USJの入場者数が2009年の770万人をボトムに切り返し、2014年度過去最高の1270万人と絶好調だ。2014年7月に明らかになった「USJ2015年度再上場を検討」との報道が現実味を帯びてきている。
株価低迷の末、上場廃止に
USJは2007年3月に東証マザーズで上場を果たしたが、2009年9月、上場廃止となった。理由は業績の落ち込みにより株価が低迷したため、ゴールドマンサックスによるTOBが行われたからだ。2010年には従来の旧株式会社ユー・エス・ジェイは消滅し一旦SGインベストメンツ株式会社を存続会社として吸収合併、新生株式会社ユー・エス・ジェイが発足するという複雑な経緯がある。そのため、東証マザーズ上場時のUSJと現在のUSJは別会社である。
USJを復活に導いた3つの要素
まずは魅力的な新規アトラクションへの投資である。2012年度はファミリー向けアトラクション「ワンダーランド」、2013年度は逆さまに走行するジェットコースター「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~」、2014年度は総投資額450億円と売上高の約半分となる巨大な投資となった「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」と、新しいアトラクションは顧客の心を的確につかみ、入園者数の増加に大きく貢献している。企画力の勝利ともいえる。
また、非上場企業となったことで、投資に対する意思決定がスピーディになり投資ファンドからの資金調達が容易になった。上場企業であれば「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」のように売り上げの半分を占める巨額の投資がすんなりとできなかっただろう。
そして円安による外国人観光客の増加だ。今や関西圏での代表的なテーマパークであるうえ、ユニバーサルスタジオは日本、アメリカ、シンガポールの3か国しかないため、アジア圏からの観光客の増加は今後も期待できる。
再上場後USJは成長を継続できるか?
2016年度は総投資額100億円をかけたジェットコースターが「ジュラシック・パーク」のエリアに登場する。注目のアトラクションのためさらなる顧客増へつながるであろう。加えて東京オリンピックの開催、円安傾向の定着が続くとみこまれるため、着実な入場者数の増加につながるだろう。しかし、現在の敷地面積から収容できる入場者には限界があり、今後の集客増を叶える敷地の確保が課題だ。そのためUSJでは新たなテーマパークの候補地として沖縄を挙げているほか、大阪府のカジノ構想に参加するなどの模索を始めているが、まだ未定の状態だ。
大型投資をバネに回復を遂げたUSJにとって、上場することで意思決定のスピードが鈍化する可能性がある点には注意したい。(ZUU online 編集部)
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