バブル

皆さんこんにちは。
今回の記事を担当いたしますTomです。
主に経済学的な見地から、皆様の日々の暮らしに役立つ内容をお届けしようと考えています。

今回の題材はアベノミクスで沸き立つ最近の日本経済の動向です。賢明な読者の皆様は、アベノミクス、アベノミクスと騒がれている昨今の社会的高揚に違和感を覚えておられませんでしょうか?
その違和感は大切にした方が良いです。今の日本経済の動向はバブルかもしれないのですから。

【参考】

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漢方バブル?酒バブル!?〜中国の規制強化加速と富裕層の特殊な投資事情〜
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◉バブルに魅入られる人々


アベノミクスによって日本経済は復活し、大躍進を遂げる。何とも心地よい響きです。世の人々を前向きにする力があるようにも感じられます。

しかし、このようなアベノミクス礼賛論と似たような話を聞いたことがありませんか?
そう、80年代後半から90年代初頭に掛けてのバブル景気の折り、誰もがそれをバブルと認識していなかった時期に語られていた話と酷似しているのです。
当時の流行りは何と言っても「Japan as No.1」でしょうか。ネタ元の書籍が示唆するところは、日本が世界一になりえる資質を持つかもしれないですが、さしずめ「Japan is No.1」のような印象を持たれながら世間に広まりました。また、書籍で提示された日本の強みを流用し、もっともらしい理屈を述べて日本の躍進を叫ぶ輩も増えました。
そして、そのような人々は株価の上昇を指差して、自分の言っていることは正しいだろうと更に煽ったわけです。

ただ、結果は皆様ご存知のとおりとなりました。


◉それでも合理的なバブルの狂宴


アベノミクス礼賛論者の言っていることは、ほとんどバブル景気当時の言説と同じ論法を使っています。学問的な裏付けのない理論をもっともらしく述べながら、株価の上昇をもって自分は正しいとする。こんな論法がまかり通るなら、経済学は学問の体をなしていないでしょう。
もちろん、実際の経済学は、そのような手法は全く成り立ちません。因果関係の精査も理論化も慎重に行われています。
そもそも、ロジカルに考えて導かれた結論として日本経済が躍進すると予測したのなら、どうして彼らは日本企業の株式を買うなりのアクションを取らなかったのでしょう。大儲けしながら、自分の理論の正しさも示せる一石二鳥のやり方だというのに……。
すなわち、彼らの目的は、「自分の理論が正しい」と示すことではないのです。

では、いまアベノミクスを礼賛している人々は何を求めているのかと言えば、それはバブルの頃にそれを煽っていた人々と同じものでしょう。
バブルは弾けるまでバブルと認識されることはありません。ならば、目下の経済の高揚をもっともらしく理論付けした方が、多くの賛同を得られます。その賛同を弾みにビジネスをすれば収益も上げやすいのですから、そのような当てずっぽうに身を委ねるのも道理です。
今の仕事に苦しんでいる人間は特に、バブルが崩壊しても苦しい状況へ戻るだけなので、こういう行為へ走りやすいと言えます。