サプライヤーに注目したい。


5.SIMロック解除

日本国内で販売されているスマートフォンにはSIMロックが掛かっており、キャリアをまたいでSIMを挿入しても使用できない。しかし、世界的にはSIMフリー端末が流通しており、ユーザーはキャリアと契約して入手したSIMカードを好きな端末に挿入して使用できる。日本でも総務省がSIMフリー化をキャリアに義務付け、2015年から実施される。

SIMロック解除で最も恩恵を受けるのは、MVNO(仮想移動体通信事業者)で、いわゆる格安スマホのサービスを提供している事業者だ。3大MVNOとして、日本通信 <9424> 、フリービット <3843> 、IIJ <3774> (ビックカメラ名義で格安スマホを展開)が注目銘柄となる。