デジタル時代のツール「スマホ/タブレット」の取引が増加

ビジネスにも生活にも、今や欠かせないものとなったインターネット。資産の管理だけではなく、株式や債権などの取り引きでも、その利便性から裾野がますます広がっている。金融サービスを提供する各社もネットバンキングのシステムを整えていたり、証券の売買も現在では、クリック一つでできる時代だ。

ネットバンキングやオンライントレードをスマホやタブレットなどのスマートデバイスで行う動きも出始めており、投資家にとっても利便性は向上するばかりに見える。ネットバンキングでいえば、メガバンクの各行も「三菱東京UFJダイレクト」「SMBCダイレクト」「みずほダイレクト」としてネットバンクを展開。証券各社もオンライントレードのスマホ用アプリを提供しており、野村証券の「野村株アプリ」、SBI証券の「HYPER 株アプリ」、カブドットコム証券の「kabu.com for iPhone/Android」、GMOクリック証券の「株roid/iClick株」など、開設している口座に合わせて、スマホ用の取り引きアプリを使用することもできる。

こうした、利便性の高いオンライン決済・取引サービスではあるが、不安が全くないわけではない。懸念されるのは、端的には、セキュリティの問題だ。例えば、自宅に設置されているPCを思い浮かべれば、セキュリティ対策も十分に取られているかもしれない。実際、個人情報の管理体制の厳格化やそれに伴うITセキュリティ意識の高まりから、PCのセキュリティ対策は進んでいる。PCへのセキュリティソフトの導入率は80%を超えており(2014年トレンドマイクロ調べ)、PCの大部分で脅威対策が行われているのが現状だ。

しかし実は、多くの家庭で見過ごされがちな盲点もある。スマートフォンやタブレットだ。こうしたスマートデバイスがセキュリティの“穴”になることもあり、セキュリティ対策が取られているスマートデバイスは半分にも満たないという(2014年トレンドマイクロ調べ)。この環境の問題点の一つとして無視できないのが、宅内ネットワークにスマホを接続した際に、スマホ上のセキュリティの“穴”から侵入したコンピュータウイルスがほかの家庭内のIT機器への感染拡大も生じさせかねない可能性だ。

このように危険がそこかしこに潜んでいる可能性があるにも関わらず、家庭のITセキュリティ対策に割けるリソースは心もとない。ある調査によれば、家庭ではコンピュータのセキュリティ対策は、家庭内で最も詳しい一人が担う傾向にあり、労力面でも資金の面でも、全てのITデバイスを守りきるには、やはり、無理のある状況だと人々の目には映る。

ITセキュリティ企業もこうした環境に直面して手をこまねいているだけではなく、トレンドマイクロをはじめとしたセキュリティソフトウェア企業も積極的にこうした、スマートデバイスのセキュリティ対策にも取り組んでいる。が、コンピュータセキュリティ対策の歴史は“いたちごっこ”の繰り返しでもあり、完全な対策を取りにくいジレンマもある。PCの普及期にはフロッピーディスクを介して広がっていたコンピュータウイルスも、“ウェブからの脅威”と言われるように現在では、ネット利用時のセキュリティ対策が主戦場だ。

別の言い方をすれば、スマホも含むネット閲覧端末すべてが潜在的脅威にさらされていると言え、トレンドマイクロなどのITセキュリティ企業も最善の努力をしているのが現状だ。


スマートデバイス取引で防ぎたい“トラブル潜在リスク”—被害を避ける具体的な方法とは

では、PCのセキュリティ強化のために、対策ソフトが広く導入されているとして、我々の手元ではどのような対策ができるのだろうか。それが問題だ。

スマホでの取り引きも視野に入れながら、最初にできる対策は、やはり、パスワード管理だ。PCのネットバンキングの利用やオンライントレードと同様に、まずはこのパスワードをきちんと管理することが重要になる。金融サービスの場合には、アカウントの乗っ取りや不正操作による被害が直接、経済的な損害にもつながりかねず、注意を要するといえるだろう。

具体的には、古典的な対策になるが、銀行ATMの暗証番号に単一の数字の連番を用いたり、電話番号の下4ケタや生年月日といった推測しやすい数字の設定を避けるのが、まずは、ベター。スマホの取引アプリに入力するパスワードを推測されにくいものにしておくことが、我々の手元で、無料で実施できるものだといえる。オリジナリティの高いパスワードをぜひ、考え出して、設定してもらいたい。

ほかにも、PCを含めたIT機器からネットバンキングやオンライントレードをする際の対策として、総合的な対策を行える家庭向けのセキュリティ製品を導入しておく方法もある。PC向けセキュリティソフトについては幾つかのメーカーがあるが、家庭のパソコンやスマホをトータルに保護できる対策としては、トレンドマイクロの「Trend Micro OKAERI」がある。家庭の無線LANに接続できる「JewerlyBox」と呼ばれるライセンス管理用の機器を導入し、PCやスマホ、タブレットにアプリケーションをインストールするだけで使え、導入に必要な労力も、大きくならないのが特徴だ。

きちんと対策をとった際に、管理が複雑になりがちな、ネットバンキングやオンライントレードなどのID・パスワードについても、対応しているウェブサイトにおいては、Trend Micro OKAERIのパスワード管理機能で一括管理できるようになり、振込や送金、株式の取引もよりスムーズに行えるようになる仕組みだといえそうだ。

家庭内ネットワークをトータルに守ることが、ネットバンキングやオンライントレードを安心して行うためにも、セキュリティ対策として一つ、実施しておきたい保険だといえるだろう。


“情報保護”は“資産保護”

すでに何度も言及したとおり、ネットバンキングやオンライントレードが普及した現在では、ネットの決済や取引アカウントをきちんと管理し、セキュリティの脅威から守ることは、情報を守ることであると同時に、資産を守ることだともいえる。

家庭を持ち、オンライン決済やトレードで家族の経済的な基盤が脅かされたり、不安定になってしまうのはぜひとも避けたいところ。投資家としての個人にとどまらず、家庭を守っていく上でも非常に重要だ。セキュリティ対策を施すことで、日々の資産管理や決済、取引を大幅に便利にできるとともに、より安心した日常を維持するためにも大切なことだと言えそうだ。(ZUU online 編集部)