帝国データバンクは4月7日、2014年度のコンプライアンス違反企業の倒産動向調査の結果をまとめた。それによると、粉飾決算や脱税などコンプライアンス違反のあった企業の倒産は219件で、前年度の209件に比べて4.8%増加し、過去最多となった。中でも、不正経理などで決算数値を過大・過小に見せる「粉飾」を行っていた企業は88件で前年度に比べ7割近く増加し、2005 年度以降で最多となった。

帝国データバンクは、粉飾決算や業法違反などコンプライアンス違反が明らかになった企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産」と定義し、2005年度から動向調査をしている。今回、14年4月から15年3月の負債1億円以上の倒産企業(法的整理のみ)を対象に分析した。

発表資料によると、14年度のコンプライアンス違反倒産は219件で、過去最多を更新。全国的な倒産件数は15年2月までで19ヶ月連続で前年同月比を下回るなど減少基調にある中、コンプライアンス違反倒産は10年度から5年連続して前年度を上回った。帝国データバンクは「世界同時不況を潜り抜ける中で行われていた不正が、近年の景気回復局面の中で明るみに出るケースや資金需要が旺盛となったことで新たな不正に手を染めるケースが目立った」と分析している。

中でも不正経理など「粉飾」によるものは、前年度比69.2%増加した。融通手形による不透明な資金操作が複数発覚し、連鎖倒産したことが影響したという。総合厨房機器メーカーのマッハ機器(2015 年2月民事再生、負債16億1500 万円)は、11年11月に新代表就任以降、事業多角化に失敗して、資金繰りがひっ迫。電源装置メーカーと不明朗な金融取引(融通手形)を行うことで資金調達していたが、同社が倒産したことで連鎖した。同じく不明朗な金融取引を行っていたテントメーカーも連鎖倒産した。

「粉飾」の事例ではほかに、 14年5月に負債30億円で破産した非鉄金属卸の「曽束」などがあった。同社は大手メーカーの指定問屋として業容を拡大してきたが、リーマン・ショックの影響で業績が悪化。厳しい経営環境が続くなか、代表が会社資金を無断で海外送金するなどの問題が発覚し、外部から新代表を迎えたが事業を停止し、破産手続き開始決定を受けると、15 年以上にわたって粉飾決算を行っていたことが明らかになったという。

「粉飾」以外では、「業法違反」が前年度比90%増の63件、談合が同比28.6%減の5件、「資金使途不正」が31.8%減の15件などだった。

帝国データバンクは「資金需要が旺盛となる中で、好調に見える企業であっても不正な経営行為に手を染めるケースが散見された。融通手形をはじめとした不正な資金調達や粉飾決算はいずれ破綻するものであり、複数社を巻き込んだ連鎖倒産劇ともなり得る。景気回復に伴い新規取引拡大に動く企業も増えている中で、自社のコンプライアンスだけでなく、相手先となる企業に対する与信をより厳格に判断していくことが求められる 」としている。(ZUU online 編集部)