ZUU-ONLINEは、金融業界の内外から、生活者のための金融サービスの課題について共通した問題意識を持ち、解決のための方策を提供していきたいという想いにより立ち上がった有志です。
本サイト運営では、金融情報をはじめ、生活に役立つ情報を配信して参ります。
金融サービスと言っても様々で、資産運用、財産管理、ローン、相続に関わる税金や法律面の問題、保険の活用、不動産の活用、事業承継、タックスプランニングなど多岐にわたりますが、私たち生活者は個々人の状況に応じて、様々な課題を抱えています。。
例えば、資産運用について。
一般の生活者である個人投資家の多くの皆様は、長引く低金利や厳しい経済環境による運用収益の悪化、年金・社会保障の制度の持続性における老後の不安、日本の財政問題による増税懸念、そして、日本の経済低迷による今後の収入の不安定といった状況下で、現在あるいは将来への経済的な不安を感じているのではないでしょうか。
また、こういった不安を解消するため、資産を上手に運用することにより、生活を向上させたいという必要性は増加しているものと思われます。
ただ、一言に資産運用と言っても個々人によって希望条件が異なります。運用期間、本来必要な資金額と目標額、経済見通しや相場感もそれぞれですし、運用スタイルも「資産価格の値動きといったリスクを許容しても資産の増加を狙いたい」「リスクを抑えて、値動きを安定させた上でコツコツした運用を狙いたい」といった多様なニーズを持っています。
資産運用の相談をする際に一番身近な場所は、証券会社や銀行等の窓口です。
証券会社や銀行等の金融機関は生活者のニーズに応えようと日夜努力しているのですが、金融機関は提供する金融商品(運用性資産の場合、投資信託や保険商品)からの売買手数料(コミッション)を主な収益源としているため、どうしても両者のニーズが必ずしも合致していない事もあり、このような状況において、下記のような問題点が指摘されています。
① 証券会社や銀行等は、金融商品の販売ありきの営業姿勢であり、個々人の顧客ニーズを十分に理解しないで商品の購入を勧めているのではないか。顧客自身においても、自らの課題を的確に認識することは難しい。
② 金融機関の窓口で提供される投資信託の販売は購入額の3%程度以上の販売手数料が掛かり、また、投資信託では運用期間中において概ね1.5%~2%程度の手数料が掛かるものが多く、コストが高い。
③ 投資信託の商品開発は販売する金融機関グループの系列会社により行われることが多く、販売する金融機関の意向に従って商品開発がされている。結果、次々と新商品が投入されることで、投資信託は類似の新商品の増加と個々の商品の小規模化を招いており、生活者にとって有益な投資信託がなかなか育たない。また、販売手数料を稼ぎたい金融機関は短期での金融商品の乗り換えを行うインセンティブがある。
これらの問題は、どのようにしたらより良い方向に行くでしょうか?
平成24年5月5日に金融庁から公表されている「我が国金融業の中長期的な在り方について (現状と展望)」においても、「個人のライフスタイルや価値観は大きく多様化してきており、こうした多様性に対応できるきめの細かいサービスが求められている」ことや、「顧客の生活設計やマネープランを踏まえた資産形成という観点に基づくコンサルティング機能を発揮していくことが重要と考えられる」といった指摘がされています。
解決策の1つの方策としては、「中立的な立場での金融アドバイザーの育成も不可欠である。現時点でもファイナンシャル・プランナーの有資格者は数多いが、その大多数は特定の金融機関に雇用され、主として自社商品・サービスのメニューから助言を行うに留まっている。独立系の助言業務が一つの職業として成立し、顧客のライフプランの明確化を手助けしながら、より幅広いメニューに基づいて、金融商品・サービスに関する助言を個人に提供できるような環境の整備が求められる」という見解が示されています。
金融商品の販売チャネルも途上です。
同上の金融庁の中間報告では、「個人向け金融サービスにおいては、販売チャネルの在り方が重要な意味を持つ。人口減少・少子高齢化の進行、IT 技術の発展、金融グループ化の展開等を踏まえると、証券、銀行、保険いずれの業態においても、販売チャネルの規模や構成を大きく革新していかざるを得なくなるであろう」とし、「生活者たる個人のニーズに最も適合した販売チャネルの構築に向けた努力が期待されるところである」との見解を示しています。
上記の問題は資産運用だけでなく、あらゆる金融サービスのアドバイス全般にも当てはまるのではないでしょうか。
金融という複雑な仕組みにおいて、生活者である顧客自身が自分のニーズを的確に把握し、十分に金融商品の性質を理解する能力、いわゆる金融リテラシーを向上するということは理想ではありますが、現実的には簡単なことではありません。
ニーズに応えるだけでなく、金融リテラシーを補完するアドバイスを提供する必要もあります。
顧客のニーズを徹底的に追及した金融の課題、そして、時には金融の課題を超えたライフプラン全般や個々人の価値観や想いを汲んだアドバイスを提供していくにはどのようにしたら良いか。
金融の課題と一言に言っても、銀行、証券、保険、不動産、税金、法律と多様なサービスとの関わりがあり、全体的な観点からサービスを組み合わせて統合し、いかに個々人のライフプランにおいて最適なプランを考えていくか。
インターネット等を介した新しい金融サービスも増えてきています。新しい金融サービスを組み合わせ、また、私たち自らもITといったテクノロジーを活用することにより、より幅広く便利なサービスが提供出来るのではないか、そのためにはどのようなサービス設計をすべきであるか。
生活者のそれぞれのニーズに対応可能なサービスを提供することと共に、サービスに対して興味を持ってもらうことも重要です。
これらの課題の解決策は簡単ではありませんが、現在の日本において、社会的ニーズ及び必要性が極めて大きな問題であると私たちは考えています。
私たちは、皆様とともに、当プロジェクトを通じて、あるべきサービスの姿を考え、そして、課題を解決していくべく考え、行動をしていきたいと考えています。
応援及びご協力を頂けますとまことに嬉しく思います。
photo credit:
Sergio Lora
via
photo pin
cc