8/8 の日経新聞の朝刊に、「 コイン投資のツボ 人気と希少性、価格下支え 長期保有を基本に 」という記事が載っていました。非常に興味深かったので、本日は日経新聞の内容も踏まえてコイン投資についてまとめてみたいと思います。

8/6 に ZUU-ONLINE で、ワイン投資を紹介しました。金融危機を経て、株式も債券も為替も投資信託も商品もヘッジファンドも、どの投資対象をとってもリターンを得るのが非常に難しくなってきました。その中で、多くの投資家が資金をどこに投資したらよいか迷っており、投資資金は行き場を失っています。

参考: 欧州人の伝統的投資手法~ワイン投資~

このような環境下で、代替的な投資手段が求められています。 それがワイン投資や、本日紹介するコイン投資というわけです。


【コイン投資(アンティークコイン)とは】

コイン投資(別名アンティークコイン投資)とは、古い金貨や銀貨などに投資するもので、古いものでは古代ギリシア時代から伝わるものもあるそうです。世界にはコイン投資家が約 300 万人いると言われており、その半分が米国人(特にユダヤ人が多いとされる)です。一方で日本には 2 万人程度しかおらず富裕層の比率を考えると圧倒的に割合は低くなっています。


【コイン投資の例】

オリンピック開催など、国を揚げたイベントの際に記念コインが製造されます。趣味で収集される方も多いですが、実は資産としての魅力も十二分に兼ね備えているのです。ただし偽造・キズといったリスクもあり、初心者には難しい商品でもあります。

最近発行された記念コインといえば、ロンドン五輪の記念金貨があります。額面は 100 ポンド(約 1 万 3 千円相当)、販売価格は 34 万 6500 円で材料の金の 2 ~ 3 倍。しかしその希少性がコレクターの心をとらえ、対日割当数の 800 枚(発行は 7500 枚)は完売したようです。新規発行コインは造幣局や代理店でのみ売買されますが、数年経つと収集家がコイン店などに売り始め、店頭での流通が目立ってきます。

このように、コインは何かを記念して発行されることがほとんどであり、そのようなものが最も価値が高くなります。


【コイン投資の利点】

まず利点としては、世界の投資家に実物資産として注目されていることと、取引市場が整備され価格が比較的透明であること。昨今の金の値上がりによって、欧米では金貨自体も高値で取引されている上、さらに新興国にも投資家層が広がりつつあります。

また、店頭での取引に加えて、国内外でオークションが活発に開催され一定の取引量があり、需給が価格に反映しやすく、かつ換金性も高いのが魅力です。

そして、コイン自体は小さいので置き場所に困らず、かつ観賞用としても見栄えがよいです。地震などの天災に遭遇してもポケットに入れて逃げることができ、換金性も高いのでいざというときとても頼りになります。だからこそ、歴史上迫害を受けた経験があり、全世界を放浪してきたユダヤ人が、アンティーク・コインの大収集家であるというの当然かもしれません。その点、島国に定住して、国を追われたこともない日本人にはなかなか理解できないものなのかもしれません。


【コイン投資の欠点】

一方で欠点はというと、価格変動リスクがあることと、偽造の懸念があることです。コインはバブル崩壊後に値下がりしやすく、売り出し価格よりも安くなることもありえます。ただし、基本的に額面や金などの材料価格より安くはなりません。偽造に限らず保存状態の見極めに自信が無いならば、歴史が長く組合に加入しているなど信用できる店を利用するのが良いでしょう。

コインゲートスキャンダルというものが、2005年に米国のオハイオ州で発生しました。オハイオ州労災補償局が、共和党の政商であるコイン商トマス・ノー氏に基金5000万ドルの運用を委託し、このうち1300万ドル(約11億円)が使途不明になったという事件です。州知事が有罪となるなどの政治的な意味合いから、ニクソン大統領が失脚したウォーターゲート事件にちなんで名づけられました。この際に、コイン投資の流動性や価格形成の妥当性ということが問題になりました。投資ですから、このようなネガティブなニュースも多数存在します。

参考: Coingate scandal (Wikipedia)


【投資するコインの選び方】

『カネはアンティーク・コインにぶちこめ!』の著者である加治将一氏によると、 、賢いコイン投資を行う上で重要なのは、 希少性があり、デザインに優れ、保管状態の良いアンティークコインに投資 することだそうだ。

しかし、投資は投資、リスクが付き物です。上記の欠点を十分に念頭に置きながら、投資することが求められます。

参考: コイン投資のツボ 人気と希少性、価格下支え 長期保有を基本に

By R.I

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