アメリカ不動産投資の魅力 そのメリットと注目エリア

なぜ今アメリカ不動産投資なのか?

ここ数年、海外の不動産に投資する日本の富裕層や企業が増えている。中でも、人気なのがアメリカの不動産だ。なぜ、いまアメリカの不動産が注目されているのか?その背景として、日本とは違うアメリカ不動産市場の特徴が挙げられる。

まず、アメリカ経済を測る指標となるGDPの平均成長率は2010年以降2%程度となり回復基調にある。2015年は3%を超え、成長ペースは徐々に加速すると見られている。人口についても、毎年約1%の割合で増え続けており、2050年には4億人を超えることは確実視されている。

また、シェールガスによるエネルギー革命、先進国の中でも食物の自給自足が唯一可能な国であること、そして世界経済の基軸通貨であるドルを発行する国であることなど、将来的にも持続した安定経済が期待できるアメリカへの投資は、やはり他国へのそれと比べても魅力的なようだ。

逆に、日本ではここ数年、毎年−0.2%の割合で総人口が減少、39の道府県で人口減少が続いている。人口減少は、短期的には不動産価格に影響を与えるものではないものの、長期的にみると社会構造を変化させ、不動産市場もシュリンクしていくと見られる。

アメリカにおける不動産投資を考える際に重要なのが、アメリカの中央銀行に相当するFRB(連邦準備制度理事会)により、2008年に導入された量的緩和とゼロ金利政策の出口戦略だ。FRBは、リーマンショックからの脱却を目指し、これまで量的緩和策を実施してきた。これは、政策金利がゼロの状態で、市場に資金を供給し続けるという政策であり、この政策が功を奏しアメリカ経済は、異常な状態から抜け出した。その後、金融の正常化に向けての一歩を踏み出したことから、FRBは量的緩和の終了を決定。

次の焦点は、ゼロ金利政策をいつやめ、利上げに踏み切るかという点だ。投資家にとっては、いつになるのか非常に気になるであり、2015年の春以降と予想されている。

税制上の違いと優遇制度に見るアメリカ不動産を保有するメリット

アメリカ不動産を保有する大きなメリットとして、キャピタルゲインだけではなくインカムゲインが狙えることである。さらに、非居住者の外国人にも融資が受けられる数少ない国の一つであり、日本人にとっては、税制上の違いから、節税メリットも得られるのだ。今後も引き続き、円安が予想され、為替相場次第では、為替差益を得ることも可能かもしれない。

アメリカでは新築物件の供給が少ないため、流通している物件の8割は中古物件となる。築50、60年を超える物件も多く、築100年を超える物件も珍しくない。また、そのため中古物件の市場価値が高く、物件価格に占める建物の割合は、課税評価割合における建物比率をみても、日本に比べて高いケースが多く存在する。建物の減価償却に関し、アメリカの居住用不動産は、一律、購入したときから27.5年が耐用年数になっている。そのため日本において事業所得として確定申告する際には、日本の法定耐用年数を超えた木造の中古物件の場合だと4年で減価償却することが可能となり、日本における課税所得を大幅に圧縮することができるのだ。

また、売却時には、1031 Tax Deferred Exchangesといった優遇税制プログラムがあることもよく知られている。これは、一定の条件を満たせば、所有していた物件を売却した際に、譲渡益が発生した場合でも、それに課税される税金の支払いを繰り延べできる、というもの。例えば、10年前に30万ドルで購入した物件を、50万ドルで売却したとする。この場合、譲渡益が20万ドル(50万ドル‐30万ドル)発生するが、一定期間内に売却した価格(50万ドル)以上の物件を購入すると、譲渡益20万ドルに対して課税される税金の支払いを将来に先延ばしできるのである。この繰り延べはルールに沿って申請している限り、何回でも利用可能な制度なのだ。

日本でも買い替え特例による税の優遇処置はあるものの、地域が限定されるなど、使い勝手はあまり良くない。それに比べ、アメリカではこのように不動産マーケットへの投資メリットが大きく、国内外からの投資を呼び込みやすい。日本人にも中長期的な投資プランを立てやすい市場といえるのではないか。

このように、アメリカでは不動産を保有することによって、資産形成に加え有益な節税効果が得ることができる。また、前述の優遇制度を併用し、建物の償却が終わる頃に買い替えをすれば、税金を払うことなく資産形成ができそうだ。

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今投資するならアメリカ西海岸、注目は南カリフォルニア

では、広いアメリカで、どのような物件に投資をすればよいのか?

