日本政府観光局のレポートによると、2014年の訪日外国人数は、前年比29.4%増の1,341万4,000人で過去最高となった。さらに、訪日客が買い物や宿泊に使った消費総額は2兆305億円。実に前年比43.3%も増加した(観光庁発表)。盛り上がるインバウンドの経済効果に、今、日本経済全体の期待が一心に集まっている。
中国人富裕層が「爆買い」市場を牽引
訪日客を国別・地域別でみると、台湾、韓国、中国、香港の順だが、とくに中国からの訪日客が前年比83%の伸びで急増している。また、ビザ発給緩和の影響で、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシアなど東南アジアからの増加も目立つ。
旅行者1人あたりの消費額1位は中国の23万1,753円。中国は総額でも5,583億円と、全体の3割近くを占めるボリュームだ。今は中国の春節(旧正月)シーズンでもあり、メディアでも連日、中国人富裕層による「爆買い」と呼ばれる大量買いがニュースとなっている。背景には円安進行による割安感や、免税対象範囲の拡大などがあるだろう。先日も、ベビー・子供服のミキハウスが、訪日外国人向け商戦が絶好調なため、全従業員への総額3億円の臨時ボーナス支給を発表した。
消費の費目別では、これまで1位だった宿泊費に代わり、2014年は買い物代がトップとなった。飲食費、交通費、娯楽サービス費と続く。訪日外国人は、日本製品、日本食、温泉など生活文化、伝統文化への関心が高く、いわゆる「ジャパンブランド」への揺るぎない信頼感が巨大消費を牽引している。
政府も誘致強化、訪日外国人数はまだまだ伸びシロあり
政府は観光立国を目指して、2030 年に訪日外国人旅行者数3,000万人超の目標を掲げる。東京五輪が開催される2020 年には、2,000万人の達成を目指すとしている。そのためにもハード・ソフトの両面のインフラ整備は欠かせない。
さらに、安倍政権の成長戦略の目玉である「地方創生」と関連として、訪日客の分散のため、広域観光周遊ルート形成促進や交通アクセスの円滑化のほか、宿泊施設などでの無料 Wi-Fi の整備や外国人向けアプリケーション・ビジネスの促進、先進 IT技術を活用した動態調査などが行動計画には盛り込まれている。