「3月中にも日経平均2万円到達?」と、投資家の日本株に対する強気の姿勢が鮮明になっている。株高を支えている一因が、増配と自己資本利益率(ROE)だ。

新聞の経済欄では毎日のように「増配」、「ROE」が報じられ、日本の企業の好業績を演出している。とりわけ最近はROEに対する注目度が高い。なぜROEなのか。ROE重視の経営は本当に正しいのだろうか。

なぜROEが重視されるのか

2014年1月東証では新しい株価指数がスタートした。JPX日経インデックス400だ。これまでにはない新たな指数の算出方法に注目が集まった。

指数組入銘柄の選定にあたっては東証上場銘柄を対象に営業利益、時価総額、そしてROEなどの指標によるスコアリングを行い、さらに定性的な要素を加点して400銘柄を選定するというものだ。

政府の成長戦略もグローバル水準のROE達成を目標に掲げ、公的年金の運用においてROEに着目している。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は成長企業へ重点投資するため、ROEの高い銘柄の中から経営の健全性や市場での取引量などを加味して投資対象を選定している。

かつては株式投資の銘柄選定の材料となる指標といえば、株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)、そして配当利回りだったが、今ではROEが注目を集めている。ROEは企業が1年間の企業活動を通じて、「株主の投資額に対してどれだけ効率的に利益を獲得したか」を表す指標だ。

当期純利益を、前期及び当期の自己資本の平均値で除して算出する。当然ながら、分子である利益が大きいほど、そして分母である自己資本が小さいほど、ROEは大きくなる。

実は意図的に上昇させることができるROE

上述の算式をさらに分解すると、ROEは、「売上高当期純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ」の計算式に分解することができる。売上高利益率は企業の収益性、総資産回転率は効率性、財務レバレッジは財務的な安定性を表す自己資本比率の逆数だ。

利益率の高い製品を開発することで売上高利益率を向上させことができる。売上を伸ばすか資産を圧縮することで総資産回転率を向上させることができる。そして、極論だが銀行借入や社債発行により負債を増やせば財務レバレッジは増加しROEは上昇する。

危険なROEを見抜く方法

ROEが高いことは本当に良いことなのか? 企業の財務を分析する能力のある人は、ROEの高さを好む現在の風潮に違和感を覚えている。資本が脆弱な企業においては、分母である自己資本が小さいがために高ROEとなるケースが多い。過小資本の企業、業績悪化で債務超過に陥っているケースでもROEが高くなる。つまり業績の悪い企業であっても、意図的にROEをあげることは可能だ。

危険なROEの上昇を見抜くためには、先に説明した自己資本利益率を売上高当期純利益率、総資産回転率、財務レバレッジの積に分解して分析する必要がある。ROEの高さが売上高当期純利益率と総資産回転率によるものであれば問題は無い。しかし、財務レバレッジの高さがROEを押し上げているような企業は、財務内容の安定性に注意が必要だ。

ROEの罠に気付き始めた投資家

14年7月、カシオ計算機 <6952> の株価が大きく上昇した。買いの手がかりはROEの上昇だが、ROEを押し上げるためのより巧妙な手法としてリキャップCBの発行が背景にあった。リキャップCBとは、新株予約権付社債(CB)の発行と自社株買いを組み合わせることによりROEの分母である負債が増える一方、自社株買いにより分子である資本を減らすのだ。

この手法により意図的にROEを上昇させ、株価を押し上げることが期待できる。投資家は株価が上昇した時にCBを株に転換するか、CB自体を売却して利益を得ることができる。証券会社も投資家から手数料を得る。CB発行企業は低コストで資金調達が可能となる。

14年には他に東レ <3402> やヤマダ電機 <9831> などもリキャップCBを発行している。ところが、15年2月にリキャップCBの発行を発表したLIXILグループ <5938> の株価は急落した。

リキャップCBは本来の企業価値を上昇させるものでは無い。バランスシートにおける負債・資本の部を調整する効果を持つに過ぎず、企業の収益力を高めるわけではないのだ。ROEの高さの要因をしっかり見極めた上で企業価値を判断していただきたい。(ZUU online 編集部)

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