世界で2番目に大きな国土を有し、その地下には豊富な資源が眠っている国、カナダ。そのカナダの通貨がカナダドルだ。同じドルという通貨でありながら、隣国のアメリカドルとはまったく別物といってもいいほど特徴が異なるため、似て非なるものという認識が必要だ。
政治的、経済的に安定した国なので、新興国通貨のような高金利やギャンブル的な値動きという特性はないものの、投資先としての魅力はとても高いというのが一般的な見方だ。そのカナダドルの特徴や投資の検討に役立つポイントを押さえておきた。
カナダは世界有数の資源国
カナダ経済を考える上で大前提となるのが、カナダが世界有数の資源国であるという点だ。石油埋蔵量は世界3位である(2013年現在)。資源国の通貨はコモディティ通貨と呼ばれ、豪ドルや南アフリカランドと同じカテゴリーに属する。資源価格の相場に通貨価値が影響を受け、また資源輸出先となる国の経済情勢からも影響を受けやすい。
原油や天然ガスなどの燃料を多く産出しているため、カナダドルは特に原油価格相場の影響を受けやすい点も見逃せない。原油相場と強く連動しているので、WTIなどの原油価格の指標が下落すればカナダドルもつられて下落するという相関関係は過去に何度も見られた。この点においては、豪ドルや南アフリカランドなど、ほかのコモディティ通貨と同様だと見ていいだろう。原油価格の下落が続く今は、注視する必要がある。
先進国通貨ながら注目度が低く平和な値動き
一般的に先進国の通貨はメジャー通貨と呼ばれ、国際的な知名度や信用力が高いことから取引量が多くなりがちだ。もちろんカナダドルも先進国通貨として国際的な知名度はとても高いが、隣国にアメリカがあるせいか取引量はそれほど多くはなく、豪ドルと同程度だ。
また、アメリカドルのように国際決済に利用されることも少なく、実需筋などの突発的な動きから影響を受けることもあまりない。それゆえに投機的な取引も少なく、カナダという国自体のイメージと同様に平和な通貨だと見なされている。「優等生通貨」とも呼ばれる所以だ。カナダ経済がほかの国に比べて安定感があり、インフレ率も低いという要因も大きい。
下落リスクとしては先ほど述べた資源価格と連動するという点。また、アメリカ経済との関係が深く依存度も高いので、アメリカ経済の動向に左右されることも多い。ただ、資源価格が上昇するとアメリカ経済にとっては打撃となり、間接的にカナダドルに売り圧力となることも。資源価格とアメリカ経済の間で値動きが起きるので、影響を一方的に受けて大きく乱高下することは比較的少ないのである。
堅実派の投資家が好むカナダドル
テクニカル分析との連動性が高く、テクニカルのなかでもオシレーター系チャートが買われすぎや売られすぎを示現したら反対注文が多くなり、素直に行きすぎが是正される相場展開が多く見られる。
FX投資家のなかでもデイトレードやスキャルピングを得意とする人には面白味に欠ける通貨かも知れないが、リスクをあまりとらずにコツコツと利益を積み上げたいタイプの人にはカナダドルはオススメだ。
派手なデイトレードを繰り広げる一方で、確実に利益を積み上げるための通貨としてポートフォリオに組み込むとバランスのいい投資になりそうだ。(ZUU online)