最も大切なのは、将来も人口が増え、不動産価格の上昇が見込める地域の物件に投資すること。加えて、地域により気象条件が大きく異なるアメリカでは、ハリケーンや竜巻が多い、雪などの気候が過酷な地域は避けた方が無難だ。建物の劣化が激しくメンテナンスの出費が大きくなるためだ。

人口でみると、ニューヨーク周辺北東部とロサンゼルス周辺地域に人口が集中している傾向がある。ロサンゼルス大都市圏(ロサンゼルスを中心とした5郡)の人口は1,780万人を超え、ニューヨーク都市圏に次いで第2位となる。さらに、南カリフォルニアでみると2,240万人を超え、現在ではニューヨーク都市圏を超える経済圏だ。

また、アメリカは世界最大の移民受け入れ国であり、毎年70万人近くの移民を受け入れている。ヒスパニック系の中心であるメキシコからの移民がもっとも多く、不法移民を含めるとかなりの人数が流入している。特に、テキサス州、ニューメキシコ州、アリゾナ州、カリフォルニア州などメキシコ国境に接している州では、メキシコ人の流入が現在も続いている。

こうした条件を備え、日本からも比較的近く日本人になじみ深いエリアがある。西海岸、カリフォルニアなのだ。特に、南カリフォルニアは人口増加中の都市が多く、増加率は全米平均を上回る1.7%。不動産市場も過去数十年、全米平均を上回る成長を続けている。リーマンショックの時期を含めた2000年から2011年、全米平均の不動産価格の上昇率が13%であるのに対し、カリフォルニアの上昇率はそれを大きく上回る20%となった。リーマンショック後の2008年には一時的に大きく下落した不動産価格も、2009年から2010年に底を打つと、2011年から再び上昇を始め、2013年、2014年と大きな回復を見せた。

まさにこれから中長期的な投資をするには最適な時期が来たと言えるのではないか。1年を通して気候が穏やかなカリフォルニア、建物の耐久年数が非常に長く、優良な中古物件が多いのもこの特有の気候が影響しているかもしれない。投資パフォーマンスの高い土地柄と優良な物件という条件が揃うカリフォルニア。その中古マーケットは、中古物件の評価が高いアメリカ国内でも特に大きな魅力を持つはずだ。

カリフォルニア進出を狙う日本企業の現状

実際にロサンゼルスの不動産業者からは、ここ数年日本から不動産業者が視察に来ることが増えたと言う声もよく聞かれる。ただ、多くの日本の不動産業者は、日本の不動産市場の閉塞感から、海外進出を検討するものの、語学の壁のため、事業までは進まず、せいぜい現地の日本人エージェントと提携して、日本人に少しずつ販売している程度にとどまっている。

その中で、すでに現地エージェントから数棟購入し、現在は、リモデル工事に取りかかっている会社もある。2014年10月に現地子会社を設立した、パシフィック・アセット・マネジメント株式会社(東京都港区)だ。リモデル工事完成後は、現地の不動産マーケットで現地アメリカ人に販売を予定しているそうだ。

同社は、日本国内では、個人向け1棟収益不動産の最大手だが、顧客の半分が日本在住の外国人であるため、英語を話せるスタッフを多数属していることはもちろん、ロサンゼルス出身のアメリカ人やロサンゼルスで不動産業に従事してきた人材を登用し、アメリカ進出をスムーズに進めているようだ。

実際に海外への投資となると、前述したとおり、多くの不動産業者同様、為替リスクをはじめ、言語や法制度の違いから、なかなか難しい現状だ。しかし、いまの日本では、何もしないリスクが日増しに高まっている。

まだ、多くはないものの、近年複数の不動産会社が、アメリカ不動産投資セミナーを開いている。まずは、いくつか参加してみてはいかがだろうか。